松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆「自治する日本」が増刷になるようだ(新城市)

2016-06-20 | 地方自治法と地方自治のはざまで

 4月に出た穂積亮次さんの「自治する日本」(萌書房)が、増刷になるようだ。

 実践に裏付けられた待望の書ということなのだろう(アマゾンの書評を参照)。萌書房の白石さんによると、一刷目があっという間に売れて、残部もわずかだという。市民力ライブラリーとしては、こんなに早く、増刷の話が出るのは、初めてのことである。

 Amazonの書評

 例えば、この自治体では、「若者条例」を制定し、若者議会を開催しているが、筆者は多くの若者の置かれた状況を、「自分たちが社会に必要とされる存在であるのかどうか、その根源的不安の中で経済的自立を果たせないままに年齢だけは重なっていく」ととらえている。
 そして、『若者政策』は、若者が「自分たちが社会に影響力を及ぼす存在であることを知り、そのための行動に出ることに価値があると思える自負・自覚・自尊を獲得する」ために行うとしている。
 政策の根底にある「思想」が明らかにされてはじめて、共感を伴う賛成や、あるいはそれに反対する明確な意思が生まれてくるのだろう。そうした作業が民主主義の成り立ちには不可欠なものであることが得心できた。
 多様なテーマには難解な論点も多いが、ロジカルでしなやかな文章の魅力で読み進めることができた。

 出版不況で、地方自治関係の本を出すことが、まず難しい。出版社に持ち込んでも、体よく断られることになる。ようやく出すことができても、大半は一刷目で終わりである。5年も6年もかかって、ようやく売り切れるというのが現状である。

 聞くところによると、本の出版は、一刷目では利益が出ず、増刷になって、ようやく利益が出るらしい。私も、何冊も本を出しているが、一刷目を売り切れていない本もあるので、そのうち松下=赤字というレッテルが張られて、敬遠されるようになるのだろうか。

 本を書く立場からの反省点としては、「自治する日本」は、穂積さんらしい、直球の本であるが、結局、こういう本が受け入れられていくということなのだろう。変化球みたいな本を書かずに、真正面から取り組めという戒めと考えて、次の本に取り組もうと思う。

 穂積さんは、周知のような経歴であるが、それゆえ学歴は高校中退である。ここからは、私の勝手な推測であるが、もし穂積さんが、3,4年遅く生まれていたら全然違った道筋を歩むことになったろうというのが、私がひそかな推測である。

 その推測では、高校卒業後、東大に入り、その後官庁に入り、途中で代議士に打って出て、今頃は国会議員をやっているのではないか。代議士として、地方自治についても語るが、地に足がつかない地方自治になってしまって、私は本を書きませんかと声をかけなかったろうし、そんな嫌なやつとは、友だちにもならなかったと思う(勝手な推測ですいません)。

 高校中退というと、私には忘れがたい思い出がある。
 地元の進学高に入った私は、同じクラスのK君と知り合いになった。少し話をするようになって、K君の知識というか、その学識に驚いた。当時、K君は、私が教科書でしか名前の知らないヘーゲルなどを読んでいた。私は、K君の言っていることの半分も理解できなかった。私は、それらの本を大学に入って読むことになったので、K君は、私より確実に3年は、早熟だったことになる。

 さて、そのK君であるが、学校には、1学期だけいて、さっさと中退してしまった。学校の勉強があまりに低次元で、バカらしかったのだったのだろう(私は追いついていくのがやっとだった)。K君の退学に、私は唖然とし、なにか取り残されたような気持になった。今、この歳になって周りを見回してみると、とりたてて際立ったところがない普通の学生が、大きな会社の社長や取締役になり、大学教授になっている。以後、私は、高校中退と聞くと、ある種の負い目を感じるのは、この時の体験ゆえだと思う。

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