人生をひらく東洋思想からの伝言

東洋思想の言葉やその精神を通じて、ともに学びながら人生や経営をひらいていけたら嬉しいです。

第171回 『有名無力、無名有力』(安岡正篤)

2024年12月30日 | 日記
【人生をひらく東洋思想からの伝言】
 
第171回

『 有名無力、無名有力』(安岡正篤)

東洋思想の研究者であり、昭和の時代に政財界のリーダーたちの精神的支として活躍され、

国民的教育者として知られた安岡正篤先生。

混乱した時代に、私達日本人としての方向性や在り方に多大な影響を与えて下さった

素晴らしい方であります。

沢山の貴重な著書を通じて学ばせて頂いております。

 

その安岡先生が、当時このような言葉を述べられました

「有名無力、無名有力」


「人間は案外、有名になると無力になるものです。かえって無名であることが、有力であることが多い。」

本の中で安岡先生は、ご自身の体験から:

有名になると朝から電話が鳴り、

会合や義理での付き合いが多く、忙しくなり

食事もまともに食べられず

本当にやりたい事、勉強したいことが出来なくなっていったそうです。

「本当に偉くなろうと思ったら、なるべく無名でおらないといけません。これは私が無責任なことを言うのではなく、

私自身がもう悩んでいることです。」

またこの教えは特に若い人に向けられたもので:

「特に若い人達によく言う。有名になることを目指すのではなく、無名で有力であることを志し、

自分の力を磨き続けてほしい」

つい私も、有名になる事で、人間関係も含め、物、お金など必要なものがそろい、

有力になるような幻想をどこか持っていましたが、この言葉を知り、無名で有力であることの大切さ

そして安岡先生が仰っていた本質を考えさせられました。

そして、何のために有力になるのか?それは、社会のために、公のために尽くすためなのでは?

など、自問自答しながら残りの人生で何ができるかわかりませんが、一歩一歩進んでいきたいと思います。

少しでも社会のためにお役に立てるよう、精進していきたいと思います。

今年も、ブログでは勝手な独り言のようにつぶやいていましたが、

読んで下さり、励ましのメッセージなど有難うございました。

来年も、引き続きよろしくお願い申し上げます。

参考図書
『運命
開く』安岡正篤著 プデント社

寒川神社 大祓式
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第170回 『一陽来復』(易経)

2024年12月23日 | 日記
【人生をひらく東洋思想からの伝言】
 
第170回
 
『一陽来復』(易経)


私は日本の伝統に息づく東洋思想の知恵、特にそれらが日常生活や経営に

どのように活かされているかを探求することに深い関心を寄せてきました。

約3年前、この学びを同じ興味を持つ方々と共有したいという思いから、東洋思想の師に相談したところ、

人に伝えることこそが最大の学びとなる」というご助言をいただきました。

それ以来、ブログを通じて、また不定期ながら様々な機会に、

私の学びを発信させていただいています。

2025年は、「東洋思想を通じた人材育成」という私の志を、

事業の中核として本格的に展開していく決意を固めました。

これから着実に、その基盤づくりに取り組んでまいります。

皆様のご指導とご支援を賜りますよう、謹んでお願い申し上げます。


さて、今回は先日の冬至(12月21日)にちなみ、

「一陽来復(いちようらいふく)」という言葉をご紹介させていただきます。


これは冬至の別称として知られています。

「陰極まれば陽に転じ、陽極まれば陰に転ず」という東洋の叡智を表す言葉があります。

冬至は、まさに陰が極点に達し、陽へと転換する分岐点とされています。

一年で最も昼が短く、冬の寒さが頂点を迎えるこの日を境に、

少しずつ日は長くなり、春へと向かって歩みを進めていきます。

「一陽来復」は、易経が説く「兆し」を表す概念です。まだ寒さの厳しい時期であり、

春の到来を実感することは難しいかもしれません。しかし、この日は確かな転換点として、

新たな季節の始まりを告げているのです。

東洋思想の深遠さは、宇宙の摂理や天の道理を見出し、それを季節の移ろいと共に

生活の中に織り込んできた先人の知恵にあると考えています。

この「一陽来復」という言葉にも、力強い叡智のエネルギーが宿っているように感じられます。

この記事をお読みくださっている皆様の冬至以降の日々が、

ますます充実したものとなりますように。そして、豊かな福運に恵まれますように、

心よりお祈り申し上げます。


参考図書
『易経一日一言』竹村亞希子編 致知出版社
 
 
 
