松下啓一 自治・政策・まちづくり

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論点5.増田レポートは成功したのか・議会答弁から

2025-01-06 | 地方消滅

1.増田レポートを受けて

A.増田レポートは、とりわけ消滅可能性都市と指定された自治体にショックを与えた。

 増田レポートは、3つのレポートで構成されているが、最も衝撃を与えたのが、『中央公論』2014年6月号(5 月 10 日刊行)に掲載された「消滅する 市町村523―壊死する地方都市」と いう緊急特集の記事であった。
 緊急特集 消滅する市町村523 ―壊死する地方都市
【提言】ストップ人口急減社会 増田寛也+日本創成会議・人口減少問題検討分科会 消滅可能性都市896 全リストの衝撃という記事である。

 つまり、「消滅可能性都市」として896の市町村 名と推計人口データがリストアップさ れ、さらにその中で2040年推計人 口が1万人以下の523市町村ては、「消滅する市町村」とされた。これが出されたのが、5月10日なので、6月の議会では、真っ先に議論された。

B.新城市における最初の質問は、平成26年6月定例会(2014-06-18 第2日)である。

◯山崎祐一議員
 消滅可能性都市とされ、はっきり言って今のままでは将来はないよと、持続可能な発展はありませんと宣告されたわけであります。
 愛知県でその消滅可能性都市に7市町村が含まれ、我が新城市は北接3町村とともに、市としては県下でただ1市含まれました。

 新城市は、将来にわたって持続可能な都市ですか。もしそうでないとしたら、どうすればよいのか。このメーンテーマの下に、以下10項目について所見を伺っていきます。地方元気戦略で示されている内容に即して考えていくと、どうしても広範囲に及んでしまいました。お許しください。
(1)現状で新城市は、持続可能な都市だと言えますか。あわせて消滅可能性都市とされたことについての認識を伺います。
(2)新城市を持続可能な状態に回復させる対策はありますか。あれば、何か、教えてください。

 

◯企画部長
(1)まず、消滅可能性都市とされた認識と新城市が持続可能都市かどうかの御質問でございますが、県下で唯一消滅可能性都市とされたことにつきましては、厳粛に受けとめております。

 今回の日本創成会議の発表は、10年後の世界・アジアを見据えた日本全体のグランドデザインを描き、その現実に向けた戦略を策定すべく、産業界労使や学識者など有志が立ち上げた日本創成会議が日本の諸システムの総点検を行い、国民の立場から新しい日本をつくるための提言を発信し、国民的議論を興すことを目指しているものでございます。

 したがって、今回の発表も、消滅可能性都市とされたことを悲観するのではなく、人口減少社会の実像を認め、今後一層、国を挙げて、行政、市民が一体となって議論し、知恵を絞り、行政を推進していかなければならないということを提唱されたのだと認識しております。

 本市は、持続可能な都市を目指しているところです。行政と市民が問題を共有し、解決のための施策を総合的に展開することにより、持続可能な社会となるよう、努力してまいりたいと考えております。

(2)2問目の回復させる対策についてでありますが、日本創成会議は、20歳から39歳の若年女性人口が2010年から2040年にかけての30年間で5割以上減少する自治体は、たとえ出生率が上昇しても、人口維持が困難となるため、消滅可能性都市であるとしています。

 その対策として、ストップ少子化戦略、地方元気戦略、女性人材活躍戦略等の施策を挙げております。

 若者みずからの希望に基づき、結婚し、子供を生み育てることのできる社会をつくることとか、女性や高齢者、海外人材の活躍に強力に取り組む姿勢等を提言しています。

 このことは、国、地方、民間、市民が、それぞれの立場でこれら課題を共有し、解決に取り組む必要性を説いているものだと思っております。

 本市は、現在行っているこども園をはじめとする子育て支援や企業誘致の重要性、今年度から行っております若者政策の計画づくりが今後最も重要な施策の一つであると確信したところでございます。

 対策としては、総合計画に沿って、住み続けられるまちを目指すさまざまな施策を着実に実施していくことが肝要だと考えております。

2.その10年後である。新増田レポートが発表されたのを契機に、10年間の成果が問われた。

2024-06-19: 令和6年6月定例会(第2日)

◯山口洋一議員 人口戦略会議、令和6年4月24日に明らかになった本市の消滅可能性自治体とされたことについて、お伺いをしたいと思います。1点目、2014年日本創成会議のストップ少子化・地方元気戦略で消滅可能性都市にリストアップされた後の本市の人口の動向。

◯企画部長 
 消滅可能性自治体について、順次お答えいたします。
(1)2014年日本創成会議のストップ少子化・地方元気戦略で、消滅可能性都市にリストアップ後の本市の人口動向につきましては、年間の出生数につきましては、2014年の288人に対し、2023年は132人となっております。

 一方、年間の死亡数は、2014年の630人に対し、2023年は676人で、自然減が2014年から1.6倍となっております。

 転入・転出の状況につきましては、転出超過が続いており、おおよそ200人前後の転出超過で推移しております。2014年は217人、直近では2022年が116人、2023年が147人の転出超過、社会減という状況です。

 20歳から39歳の女性人口につきましては、2014年の4,788人に対し、2023年が3,335人で、約30%の減となっております。

 最後に、人口総数でありますが、日本人人口は2014年の4万9,053人に対し、2023年は4万2,698人で6,355人の減。外国人人口は2014年の714人に対し、2023年は1,114人で400人の増となっております。

 さまざまな施策を行っている新城市ですから、このような厳しい状況になっているということである。人口減少を防ぐというのは容易なことではなく、とりわけ特別の条件や特殊な環境にあれば別であるが、個々の自治体でできることは、極めて限られているということではないか。自治体は何ができたのか、あらためて考えてみたい。

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