松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆都知事選の結果を受けて思うこと(三浦半島)

2016-08-02 | 1.研究活動

 東京都民ではないが、都知事選では感じることが多い。

 一番気になるのは、小池さんが行った劇場型の選挙運動である。その問題意識は、以前投稿した「住民投票とポピュリズム」でも指摘したところである。「EUの国民投票やトランプ現象のように、たしかに首長や議員といったエスタブリッシュメントに対する漠然とした不満や不信が市民の間にあり、あるいは市民が漠然と思っている思い込みなど(職員は豪華庁舎で高給をもらってのんびりしているといった都市伝説)に働き掛けて、良いか悪いか、単純にわかりやすく、二者択一で迫る住民投票は、悪しき反知性主義やポピュリズムを加速させるものになってしまう」。悪しき反知性主義やポピュリズムにつながる言動が、今回の選挙でも展開された。

 今回、悪としてターゲットにされたのは、東京都議会で、その、いかにもふてぶてしそうな自民党東京都連の幹事長が名指しされ、諸悪の権化とされた。私は、面識がないので、その人がどんな人なのかわからないが、はっきりしているのは、人は一面では評価できないということである。光と影があるように、誰にも、いい面、悪い面があり、100%の良しも、100%の悪もありえない。にもかかわらず、一面だけに光を当て、そこを徹底的につく手法は、卑怯だと思う。

 そもそも、私たちの民主主義の基本は、価値の相対性である。それぞれの主張に、それなりの良いところがあり、それを寄せ集め、あるいは止揚して、より良いものをつくっていく社会である。そういう社会にずっと暮らしながら、平然と一つの欠点を大きく取り上げ、それがあたかも全体かのように決めつける振る舞いができるという神経は、私の理解の範囲を大きく超える。子どものころから、悪口は心の中に納め、口に出すものではないと、親から教わってきたではないか。

 私が驚いたのは、それにもかかわらず大差の勝利となったということである。人の悪口を言うだけで、リーダー失格という烙印を押されるかと思ったが、結果は大きく違った。むしろ喝采を受けたのだろう。これは東京都が自治体として大きすぎて遠すぎるためだろうか。

  選挙の日、後楽園球場へ行った。試合は、ヤクルトはまるでいいところがなく、ジャイアンツの一方的な勝利だった。得点が入るたびに、球場全体を埋め尽くすジャイアンツファンが、オレンジのタオルをぐるぐる振り回す姿が、なぜか東京都知事選とかぶってしまった。そんなことを考えずに、楽しむべきだと心したが、あまりの凡戦だから、そう思ったのかもしれない。

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