松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆町内会は不要なのか

2022-04-23 | 自治会・町内会、オルソン問題を考える
 次のテーマは、町内会である。ここまでは決まった。問題は切り口である。

 改めて調べてみると、日本の地方自治は、町内会などの住民自治組織の上に出来上がっている。だから、少ない公務員数で、行政サービスを行っているのだろう。国によっては、公共を担う住民組織がないために、多くの公務員を雇っている。

 地域の住民自治組織が弱体化しているにもかかわらず、公務員の削減をしているから、行政サービスは、どんどん不足する。制度はあっても、組織はあっても、それを担う人が少ないので、せいぜい表面的な対応しかできない。コロナ禍では、それが露呈した。

 方向としては、市民の公務員化が一つの方向である。新城市の事務所長の市民任用などもそのひとつであるし、まだ調べていないが、北見市の行政区長の常勤公務員化もその流れなのだろう。これには、当然、役所の市民への下請け化といった反対論もあるので、きちんとした整理が必要だと思う。

 もう一つは、地域住民組織の強化である。今回は、この観点から、考えている。地域自治組織の弱体化は、社会構造的な問題のなので、簡単に進むものではないが、試してみる価値はあるように思う。

 町内会不要論を調べてみると、全体には、町内会が果たしている役割を否定するものではない。不要としたら、例えば、大災害時の避難所の運営を誰がやるのかという問題への答えを出さなければいけない。役所が全部やれという案は、税金の大幅アップになるだろう。そのための、あらためて住民組織をつくろうという案もあるが、それならば、町内会を基本につくった方がいいという話になる。

 結局は、現行の町内会の運営の課題(仕事が多すぎる、会計が怪しいなど)と、自分は負担したくないがサービスは得たいというフリーライダーの問題のようである。

 私の関心は、フリーライダーで、これは、ある種、合理的な行動なのであるが、それでも、フリーライダーを低減させる手法があるのではないかというものである。オルソンの提案や資源動員論をヒントに考え始めたが、今は、ともかくヒットを重ねるという乱打戦になってきた。

 実践自治の6月号の原稿は、現時点でもある程度書けそうであるが、この町内会の問題は、研究者が避けているテーマなので、そこにとどめては、もったいない。広がりは大きそうで、ちょっと面白い。

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