松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆ZOOM読書会・『自治体のヤングケアラー支援』(第一法規)

2024-05-16 | ヤングケアラー

 ヤングケアラーの勉強会は、今回は、ZOOMの読書会となった。読む本は、『自治体のヤングケアラー支援』(第一法規)である。

 とてもいい読書会になった。夜の2時間があっという間に過ぎた。

 今回は、この本の編者の内尾彰宏さんと第一法規でこの本を企画・編集した柄沢純子さんに来てもらったが、このお二人がとてもよかった。それが読書会が充実する要因にもなった。

 内尾さんは、本来は奈良県警の人で、2年間の厚労省に出向のときに、このヤングケアラーを担当した方である。誠実で率直な方で、読書会でも、この制度をつくるときの苦労や考えたことに話が及ぶが、議会答弁のようなあいまいな答えではなく、率直に話してくれて、とても好印象であった。その結果、どんどん議論が進んでいき、有意義な時間を過ごすことができた。

 あらためて、この本を読み、ヤングケアラー問題を考えることになったが、特に感じたのは対応の難しさだった。

 当然ことであるが、ヤングケアラー一人ひとりの事情は違う。若者本人もそれぞれだし、家族の状況、その他バックグランドもそれぞれである。

 ヤングケアラー問題では、ヤングケアラーの発見や理解を進めるための啓発も大事であるが、最終的には、こうしたひとり一人が持つ課題を解決することである。むろん、これは簡単なことではなく、一人ひとり、状況が違うので、一律、機械的な解決もできないし、ものすごく手間がかかる。

 そして、その解決のために行政ができるのはその一部である。基本は、自助、共助、公助の総合力で対応していかないといけないが、この総合力をどのように組み立てるか、そのうえで、ヤングケアラー一人ひとりの個別事情に応じた応用ができるようになるかが、ヤングケアラー政策の最終系になるのだろう。その絵をかき、自治体が安心して取り組めるような道すじをつくるのが、私たちの役割なのだろう。

 しかも、さらに難しいのは、私たちがいま取り組むべきは、ヤングケアラーだけでなく、認知症、孤立死など、いくつもの福祉課題が同時並行的に発生していることである。これを自治体の限られた資源で、さばいていかなければいけない。これをどうさばいていくのか、この全体の鳥観図も書かないといけないだろう。

 私の答えのひとつが、福祉の産業化である。産業というとすぐに反発を受けるが、産業とは、名人の熟練に頼るのではなく、「業として」、つまり技術やノウハウの個人ではなくて業にも保有・伝承され、業ゆえに安心して働ける職場環境があるということであるが、そういう仕組みをつくらなければ、波状的に次々やってくる福祉の諸課題には対応できないのではないか(一人ひとりの力量で対応すると、疲れてしまう。その人が辞めると途端に続かない)。福祉の産業化は、なかなか理解はされないかもしれないが、ヤングケアラー問題で、あらためて、その意義と重要性を再認識したところである。

 第一法規の柄沢さんからは、この本を企画した背景や思いを聞き、これもとても印象深かった。この本の企画が通るまで、何度もトライした話は、あらためて、今の時代「そうなんだろうな」とあらためて実感した。本が売れない時代にあって、確実に売れるのか、ニーズはあるのか、他の本との違いは? 等が問われるが、その問いかけに答えながら、企画を前に進めていく。

 それには、やはり、つくろうとする本の意義を体感し、もっと言えば、思いや愛着がなければ、途中でめげてしまうのだろう。当たり前のことであるが、本もそうやってつくられていくことをあらためて、知ることができた。

 私は第一法規では、3冊の本を書いている。いつも小川ゆこりんに頼んでいる。私から見ると、ゆこりんは、スイスイと企画を通しているように見えるが、会社のなかでは、どうすれば企画が通るか、押したり引いたりしながら、やっているということなのだろう。そういえば、本のタイトルは、いつも二転三転するが、これも企画を通すまでの過程の中での「押したり引いたり」の一つなのだろう。

 ヤングケアラーも勉強になったが、出版社で、企画を通すことの一面を垣間見れたことも参考になった。

 ということは、今、新しい企画をがんばっているG社のMさん、N社のOさんには感謝し、励ますことが大事ということである、いつも私の先を行く企画を「私はいいと思いますよ」と励ましてくれるI社のAさんなどには、あらためて感謝しなければいけないということである。逆に言うと、社内で自信を持って企画を進めることができるようないい本を書くというのが私の役割ということなのだろう。

 モチベーションがあがった一日になった。がんばるぞ。

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