松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆多数決というゲームルール・インターネットというテロル(三浦半島)

2015-12-31 | 地方自治法と地方自治のはざまで

 インターネットについても、考えることが多かった。

 ある町で、議会によるインターネット発信規制問題が起こった。今でも、ネットで検索すると、「まさかのネット言論封殺」という文字が躍る。ある議員がインターネットで発信するのを守旧的な議員たちが封じたという文脈で語られている。インターネットもよくわからない田舎議会という偏見と議会は言論の府であるというあるべき論が交錯し、正義の議論が躍る。

 しかし、普通の思考力があれば、今の時代、そんなことが簡単に起こるはずがないと、まずは考えるだろう。何が訳があるのではないかとまずは疑うことになるはずである。しかし、一言一句たがわない、孫引き、コピペの記事であふれている。不謹慎であるが、思考停止という言葉が頭に浮かんだ。

 では、こんなケースならば、あなたは、言論封殺と考えるだろうか。

 執行部が、ある政策を立案する際、議員さんたちの意見を聞こうと考えた。議会の合意をえられければ、どんな政策も先には進まない。あくまでも形成途中のアイディアで、外に発表する段階ではないが、多様な意見を聞きたいと考えたわけである。議論によっては、大幅修正を前提とした案で、いわば内々の相談である。

 ところが、くだんの議員さんが、これをことごとくネットで発信するのである。執行部とすると、こんなことをされ続けると、とても事前の相談はできないではないか、自制してもらいたいと考える。議会の側も同じで、執行部との信頼関係を壊すことになり、これでは議会の役割を果たせないと考える。そこで「内々の当事者の胸に止めておくことが前提の情報はインターネットに出さないようにしよう」と決める。これが言論封殺なのだろうか。

 一般社会では、ここだけの話と言われたことを口外すると、次からは相手にされなくなる。だからみんな「ここだけの話」といって、こっそり人に話すのである。人に話すということは、他に広がるというリスクがあることは誰でも知っているが、結果的には、ほかに広がるのだからと言って、ここだけの話をオープンで話していいことにはならない。全然、意味が違う。

 また、そもそも二元代表制なのだから、事前の相談などすべきでないという意見もあるだろう。しかし、裁判だって、検察と弁護士が、事前に争点を整理する。どんな優れた議員だって、議場でとっさに聞いても、裏付けもなく、きちんとした議論もできないだろう。きちんと聞いて、自分でよく調べて、あとは自分で判断する。事前に聞くと、それに流されるという心配は、自分はそんな程度の人間であると、自らを宣伝しているようなものだろう。

 こんな事情を知れば、言論封殺とだいぶ違うことがわかるが、現にネットには「言論封殺」の文字が躍っている。スマホをスクロールしている人には、その文字だけが印象に残り、頭に刷り込まれる。まさに言ったもの勝ちである。そして、このネット情報が、多数意見の形成に大きく作用し、私たちの民主主義をつくっていく。テロルという言葉が、見事にあてはまると思う。

 さて、今年もあと数時間、午前中のうちに、三笠通りの鈴木水産に刺身やカニを買いに行った。調子が今一つだった連れ合いも、賑わう店のはやし声に煽られて、ずいぶんと買い込んだ。さいかやからは、さっき、おせち料理が届いた。私の役割である煮しめもつくった。掃除をもちろん終わった。ただ、書きかけの「若者政策」だけが、朝から壁にぶつかっている。さあ、これから年越しそばにかかることにしよう。 

 追伸。ルンバ君も活躍した。

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