人生をひらく東洋思想からの伝言

様々な東洋思想の言葉やその精神を通じて、ともに学びながら一緒に人生や経営をひらいていけたら嬉しいです。

第8回「道徳なき経済は経済にあらず、経済なき道徳は道徳にあらず」(渋沢栄一)

2021年10月28日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】 

第8回

「道徳なき経済は経済にあらず、経済なき道徳は道徳にあらず」 (渋沢栄一)

Economy without morality is no economy. Morality without economy is no morality.

 

2021年NHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公でもある、渋沢栄一。

渋沢栄一が設立に関与した会社は、なんと500社以上を超えています。

29歳で大蔵官僚となり、国立銀行設立を指導して、

33歳で第一国立銀行(第一銀行、第一勧業銀行を経て・現みずほ銀行)の頭取に就任。

「王子製紙」をはじめとする製糸業、「東京海上保険」の保険業、

「日本鉄道」(JR東日本)をはじめとする鉄道業、「帝国ホテル」などのホテル業、

「東京石川造船所」などの造船業、「大日本麦酒」などのビール業、など枚挙にいとまがありません。

 

渋沢の経営に対する考え方は、自著「論語と算盤」でも説いた上記の言葉にも集約されています。

明治から昭和の初めにかけて、「道徳と経済の両立」という理念をもった会社が、

これだけの数存在していたのです。

その結果、日本の国力を高めていったこともあり、

まさに「日本近代資本主義の父」と言われる人物の偉業です。

渋沢は、武蔵国血洗島(埼玉県深谷市)の豪農の長男として生まれました。

5,6歳から父親に「四書五経(中国古典)」を習い、

7歳から従兄尾高惇忠(おだかあつただ)に師事して「四書五経」を学びました。

 

ここで渋沢が言っている「道徳」とは何かといえば、2つの意味があります。

私たち人間は、いわゆる「天地人」の関係で、天を学んで生きているわけです。

まず、天に学ぶべきは「秩序」の形成で、天には無数の星が輝いています。

さらにそれらは静止しているのではなく、動いています。何千何万という、

これだけの数の星が動いているわけですから、あちらこちらで衝突がおこり、

爆発が生じても不思議ではないのですが、これがない。

すごい「秩序」が生じているわけで、これを人間社会も学び、真似しなくてはならない。

そのためのものが、「礼」です。非礼、無礼になると秩序が保てないわけで、

天から学ぶ「道徳」としては、このことがあります。

 

今の時代で一般的に言われている道徳は、その本質も伝えきれていませんが、

ここで終わっているので、私のこの次を知ったときに、道徳の本義はこちらかと感じました。

天の恵みの最大のものとは何かといえば、それは一刻の休みもなく、

この地上にありとあらゆる物を生み出し続けている活動です。

それを「生成化育(せいせいかいく)」といいます。

生み成長させ、化というのは松は松、竹は竹、人は人という特性を発揮することで、

そうして育成されていくという意味です。

これこそが天の最大の働きで、道徳のもう一つの意味は、この「創造」にあります。

「動態的で精力的な創造活動」、これこそが道徳の意味です。

つまり、「道徳なき経済は経済にあらず」という言葉には、

「新たな価値を生み出さなければ、それは経済ではない」という意味も含まれています。

 

参考文献「リーダーの指針 東洋思考」(田口佳史著 かんき出版)      

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第7回「万物斉同」(莊子)

2021年10月21日 | 日記

【人生をひらく東洋思想の言葉】  

第7回

「万物斉同」 (莊子)

 

老荘(老子・莊子)思想のひとつである莊子(そうじ)は、万物斉同(ばんぶつせいどう)を唱えました。

このように存在するすべての物は同じだという考え方です。

 

Zhuangzi,oen of the two most prominent Taoist masters,for eaxmple believed everything that

exits in this world is in fact one and the same.

 

前回、お伝えした重重無尽という考え方は、「異質なものを受け入れる」ということでした。

今回の万物斉同という考え方は、「すべては同じである」ということです。

 

東洋思想は相反する概念を受け入れ、それらを超越した絶対の無、

老荘思想でいうところの「道」の境地に立てば、すべては同じであるとする思想である。

我々人間は、どうしても善悪やなど相対的なものに振り回されてしまいがちで、

昨今様々な地域においても、以前では考えられなかったような対立が生まれており、

溝が深まる状況に光をもたらす思想であると感じています。

 

参考文献 「日本を語ろう」(高久多美男 神谷真理子著 ジャパニスト出版)

                

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第6回「重々無尽」 (仏教)

2021年10月14日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】 

 

第6回

「重々無尽」 (仏教)

 

東洋の考え方の根本を表す言葉に、重々無尽(じゅうじゅうむじん)というものがあります。

この世のあらゆる物は無駄がなく、相互に際限なく連関しあって存在しているという意味です。

 

The traditional oriental views are based on a very different concept;

the idea that everything in the universe is infinitely connected and

everything has a purpose.

 

この考え方があるので、我々日本人は「ご縁」という縁起を大切にしています。

ですので、すべて無駄な人もいないとわかると、

お互いの助け合い、支え合い、活かし合うという発想がとても大事だと感じます。

ですが、どこか特別意識や偏った意識や感情が生まれてくると、

そこには排除しようとする感覚も生まれます。

ですので、異質なものを受け入れていくという考え方が大切になってきます。

常にその気持ちを意識していくことが大事かと感じます。      

 

(参考文献) 「日本を語ろう」(高久多美男 神谷真理子著 ジャパニスト出版)

 

         

(参考文献)「清く美しい流れ」(田口佳史著 PHP研究所)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第5回 「和敬静寂」 (茶道 千利休)

2021年10月07日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】 

 

第5回

「和敬静寂」 (茶道 千利休)

 

 茶道としての大成者で、茶聖とも言われる千利休が目指した

茶の湯の精神のすべてがここにあります。

「和敬静寂」という言葉を用い、

利休は茶人とはどうあるべきかを示されました。

 

は、ピース アンド ハーモニー(peace and harmony)

は、リスペクト(respect)

は、ピューリティー(purity)

は、トランキュイリティー(tranquility)

 

他人と和し、敬い合い、自浄の志とゆるぎない信念を持つ。

それが、茶の湯に親しむ理想の姿なのだと。

この言葉から、日本のおもてなしの心などが 育まれてきたのかと感じます。

いまこそ、この日本人の持っている感性を、

様々な分野で活かして 世界に表現する時かと感じています。

茶道は、まだ たしなみがないのですが、

ご縁があれば 今後じっくりその精神とともに 習得していけたらと思っています。

 

 (参考文献) 「日本の心 伝えます」(千玄室著 茶道裏千家 第十五代・前家元 幻冬舎)          

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする