松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆子ども・若者総合支援条例の検討が始まる(1)市長の決意

2020-09-25 | 子ども・若者総合支援条例
 多摩市で、子ども・若者総合支援条例の検討が始まった。

 子ども・若者については、子どもの権利条例、子どもの保護・支援条例、若者のまちづくり参画を目指す若者政策条例等があるが、全体をまとめる(総合化)条例づくりを目指すものである。

 とりあえず名称は、子ども・若者総合支援条例であるが、総合はいいとして、支援だけというのは、十分でないと思う。今後の検討によって決まってくるが、『子ども・若者が自分らしく成長できるまちをつくる条例』や『子ども・若者のみらいを後押しできる総合まちづくり条例』などが、とりあえずの私の対案である。

 市長さんのお話等を敷衍すると、この条例のターゲットは、子ども・若者そのものとともに、その子ども・若者に向き合う大人、それらを取り巻く社会(関係機関、自治体も含む)を対象とする条例である。これらを含めた概念がまちであるが、そうした住みやすい、住んでみたいと誇りを持って思える、まち・多摩市をつくろうという志の高い条例である。

 この日は最初で、阿部市長さんの挨拶があった。通り一遍の挨拶ではなく、市長さんが、この条例にかける思いが発現した挨拶となった。

 阿部市長の発言で、印象に残ったことをメモしておこう。

1.大震災、原発事故、コロナ禍など、想定外のことが次ぎ次ぎ起こってくる。そのなかでも、変わらず大事なものは、子ども、若者の未来である。

2.ユニセフが行った調査では、日本は、精神的な幸福度で37位と最低レベルであった。国民生活基礎調査では、「子どもの貧困率」は13.5%で7人に一人が貧困状態になっている。シングル家庭に限れば48.1%が貧困という状況である。

3.子どもの権利条約が採択されて31年たつが、日本の大人は、手を胸にあて、何をやっていたのか検証する必要がある。子どもの総数が減少しているにも限らず、いじめ、自殺、偏見、差別、虐待、事案はより顕在化しつつある。

4.もう一度、原点から見つめ直し、子ども、若者が、子どもの権利条例でうたわれた、生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利が当たり前のこととして、社会のなかで確認されているか。行政計画の中にきちんと反映されているのか。市民一人一人の中に育っているのか。子ども・若者の未来に対して、大人たち(社会)は、きちんと向き合っているかが、コロナ禍で、あらためて問われている。

5.困難を抱える子ども・若者の問題を見逃さないよう、市・関係機関・地域が切れ目のない支援・協力体制を組むことによって、「誰ひとり取り残さない」ことが必要である。

6.子どもは守られるだけの存在ではなく、みずから考え行動できる存在である。未来を担う子ども・若者の意見をしっかりと尊重し、子ども・若者がチャレンジすることを応援する社会をつくるべきだ。

7.多摩市は、これまで、子ども・若者に対して、多く施策を積み上げてきた。これを前提にさらに、前に進むべき。底上げをしていこうではないか。

8.この条例では、「多摩市内の関係者・市民が一つのチームとなって、子ども・若者の成長を応援する」というメッセージを多摩市から全国に発信していきたい。

 挨拶では、子ども・若者が、それぞれの個性・特性に応じて、自分らしく成長できるまちをつくる条例であることを明確に語られた。
 憲法13条は、個人の尊重を宣言している。個人の尊重とは、一人ひとりが価値があるということである。そういうまち・多摩市をつくっていこうではないかという思いを述べられたのだと思う。がんばろう。


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