12月21日 日の出 茅ヶ崎海岸
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第169回『くしゃみ』(仏教)

2024年12月16日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】

第169回

『くしゃみ』(仏教)

私がお世話になっていたお坊さまは、

いろいろと生活に密着した
仏教語を沢山教えてくださいました。

そんなところからも、私が仏教に興味を持った
一因かもしれません。

今回は、生活の中で使われている身近な言葉の中で、暮らしに生きている

仏教語をひとつご紹介させて頂きます。

今回の言葉は、梵語(古代インドで使われていたサンスクリット語)から

日本語に
なった「くしゃみ」という言葉になります。


「くしゃみ」は、梵語でクサンメと音写し、その意味は「長寿」のことを表しているそうです。

長寿は、休息万命(くそくまんみょう)と同じ意味で、

お釈迦さまが説法途中で、くしゃみを
されたので、

比丘(お坊さん)たちが「休息万命(お大事にして長生きしてください)」と


申し上げたのが語源だそうです。

このように、一見何気ない日常の言葉の中にも、

深遠な仏教的意味が隠されていることがあるのですね。


参考図書
『暮らしに生きる仏教語辞典』山下民城著 国書刊行会

 

 


西善院

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第168 回「玉琢かざれば器を成さず、人学ばざれば道を知らず」(礼記)

2024年12月09日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】

第168 回

「玉琢かざれば器を成さず、人学ばざれば道を知らず」(礼記)

 

これは、学びの重要性を説いた言葉となります。

宝石が原石のまま磨かれなければ美しい光を放たないのと同じように、

どんなに優れた才能や秀でた素質があっても、

自分を磨くことを怠ってはその真価を発揮することはできないというたとえになります。

 

現代社会では、情報があふれ、学ぶ機会は無限に広がっています。

しかし単なる情報や知識の習得に留まらず

学びを深めることで、私達一人一人が持っている命(個性や特性)の原石が磨かれ

それがより発揮されることで人生が豊かになり

周囲との調和を生む力にもなるのかもしれません。


今回の言葉も、今から2000年以上の前に書かれたものになりますが、

時代が変わっても、何か変わらない普遍的な部分があるかもしれないので、

その部分を意識して、ヒントにして頂けたら幸いです。

 

参考図書
『中国古典一日一言』(守屋洋著 PHP出版)

 

 

 


寒川神社

 

 

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第167回『 論語と算盤』(渋沢栄一)

2024年12月02日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】

第167回

『 論語と算盤』(渋沢栄一)


先日、渋沢栄一さんの命日(11月11日)にお墓参りさせて頂いたご縁で

公益財団法人渋沢栄一記念財団主催の「論語と算盤セミナー2024」に参加させて頂きました。


今回、論点の中心は、「道徳と経済の同一」に関してでした。

まさに、渋沢栄一さんが本当に成し遂げたかった世界は、

道徳と経済は本質的に一致する という考え方でした。

参考:
第8回『道徳なき経済は経済にあらず、経済なき道徳は道徳にあらず』(渋沢栄一、論語と算盤)


公益が第一で、私利は第二の世界観になります。


これは単なる理想論ではなく、公益に徹することで、

結果的に健全な利益も生まれるという考え方は、今日の資本主義に対する重要な示唆となっています。


ものすごく本質的であり、ある面で合理的でもあり、納得のいく考え方かと感じました。

お金とは何か? 資本主義とは何なのか? 本来の道徳とは?

様々な歴史を紐解きながら、これからも経済と道徳の調和について、

継続的に探求していきたいと思います。



参考図書
『論語と算盤』渋沢栄一著 国書刊行会
『リーダーの指針 東洋思考』(田口佳史著 かんき出版)

 

 

 


欧州滞在中、洋装の渋沢栄一 1867年(慶應3)年
徳川慶喜の弟、昭武に随行し、パリ万博に参列した渋沢栄一(当時27歳)。
(写真は渋沢栄一記念財団にて公開されていました)

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