松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆自治基本条例推進委員会の模索(戸田市)

2016-08-03 | 1.研究活動

 戸田市の自治基本条例推進委員会があった。

 この日は、今年度行う自治基本条例推進フォーラムの内容と来年度の予算がテーマになった。ということは、自治基本条例推進委員会とは何かという基本論が、そのまま論点になる。

 全国で自治基本条例ができて、その推進組織として委員会ができている。その多くは苦しんでいるようだ。その基本的役割は、自治基本条例の推進であるが、ここから2つのパターンに大別される。

 一つが、進捗管理、チェック機関としての推進委員会である。
 ・このパターンだと、推進委員会は、年1回、行政からの進捗状況の報告を受けて、それを確認するという作業になる。
 ・開催回数は、年に1,2回、内容は、行政に対する質疑中心になる。
 ・年1度、フォーラムを開催しても、講演会が中心となる。自治基本条例では人が集まらないので苦労して、そのうち、集客のために落語家など、楽しい系の講師を呼ぶようになる。しかし、こんなフォーラムをやっても、人は集まるが、自治基本条例の理解が深まるわけでもなく、やる意味がどんどん不明確になる。そのうち、予算も削られて、存在感のない推進委員会になる。

 しかし、そもそも、自治基本条例をつくったのは、行政と市民を分断を改め、市民は行政を監視するという従来型の自治を変えるためでなかったのか。推進委員会も、上から目線で、行政をチェックし、進捗の確認をする委員会ではない。

 この立場では、推進委員会は、自治基本条例で目指したこと、つまり、市民がまちづくりの当事者として、自分たちのまちは自分たちで作るという社会を少しでも、後押しすることが役割となる。評論家の委員会から、自ら考え、行動する委員会となるものである。行政の附属機関で、そんな委員会は初めてかもしれないが、だからこそ、これまでの自治をかえる自治基本条例の委員会といえる。

 この立場では、推進委員会は
 ・せめて2か月に1回くらい開催されないと、議論も行動もできないだろう。
 ・年1度行うフォーラムも、課題解決型となる。自分たちのまちは自分たちで作るという自治を進めるにあたって、大きな課題となっているテーマを取り上げ、その解決策を探る会となる。
 ・人を多く集めることが目的ではなく、議論を深めることが目的となる。

 この立場で出たアイディアは、町会の活性化である。
 ・マンションが多く、新住民が多い戸田市では、町会への参加や関心が低いが、みんながどうすれば町会に関心を持ってくれるか、あるいは担い手不足の中で、町会自身が活性化するためにはどうしたらよいかを考えるといったことがテーマになる。
 ・実際に町会などの地域活動をしている人が集まって、自分たちの課題を共有し、そこから解決のヒントを見つけるものとする。こうすればうまくいったという成功例も紹介されるといいだろう。
 ・同時に、地域活動に関心のある人にも参加してもらって、新たな視点からのヒントや新た担い手の掘り起こしを考えたらいいだろう。こうした人を見つける方法として、住民票で無作為抽出し、参加を呼びかける方法がよいだろう。参加率は、1%から3%にとどまるが、集まってくる人は何らかの関心がある人である。

 つまり、私が標榜する自治基本条例推進委員会は、行政の監視機関でもなく、あるいは行政のやることを追認する御用機関でもなく、地域や住民の立場から提案し、いうだけでなく実践するシンクタンク機関である。

 戸田市の会議は、夜の7時から。いつもは、授業を終えていくことになるので、いつもぎりぎりに会場に着く。ただ、この日は夏休みなので、ゆっくり余裕をもって出かけたが、戸田公園駅の日高屋でゆっくりしすぎて、結局、滑り込みセーフになってしまった。

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