松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆地方自治研究者・実践者

2022-01-30 | 地方自治法と地方自治のはざまで
 大学を定年退職して、分かりやすい肩書がなくなり、自分の名乗りを改めて考えることになった。名誉教授と名乗る人もいるが、相模女子大学の場合は、15年の教授歴があれば、そのまま名誉教授であるが、私は、15年いなかったので、名誉教授ではない(不名誉教授という記事を書いたことがある)。

 今井さんに、「地方自治研究者、実践者」と名付けてもらい、それを名乗っているが、これも今ひとつ、分かりにくいようだ。この際に、詳しく解説しよう。

 地方自治研究者としては、私は、これまでの監視の地方自治から「励ます地方自治」への転換を標榜している(体系的にまとめたものが『励ます令和時代の地方自治―2040年問題を乗り越える12の政策提案 』(木鐸社・2020年)、簡潔にまとめたものとして『励ます地方自治―依存・監視型の市民像を超えて』(萌書房・2016年))。

 地方自治の実体をよく見ると分かるが、たしかに自治体には、国家の管理機構の一部としての役割もあり、そこでは、住民の参加、監視が必要になるが、自治体のもう半分の仕事は、地域の共同体の事務に由来する事務で、ここでは、監視ではなくて、相互の信頼、連携、協力が行動原理となってくる。

 励ます地方自治は、この地方自治の二面性に注目するものであるが、学界では、残念ながら、ほとんど相手にされていない。ただ、このままいくと、早晩、2040年問題がのっぴきならないことになるが、その時には、私の励ます地方自治が「発見」され、評価を受けるのではないかと楽観している。

 一方、地方自治の実践者のほうは、協働と最近は若者参画が主たるフィールドである。

 協働は、創生期の1992年からで、もう30年も関わっていることになる。私の協働論は、新しい公共論から出発した「一緒にやる協働と一緒にやらない協働」論であるが、「一緒にやらない協働」(?)と、これもほとんど理解されていない(私の協働論は、『市民協働の考え方・つくり方 (萌書房・2006年)、『協働が変える役所の仕事・自治の未来―市民が存分に力を発揮する社会』(萌書房・2009年を参照)。

 若者参画のほうは、2011年からなので、こちらは、まだまだ創生期である。だから、たくさんの本を書いていて、今は『自治体が生き残るための「若者参画政策」立案と推進の決め手』(第一法規)の執筆中である。

 私が考える実践者とは、政策起業家の意味でもある。私は、出自が政策マンなので、単に政策を提案するだけでなく、それが自治体で実践されるまでを射程に入れて活動している。

 政策起業家として、これまでも、統一地方選挙にあわせて、新しいテーマの本を書いてきたし、仕事でさまざまな市長さんにお会いするたびに、私が大事だと思う新しい政策を紹介してきた。

 若者参画政策についても、何人かの市長さんに、お会いするたびに、これからは若者参画であると、その意義を説いてきた。しかし、どの市長さんも、「いいですね」とは答えてくれるものの、これを政策に掲げる市長さんはいなかった。そのなかで、唯一、「私もそう思う」と応じてくれたのが、愛知県新城市の穂積亮次市長だった。2013年8月25日、第1回の市民まちづくり集会がスタートする前、新城文化会館の3階の控室だった。お弁当を食べながらの話だったと思う。その後の新城市の若者参画政策の展開は、別の本に書いた。

 少しは、分かりやすかったろうか?
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