人生をひらく東洋思想からの伝言

様々な東洋思想の言葉やその精神を通じて、ともに学びながら一緒に人生や経営をひらいていけたら嬉しいです。

第47回 「時に六龍に乗り、もって天を御す」(易経)

2022年07月30日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】

第47回

「時に六龍(りくりゅう)に乗り、もって天を御(ぎょ)す。」(易経)


これは、すべて生成発展の段階で語られる、有名なお話になります。

龍は雲を呼び、雨を降らすと言われていて、

そこから龍は「天」と「陽」を象徴する生き物とされています。

易経、六十四卦(か)の乾為天(けんいてん)の卦には、

龍になぞらえて、志の達成までの変化の過程が 次の六段階で記されています。


第一段階 「潜龍(せんりゅう)」

高い志を描き、実現のために力を蓄える段階。


第二段階 「見龍(けんりゅう)」

基本を修養する段階。基本がすべての土台となるので、

ここでの在り方が 今後の基盤となってきます。


第三段階 「君子終日乾乾(くんししゅうじつけんけん)」

創意工夫をして、独自性を生み出そうとする段階。


第四段階 「躍龍(やくりゅう)」

独自の世界を創る手前の試みの段階。


第五段階 「飛龍(ひりゅう)」

一つの志を達成し、隆盛を極めた段階。


第六段階 「 亢龍 ( こうりゅう )」

一つの達成に行き着き、窮まって衰退していく段階。



この六段階を「六龍(りくりゅう)」と言われていまして、

この六つの過程は、朝昼晩、春夏秋冬の変化過程と同じであり、

大願成就の天の軌道である とも言われており、

その段階ごとに どのような意識で過ごせばいいかを説いている貴重な言葉になります。

私も最初にこの言葉を知ったときに、自分自身の未熟さを改めて知り、

常にどんな状況においても、常に潜龍だという自覚をすることが大切だと知りました。

それを自覚することで、少し気持ちが楽になり、

同時に気持ちが引き締まったような感じがしました。

やはり、易の世界は深いですね。


参考文献
『易経一日一言』竹村亜希子著 致知出版社

 



箱根神社の「龍神水舎」

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第46回「万物も皆吾が一体なり」(菜根譚)

2022年07月23日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】 

第46回

 「万物も皆吾が一体なり(ばんぶつもみなわがいったいなり)」(菜根譚)

 


これは、菜根譚(さいこんたん)という書物からの言葉です。

日本では沢山の方々に読み
継がれている本で、ご存じの方も多いかもしれません。

菜根譚は、明の時代(1368年
~1644)末期、洪自誠(こうじせい)の著。

儒教、道教、仏教の教えを融合して、

生き
方の極意を前集222,後集135に要領よくまとめられています。

読むと、心がホッ
として、あたたかい人情を大切にして、

人生がうまくいく幸せの道をやさしく説いていま
す。

どんなことがあっても、相手と一体感を感じていると、

同情しあったり、仲良くなれるの
ではありませんか?ということを言っているようです。

そうでないと、そこに壁が生れて


「なんでわかってくれないんだろう」とか、疑心暗鬼になって、

相手を避けたくなった
り、疑いのこころが芽生えてしまいます。

 

昔からある意味で、人間の本質やこころは変わっていないんですね。


今の時代は、一体感を感じるのが難しい時代ですが、

だからこそ、赦し合い、支え合い、
お互いが一体感に包まれていったら、

争いなどはなくなるのになぁと感じます。

菜根譚はとても親しみやすい書物なので、

良かったら手に取って頂けるといいかもしませ
ん。

プロ野球の監督だった野村監督が こよなく愛した本として有名です。

 

参考文献
『超訳 菜根譚』境野勝悟著 三笠書房知的生き方文庫

 

 

(神田明神  えびす様)

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第45回 「木鶏(もくけい)」(荘子)

2022年07月15日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】

第45回

「木鶏(もくけい)」(荘子)

