【人生をひらく東洋思想からの伝言】
第47回
「時に六龍(りくりゅう)に乗り、もって天を御(ぎょ)す。」(易経)
これは、すべて生成発展の段階で語られる、有名なお話になります。
龍は雲を呼び、雨を降らすと言われていて、
そこから龍は「天」と「陽」を象徴する生き物とされています。
易経、六十四卦(か)の乾為天(けんいてん)の卦には、
龍になぞらえて、志の達成までの変化の過程が 次の六段階で記されています。
第一段階 「潜龍(せんりゅう)」
高い志を描き、実現のために力を蓄える段階。
第二段階 「見龍(けんりゅう)」
基本を修養する段階。基本がすべての土台となるので、
ここでの在り方が 今後の基盤となってきます。
第三段階 「君子終日乾乾(くんししゅうじつけんけん)」
創意工夫をして、独自性を生み出そうとする段階。
第四段階 「躍龍(やくりゅう)」
独自の世界を創る手前の試みの段階。
第五段階 「飛龍(ひりゅう)」
一つの志を達成し、隆盛を極めた段階。
第六段階 「 亢龍 ( こうりゅう )」
一つの達成に行き着き、窮まって衰退していく段階。
この六段階を「六龍(りくりゅう)」と言われていまして、
この六つの過程は、朝昼晩、春夏秋冬の変化過程と同じであり、
大願成就の天の軌道である とも言われており、
その段階ごとに どのような意識で過ごせばいいかを説いている貴重な言葉になります。
私も最初にこの言葉を知ったときに、自分自身の未熟さを改めて知り、
常にどんな状況においても、常に潜龍だという自覚をすることが大切だと知りました。
それを自覚することで、少し気持ちが楽になり、
同時に気持ちが引き締まったような感じがしました。
やはり、易の世界は深いですね。
参考文献
『易経一日一言』竹村亜希子著 致知出版社
箱根神社の「龍神水舎」