松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆なぜ新城市は、次から次にヒットを飛ばせるのだろう(9)市民の力①

2019-10-29 | 新城市がヒットを飛ばせる理由
 新城市の人は気がついていないが、新城の市民力は、ちょっと自慢してよい。

 私が見た直近のものだけでも、①この前のまちづくり集会の司会、運営、②綱渡りのような公開政策討論会を粛々とやる、そして、ここで書こうとしているのが③自治振興事務所の市民任用などが、私が、最近、体験した例である。
 
 新城市は、地域自治区制度を採用しているが、地域自治区には、住民で構成される地域協議会がある。この地域協議会の事務局として、あるいは地域の総合相談窓口の機能を担うのが、自治振興事務所である。

 自治振興事務所は、市役所の出先機関で、お役所の一部であるが、その所長が市民任用されている(現在5名)。全国でもまず例がないだろう。

 実践例以前に問題意識も乏しいようだ。今年のコミュニティ政策学会で、作手の所長さんが、地域自治区の取り組みを報告されたことがあった。何人かのパネラーが地域コミュニティの取り組みに関して報告して、その後、休憩時間に質問票を出すやり方だった。

 私は、市民任用で所長さんになって、行政との連携のなかで気がついたこと、相互に力を出すには、どのような工夫をしているのかといった質問を出した。

 市民任用は、とても珍しく、また今後の地方自治の方向性を示唆している取組なので、当然、質問が山盛りになるのかと思っていたので、みんなと重複しないように、半歩先を行く質問とした。

 ところが、市民任用に関しての質問を出したのは、結局、私一人だけだった。ならば、みんなの問題意識を掘り起こす質問にすればよかったが、後の祭りだった。要するに、市民任用は、参加者の関心を呼ばなかったという事である。

 それだけでなく、解説の先生も、地域自治区制度のほうを解説していて、市民任用は、関心をひかなかったようだ。

 研究者の間でも、市民任用が与える意味やインパクトについて、問題意識が乏しいという事である。つまり、新城市の市民自治のほうが、先に行っているという事になる。

 所長さんが務まる人物は、新城市だけにいるわけではなく、どこのまちにも人材はいるはずであるが、実際には、他のまちでは、この制度がなかなかできない(問題意識もない)。それができるにはいくつかの要素があるが、「こういうのもありかな」と許容する、市民の力が、実現の要素のひとつになっている。

 これが市民力であるが、これが自治基本条例によって耕されたのか、あるいは、それ以前から、素養があったのかは、分からないが、ただ言えるのは、このように呼応してくれる市民がいるということが、新城市が、次々とヒットを飛ばす背景になっていることは間違いない。
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