職員の地域活動を人事評価に使えるか。マイブームは、地方公務員法なので、こんな課題を思いついた。
1.東京市町村調査会が、2019年に「公務員の副業による地域活性化に関する調査研究」をやっている。直接のテーマは、副業であるが、そのなかで、地域貢献活動を人事評価につなげているかについて、副業を認めている3自治体を対象に調査している。
■神戸市 人事評価との関係について 地域貢献応援制度を活用している(副業をしている)ことを人材評価に反映させる取 組は行っていない。地域貢献自体は、意義があることであるが、業務外の活動を人事として明確には追いきれな いという問題が生じてしまう。本業である職務の特性や、家庭の事情などにより副業に 取り組める条件も異なる。
副業はあくまで時間外・業務外の活動として捉え、 人事評価は業務内で行うことを基本とすべきであると考えている。ボランティア表彰な ど、別の形で顕彰することは考えられる。
■生駒市 人事評価には、業績評価と 能力評価があるが、能力評価のところで「求める職員像」が評価項目になっている。そ の中に「市内外問わず、地域貢献活動をしているか」を入れている。
■新富町 以前、地域での活動に参加しているか否かを人事評価につなげていたが、業務外の活動であることから、現在ではチャレンジ項目にし、評価にはつなげていない。
2.職員の地域活動は、人事評価に使える可能性はある。
• 地域活動への積極的な参加は、地域社会への貢献意欲や社会貢献意識の高さを示している。
• 地域住民との交流等を通して、コミュニケーション能力や協調性があることを示している。
• 地域課題の解決能力や地域イベントなのの企画力があるという判断の参考になる。
• 地域のリーダーとして活動しているということは、リーダーシップやマネジメント能力があるとみることができる。
3.課題もある
• 業務外のことで、職員の地域活動の内容や成果を客観的に評価できない。
• 業務や家庭の事情等で、職員が平等に地域活動に参加できるわけではない。
• 人事評価につながるとすると、地域活動への参加が職員の義務となり、地域活動本来の趣旨に反することになる。
4.どう考える
・人事評価は公正に行われなければならない(23条①)。その観点からは、客観性が乏しい地域活動を評価基準とするのは無理があるだろう。
・職員の地域活動への参加は、役所の期待するあるべき公務員像の実現にプラスに働く。推奨、支援していくことは必要である。
・職員の地域参画が揺らがないためには、きちんとした理論が必要だろう。私は、「公務員という仕事をしている市民」という概念が大事だと考えている。
・地方公務員法の公共論が問われているのだろう。共同体主義(コミュニタリアニズム)からの再構築が必要なのだろう。
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