松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆支える人を支えるまちづくり(3)この政策の意義❶

2022-10-24 | 支える人を支えるまち
 ❶政策の空白を埋め、担い手側に光を当てる自治体の政策である。

 これまでの国の政策は、支えられる側に注目するものであった。たとえばわが国の社会福祉政策は、子ども、高齢者、障害者など支援を必要とする対象者ごとに、それへの対応を内容とする法律・制度として制定されている。高齢者は介護保険法、障害者は障害者総合支援法、子供は児童福祉法などがその例である。むろん、困難を抱える人をサポートするのが、政府の役割なので、これも重要なことである。

 他方、これらの人たちを支えている人や団体もいるが、それに対する政策は限定的である。

 NPOは、その支え手であるが、NPO法の第1条を見ると、この法律は、「特定非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等により、ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し、もって公益の増進に寄与すること」(第1条)と書かれている。特定非営利活動促進法というよりは、NPOに法人格を付与することを通して、NPO活動を促進する法律にとどまっている。NPO法は、テーマコミュニティの支援、育成そのものには踏み込まず、法人格を付与する道を開いて、間接的にコミュニティ活動を促進するという位置づけになっている。その意味では、限定的なNPO創生・育成法といえる。

 自治会・町内会については、現行法では、地域活動団体を含む地域コミュニティにふれている法律はきわめて少ない。地方自治法には地縁団体に関する規定があり、260条の2から260条の40まで詳細にわたるが、内容は地縁団体に法人格を付与し、管理・運営、監督するための手続的な規定となっている。つまり、現行法は、地域コミュニティそのものには踏み込まず、法人格を付与する道を開いて、間接的にコミュニティ活動を促進するという位置づけになっている。

 このように国の法律は、支える人(組織)への関わり方は、消極的・謙抑的である。それを補完し、上乗せするのが、自治体のNPO協働支援条例や自治会・町内会活性化条例等である。新城市の福祉従事者条例は、これらの条例の延長線の位置する条例である。このように考えると、この条例の意義が理解がしやすいだろう。

 つまり、支える人を支える政策は、これまでの個別で行われていた支える人(組織)を支える政策を全体として体系化するとともに、現在は、俎上に上がっていない支える人を支える政策を顕在化させ、またその施策メニューは、消極的、謙抑的ではなく、積極的・多面的なものとする自治体の新たな政策と言えるだろう。
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