人生をひらく東洋思想からの伝言

東洋思想の言葉やその精神を通じて、ともに学びながら人生や経営をひらいていけたら嬉しいです。

第105回「徳を含むことの厚きものは、赤子に比す」(老子)

2023年09月25日 | 日記
【人生をひらく東洋思想からの伝言】

第105回 
 
「徳を含むことの厚きものは、赤子に比す」(老子)
(とくをふくむことのあつきものは、せきしにひす)

 
私が東洋思想の中でも、老荘思想に対して特に惹かれてしまうのは、

本質を見事に表現しているからだと思います。
 
何千年もの間、世界中の人達に読み継がれてきた言葉だけに説得力があります。
 
今回ご紹介する言葉も、「徳のある人は、まるで赤ん坊のようである」と言っております。
 
 
赤ん坊は、世間の垢にも、まみれておらず、生命力にもあふれていて、

柔軟性にも富んでいると言っています。
 
その状態は、老子が生き方として大事だと言っている「道」のあり様を

自己のあり様にしている理想的な生き方であり、

「徳」があるからだと老子は表現しています。まさに、老子らしい表現ですね。

 
我々人間は、死に近づくに従って、頭も心も硬くなってしまいがちです。
 
ついつい、気がつかないうちに、自慢話をしたくなったり、説教くさくなってしまったり、

上から目線になってしまう可能性もあるので、自戒の念も含めて気をつけたいと思います。
 
だからこそ、赤ん坊を生き方の理想として、余計なものに囚われないよいように、

頭を柔軟に保ち、自らを見失うことなく、道ともに歩んでいくように、

気をつけて生きていきたいものです。

 
東洋思想の言葉に触れると、ハッとする事ばかりで、

自分自身を振り返る事ができるので、その習慣は、内省する時間であり、

自己との対話をする大切な時間になっています。


【参考文献】『老子の無言』田口佳史著 光文社
 
 
 
 
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第104回「四時の序、功を成す者は去る」(十八史略)

2023年09月18日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】

第104回 

「四時の序、功を成す者は去る」(十八史略)
(しじのじょ、こうをなすものはさる)


季節は常に移り変わるものです。

四時の序とは、春夏秋冬の順序の事を指しています。

春は春で、しっかり春にしかできない役割を精一杯果たして、次の夏に繋いでいきます。

夏は夏で同様に夏の役割に徹することで、次の秋に繋いで、冬へと移行していきます。

そして、また春へとなっていきます。

このように、四季が巡るように、

人の役割も、次の人へとバトンタッチしていけないといけません。

それが、宇宙の道理でもあるからです。仏教的には、諸行無常という言葉がありますが、

まさにすべては移り変わるということを端的に説いています。すべては、無常であると。

今回、ご紹介させて頂く言葉は、まさにその本質を表現している言葉だと思います。

この一瞬の輝きがもたらされるのは、今までの先人の叡智や恩恵によるものだと思いますし、

それを見守ってきた大宇宙そのものへの感謝以外に、なにものでもないように感じます。


先日、人間学を学ぶ月刊誌である「致知」創刊45周年式典が行われ、

御縁を頂き、参列させていただきました。

まさに、そこには人間学を究めようとする同志と偉大な先輩方が

一堂に集まっている稀有な時間と空間でした。

まだまだ、日本も捨てたものではないと改めて感じました。

これから創刊50周年、100周年と時を重ねるごとに、

自分自身もさらなる精進を心に誓い、そして、さらに社会へお役に立てるよう、

益々人間力と品格を磨いていきたいと切に思いました。


参考文献
『致知2023年10月号』 致知出版社

 

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第103回「春風を以て人に接し、秋霜を以て自ら粛む」(言志四録、佐藤一斎)

2023年09月11日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】

第103回

「春風を以て人に接し、秋霜を以て自ら粛む」(言志四録、佐藤一斎)

(しゃんぷうをもってひとにせっし、しゅうそうをもってみずからつつしむ)

 
これは、江戸時代後期の儒学者、佐藤一斎がまとめた語録からの言葉になります。
 
佐藤一斎は、美濃岩村藩の家老の子として生まれたのですが、

21歳のときに士藩を脱し、儒学をもって身をたてることを決意。

34歳で、江戸幕府の儒官として文教を司った林家の塾長となりました。
 
『言志四録』は、佐藤一斎の後半生の40年にわたって書かれた語録で、

『言志録』、『言志後録』、『言志晩録』、『言志耋録』の四篇をまとめて、

『言志四録』と呼んでいます。


一斎の門に学んだ人は数千人。なかでも有名な人物は佐久間象山で、

その象山の門下からは、

勝海舟、坂本龍馬
、吉田松陰ら幕末の志士らが多く輩出されました。
 
また、吉田松陰の門下からは、

高杉晋作、久坂玄瑞、木戸孝允、伊藤博文、山県有朋らなどが、輩出され、

明治維新を形成するに至りました。

 
さらに特筆すべきは、西郷南洲(隆盛)が、この『言志四録』を愛読したことが挙げられます。
 
佐藤一斎の教えは、明治維新の原動力となった書、とも捉えられています。
 
さて、今回の言葉は、「他人に対しては春風のように接し、自分に対しては秋霜烈日のごとく厳しくする」

という意味合いになります。
 
「人には温和に穏やかに振る舞い、自分に対しては、しっかりと慎独の如く、律すること」
 
その心構えをしっかりぶらさない若きリーダーたちが、

明治維新の際には、沢山いたからこそ大きな変革を なしえたのだと思います。
 
少しでもその心構えに近づけるように、今後も精進していきたいと思います。
 
 
参考文献
『リーダーに大切な「自分の軸」をつくる言葉』
 田口佳史著 かんき出版
 
 
 
 
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第102回 「事業とは」(易経)

2023年09月04日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】 

第102回

「事業とは」(易経)


これは、易経の中からの言葉になります。

「化して、これを裁する。これを変と謂(い)い、推してこれを行う、これを通と謂い、

挙げてこれを天下の民に錯(お)く、これを事業と謂う。」


事業という言葉の由来や語源は、ここからきたともされており、

感慨深い言葉になります。

本来、事業とは 社会貢献を指すものであったそうで、

世の中のニーズに応じて、適宜に処置し変化させながら、

推進して物事を通じさせていく、この「変通」の道理によって、

社会の道を整え、国民を導いていくことを「事業」といったそうです。

そのような想いから導きだされた事業というのは、

100年先をも見据えて行われていくようなものも多く、

本当の意味で、国民の生活を豊かに幸せに導いていくものだと感じます。


参考文献
『易経一日一言』竹村亞希子著 致知出版社

 

 

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