松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆ふるさと納税⑥地方交付税は破綻状態

2020-04-20 | 域外住民への関与
 ふるさと納税制度では、寄付を受けた自治体(と寄付者)は、もうけ(受益)になるが、その分は、寄付者の住所地の自治体と国が、負担することになる。

(1)寄付を受けた自治体では、地方交付税の基準財政収入額に,寄付金収入は参入されない。これまで、一生懸命に税収を増やしても、地方交付税の基準財政収入額に算入され、結局、その分の地方交付税が減るので、一生懸命やるのが馬鹿らしいということであったが、ふるさと納税では、寄付金額が自治体の収入増となる。だから、がんばろうということになる。

(2)住所地の自治体では、住民税は減るが、その減少分の75%だけ、地方交付税で補填される。残りの25%は、収入減となってしまうが、まあ4分の3は補填されるし、失った4分の1の分をふるさと納税で稼げば、収支はトントンということになる。まあいいかなということである。

(3)ただし、川崎や世田谷のような地方交付税の不交付団体(お金持ちの自治体)は、地方交付税の補填がないので、赤字になる。そういうところは、お金持ちが多いので、他の町にふるさと納税する。他方、ふるさと納税による収入は、本のわずかである。赤字額は半端なく、40億円や50億円の減少となる。でも、お金持ちなので、まあ仕方がないかなと思われてしまう。

(4)困ったのは、地方交付税である。地方交付税から見ると、ふるさと納税の増収分は、地方交付税の基準財政収入額に算入されないから、地方交付税収がその分、減るということにはならない。(1)の場合。
 他方、住所地の自治体へは、住民税の減少分の75%分が地方交付税が増加する。(2)の場合。
 そこで、寄付を受けた自治体、住所地の自治体の双方を含む地方自治体全体でみると、住所地の自治体に出す75%分だけ、地方交付税の交付必要額が増大する。ふるさと納税が増えて、額が増えれば増えるだけ,地方交付税の財源不足が深刻化することになる。

(5)地方交付税が潤沢にあれば問題ない。しかし、地方交付税は、所得税、消費税等の国税5税が本来の財源であるが、肝心の地方交付税が、赤字である。1990年代初頭のバブル崩壊以降の経済の低迷からずっと財源不足状態が続いている。
 金がないので、1994(平成6)年度から,地方交付税特別会計からの借金をし始めた。しかし、いよいよ2001(平成13)年度からは、借金でも足りなくなって、地方財政法5条の特例として,臨時財政対策債という、赤字国債に手を出した。禁じ手といわれるものである。要するに、入ってくるかどうかも分からぬ金を先食いしているのが今である。

 家庭で考えると、借金は、しつくして、もう借りるところがなくなったので、いつか入ってくるだろうお金をかたに、カタログショッピングをやっているということである。つまり、まだ小さい子どもに借金を背負わせ(この子が大人になったら払いますと言って)、親を含む家族みんなで今を楽しんでいるといった感じである。角兵衛獅子みたいな世界である。これを平気でやる政治家や官僚の神経は、すごいと思う。これまでは頭が痛かったが、今度は、怖くなってきた。

 
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