松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆ふるさと納税⑤お得なカタログショッピング

2020-04-20 | 域外住民への関与
 泉佐野市が、まちにふるさと納税した人にアンケート調査をやっている。

 「ふるさと納税新制度に対する意識実態調査」で、調査期間は2019年5月24日(金)~31日(金)、 調査対象は、泉佐野市の「さのちょく」を利用した人 174,784名である。インターネット調査である。 「寄附者の生の声」ということで興味深い。

 調査結果は次のとおりである。

① ふるさと納税の新規制について「知っている」は、8割以上。

② 返礼品の返礼割合について「あなたは何%が適切と思いますか」と聞いたところ、最も多かったのは「国や自治体がしっかりと話し合って決めるべき」という回答で、50.8%。次いで、「50%」と答えた人が43.4%と いう結果となった。「返礼品なし」1.1%とごくわずかである。 寄付の名称とは程遠い意識といえる。

③ 総務省が示す「地場産品の規制」(地元業者であっても小売店や問屋などが提供するものは提 供不可)に7割以上が「賛成しない」。

④ 総務省が示す「地場産品の規制」(地元工場生産でも他地域のものと区分なく取り扱われる品 提供不可)に8割近くが「賛成しない」。

⑤ “まちの誇り”といえるものも返礼品にできない総務省の規制について、8割近くが「賛成しない」。

⑥ 総務省の「指定制度」について、6割近くが「正しくない」。

⑦ 新しいふるさと納税で特に問題なのは、「返礼割合」と「地場産品」。

⑧ 総務省の規制に対する「泉佐野市の主張」について、8割以上が「支持する」。

⑨ 6月1日以降もふるさと納税を「利用する」と回答したのは6割以上。

⑩6月からスタートした新たなふるさと納税を利用する場合、どんな自治体に寄附をしたいかでは、「魅力的な返礼品を用意しているところ」が72.5%、本来の趣旨である「自分の出身地など縁があるところ」(4.4%)、「行ったことがあったり、行ってみたいところ」(1.4%)にとどまっている。

 ここから明らかなのは、ふるさと納税は、税金による、お得なカタログショッピングになっているということである。それが寄付者の生の声である。

 普通、アンケートに答えるのであるから、もう少し、建前に戻って、「寄付」の原則にそった回答をするのかと思ったら、実に、あっけんからとした回答で、実際、寄付文化や連帯・助け合いではなく、カタログショッピングくらいしか思っていないということなのだろう。

 泉佐野市も、他の町や国民の税金を使ってカタログショッピングさせるこの制度が、いいとは、まさか思っていないだろう。HPに、意地を張るように、この寄付者の声を大々的に載せているが、よせばいいのに、というのが率直な感想である。
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