この言葉の出典は、荘子(そうじ)という書物にあります。

この話は様々な方々によって語り継がれてきた話なので、

お聞きになった方もいられるかも知れませんが、私も大好きなお話のひとつです。

それでは、ご紹介いたします。


私も大相撲は大好きですが、今までの力士の最高峰といえば、

往年の名横綱と呼ばれた「双葉山」ではないでしょうか。

この双葉山が師事をしていた方が、昭和の時代において、

歴代首相のご意見番と呼ばれた安岡正篤(やすおかまさひろ)先生でした。

安岡先生に関しては、このブログでも何度かご紹介しておりますが、

私も大変尊敬する先生の一人です。

昭和における政財界の要人が師事をしており、精神的支柱でもあり、

国民的教育者でもありました。

双葉山が横綱になる前、連勝して人気が抜群だったそうで、

ある時にひいきの友人が安岡先生を紹介したそうです。

先生は一言、「関取、おごってはいかんよ。きみはまだまだだよ」といったそうです。

むかっとするかと思ったら、双葉山は少しも怒らずに

「先生、どういうところがまだまだなんでしょうか?」と丁寧に尋ねたところ、

先生はこのような話をされたそうです。


昔、中国に闘鶏の好きな王がいた。王は一番強い軍鶏(しゃも)を養成しようと、

紀省子(きせいし)という男に調教を命じた。10日ばかり経って、

「どうだ、そろそろ戦わせてもよいかな?」と尋ねると、

紀省子は、「いや、まだです。まだ、オレがオレがという態度で空威張りしていますから

戦ってもすぐにやられてしまいます」と答えた。

また、10日ほど経って、「どうだ、もういいか?」

「まだ、駄目です。他の軍鶏を見たり鳴き声を聞いたりすると興奮しますから、

いざ戦いになると、アガってしまいます。」

仕方なくまた10日ほど待った。「そろそろいいだろう?」と王がやきもきして尋ねると、

「まだですね。他の軍鶏を見ると、にらみつけて威圧しようとします。

これは実力じゃありませんから、もう少し教育しましょう。」と答える。

また10日が経った。「まだ、駄目かな?」と聞くと、

「もう大丈夫です。他の軍鶏の鳴き声を聞いても、姿をみても平気です。

まるで木で彫った鶏のようです。この分なら、敵はこちらをみただけでも逃げ出します。」

と答えたという。


これを聞いた双葉山は、すっかり感心して、先生に『木鶏』という色紙を書いてもらって

大切にし、その場で瞑想していたそうです。

おかげで大横綱になった双葉山は、69連勝をしたそうです。

(この記録は未だに破られておらず、平成の大横綱と呼ばれた白鵬でも63連勝です。)


そのころ安岡先生は、船でヨーロッパへ航海していたそうで、

船がインド洋に差し掛かったころ、双葉山から先生に電報が入りました。

ボーイが持ってきた電報には、

「イマダモッケイニオヨバズ(未だ木鶏には及ばず)」とあったそうです。



昔の達人、偉人同士の交流やふれあい、そして師弟関係には、謙虚さ、そして愛があり、

その奥にユーモアがありますよね。とても、粋な世界があるように感じます。

そこに、こういった東洋思想的な教養が通い合っていて、

その時にでてくる言葉が心にズシリとくるような感じがあり、

たまらなく惹かれます。


参考文献『仏教の知恵』大栗道榮著 日本文芸社

 

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第44回「桃李言わざれども 下自ら蹊を成す」(史記)

2022年07月09日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】

第44回

「桃李言わざれども 下自ら蹊を成す」(史記)

(とうりものいわざれども したおのずからみちをなす)

 

“桃”や“李(すもも)”の木は 美しい花を咲かせ 美味しい実をつける

何も言わなくても 人が自然に集まってきて

その下には 自然に道ができる。


この言葉は 徳のある人物のもとには

黙っていても 人々が自然と慕って集まってくる という意味だそうです。

そのような人は 関わる人達を日頃から思いやり

大切にしているからこそ その人のために出来ることをしようとするのでしょう。

このような人物になりたいものです。

 

参考文献
『中国古典一日一言』守屋洋著 PHP研究所 
 
 
 

ちなみに我が家の庭ではザクロとブドウが実をつけています。
日々 目を楽しませてくれています。

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第43回「学びて然る後に足らざるを知り 教えて然る後に困しむを知る」(礼記)

2022年07月01日 | 日記

【人生をひらく東洋思想からの伝言】

第43回

「学びて然(しか)る後に足らざるを知り

 教えて然る後に困(くる)しむを知る」

 礼記(らいき)

 

学ぶ事によって自分に不足しているものがわかってくる。

だから、学ぶことには終わりがない。

教える事は、準備を含めて学び、それでも充分ということはない。

ましてや、常に自分の未熟さを思い知らされる。その困しみである。


東洋思想が大好きだからこそ、このブログを始めましたが、

毎回この言葉が、身に染みてきます。

でも、好きだからできるのは有り難いことです。

 

参考文献
『中国古典一日一言』守屋洋著 PHP研究所 

 

 

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