松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆東京都知事選に思うこと(三浦半島)

2016-07-18 | 1.研究活動

 東京都民ではないが、都知事選挙は興味深い。ネットの記事を見ていると、鳥越さんが一番たたかれ、次いで増田さんである。総じて、小池さんには甘いようだ。その点、テレビは違うらしい。テレビのワイドショーは、ジムで自転車こぎをしている時しか見ないので、本当かどうかはわからないが、こちらは鳥越さんが高評価のようだ。テレビとネットの違いは、興味深い。

 3候補のうち、誰が好ましいかは、たくさんの基準があるが、地方自治の理解度という点からみると、次のように言えるだろう。

 小池さんは、都議会の冒頭解散をすると言った。国政と違って、議会から不信任でもされない限り、知事による都議会の解散はできない。もし、知らずに言ったら落第であるが、前後の文脈見ると、小池さんは、それを知ったうえで言っているようではある。だとすれば、できもしないことを、さもできるかのように、こけおどしのように言うやり方は、市民をなめていると思う。少なくとも、地方自治は二元代表制で、長と議員の双方が、住民の代表であり、その双方が政策競争を通して、よりよい政策をつくっていくという日本の地方自治の基本を実感として理解できていないのだろう。

 鳥越さんであるが、安部政治がおかしいなどといった理由で、東京都知事に出るのは、明らかに筋違いである。東京都がやることは、あくまでも地方自治だからである。国政と地方自治は、テーマも行動原理も違う。それでも、鳥越さんのような論をとる人はかなり多いが、地方自治はしょせん、国政の一部くらいにしか思っていないのだろう。鳥越さんは、おそらく地域活動をやったことがないと思う。

 増田さんは、この点では、理解度は高い。特に、総務大臣のころにやった、東京の税金を地方に振り分ける政策は、日本の地方自治がよく分かっているゆえだと思う。ただ、選挙に当たって、それを非難する市民や評論家の声に押されて、揺り戻しがあるようにも感じられるが、ここは頑張りどころだろう。ここでブレたら、知識としての地方自治はあるが、結局、信念としての地方自治はなかったという評価を受けることになるのだろう。

 三者三様、私などが与り知らない苦労があって、発言や行動をしているのだろうから、傍観者が、軽々しく言うべきではないかもしれないが、地方自治の本筋とはずれたところで、都知事選挙が行われているのが残念なので、やや余計なことを書いた。

 さて、この記事で、私が一番言いたいのは、鳥越さんを巡るネットの記事である。坊主にくければ袈裟までにくいのだろうか、「鳥越さんのガンは完治していない、治ってなどいない」あるいは、一挙手一投足をあげて、認知症やボケだという記事であふれていることである。中には、医療データを持ち出して、鳥越さんのガンは再発するのだと論証しているものまである。人品卑しいというか、正気の沙汰とは思えない。人が頑張って、本人の責任とはいえない病気や抱える課題を克服しようとしているのであるから、まずは、頑張ってくださいと大いにエールを送り、その上で、しかし、あなたの政策は、この点で私は違うと思う・・・というのが普通ではないか。

 とくに鳥越さんには、地方自治の政策をもっと、きちんと出して、逃げずに真正面から議論してほしいと思っているが、このままだと、泥仕合になって、政策論議が深まらず、再び、都民が割を食う結果になってしまうのではないだろうか。

 

 

 

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