松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆昨今の出版事情と進捗状況(三浦半島)

2017-05-06 | 1.研究活動
 最近は、本を出すのが一段と難しくなった。

 地方自治のような地味な本は、買う人が少ないので、なかなか本にならない。原稿料がないというのはざらで、自分で費用を出し、あるいは買取までして出版するような事情である。幸い私のほうは、そこまでではないが、本になって陽の目を見るまでは、一筋縄ではいかない(たくさんの本を出しているんで、印税があるでしょうと言われるが、全くの誤解である)。

 地方自治の分野では、本になるのは、テキストか入門書である。テキストは、大きな大学の教員が集まって書くのが一番いいとされる。書いた本をテキストにして、学生に無理やり買わせるか、試験のときに、その本だけ持ち込みのみにするのである。私も教員になりたてのころ、一度それをやったが、あまりにも情けなくなって、止めてしまった。ちなみに、これは本を売って印税を稼ごうというものではない。学生に売った本の印税など、たかが知れている。あくまでも出版社への義理立てである。

 特に出版が難しいのが、政策本である。重要な政策や新たな政策テーマを提起する本である。私の場合、今後、重要となる新たな政策テーマの本を出すので、もともと、問題意識を持つ人が少ないうえに、ネットの発達で、結論部分を先取りされてしまうと、本が出版できるロットがまとまらないためである。それでも、これは大きなトレンドになると考え、出版社を説得するが、時には、トレンドにならずに、外してしまうこともある。

 1パーセント制度は、その典型である。この制度は、住民が、自分の市民税の1%を自分が伸ばしたい、応援したと考えているNPOを支援する仕組みである。スタートはNPOであるが、これを行政の事業に変えれば、その射程距離は大きくなる。この制度は、税金を出してしまえば、あとは手が及ばないという現行制度に風穴を開け、自分が自分の税金の使い道を指定できることから、新たな自治の展開が期待できる制度と考え、ハンガリーまで調べに行って書いたが、実際に、1パーセント制度を採用した自治体は、10程度しかなかった。

 私が、本を出すタイミングは、統一地方選挙の前である。立候補者が、公約やマニフェストをつくる前に、その政策テーマを投げかけるのである。本を出すのも、自治体政策形成の一環である。しかし、これは、最近のように統一地方選挙が、ばらばらになってきてしまうと、今一つ、がんばって、本を書き、出版社を説得しようというきっかけがつかめなくなってしまった。

 今回、出た『自治体若者政策-愛知県新城市の挑戦』は、多くの首長さんが、選挙公約にあげるようになると思うと期待している。そう思っていたら、たまたま買い物に出かけたときに、横須賀市長選挙の立候補者が配っていた公約チラシを見ていたら、「音楽のまち」のような公約で、若者政策は、みじんもなかった(閉塞感がある時代だから、こうした明るさが求められているのかもしれない)。ちなみに、候補者は、俳優の上地雄輔さんのお父さんで、そばには、一緒に、小泉進次郎さんもいたのに、少しがっかりした。

 さて、次の本の進捗状況のほうであるが、相模女子大学の退職時に、本を書くことになっているが、昨日から、これに取り掛かった。こちらは難物で、あと6か月でどこまで書けるか不安になってきた。ブログに逃避せずに、頑張ろうということである。

 

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