若者が組織を作り、活動をするにあたって。説明資料をつくることになる。
私も市役所にいたときは、たくさんの説明資料を作った。企画の仕事が長かったので、とりわけ資料をつくることが多かったように思う。おそらく横浜市でワープロが最初に入った職場のひとつが、私の特命係で、机一つを占有するワープロ・印刷機は、実に便利だった。正式文書は、浄書(タイプ)が必要で、最後は、そこが順番待ちで詰まった(だから浄書室はえばっていた)。私は、たまたま浄書室のおねえさんたちと親しかったので、横入りで、やってもらったこともある。それがワープロで自分たちで、きれいな文書になるから、とても便利だった。
それでも、しばらく、ワープロで作った文書は、正式ではなく、浄書室でタイプをしてもらうという運用が行われたが、バカみたいな話なので、すぐになくなった。そのうち、ワープロが普及すると、浄書室の仕事がなくなり、浄書室から、何か仕事がないかと話があったのが印象的だった。いつまでも栄華は続かないというか、常に、自己革新をしないと、置いてきぼりになってしまうということだと思う(ただ、私はタイプの字は、好きである。同じ辞令書でも、タイプのほうが身が引き締まる感じがする)。
さて、当面、月曜日の区民会議で使うための資料を当日、説明をする2年生のなっちゃんが、作ることになった。もちろん、こうした文書は初めてである。その手伝いをして気が付いたこと。
1.内容については、何を伝えたいか、この場で何を伝えたいか明確にする。これが基本である。この部分が明確でないと、時間ばかりかかって、文書はつくれない。いくつかのコツがあるが、
①説明するのは、訳があって説明するのであるから、その訳を再確認すること。ここから何を伝えたいかがより鮮明になる。
②5W1Hというのは、よくできている。「いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)」である。テーマによって比重が違ってくるが、 5W1Hに沿って整理し、5W1Hにあたる内容を相手に伝えるようにすると、情報をわかりやすく、もれなく伝達することができる。
2.形式について
①番号をふるというのは、あまりなじみがないようだ。
②ゴシックと明朝体の使い分け
③1テーマ・1枚にするというのも「へえ」という感じである。
④絵を入れたりするのは、違和感がないようだ。
文書などは、実際作りながら出なければ、覚えられないであろう。この資料で月曜日、発表してみて、こうすればよかったと気が付くこともあるだろう。それを踏まえて、次の場面に合わせて修正していけばよい。
調べてみたら、資料のつくり方という本は、たくさん出ていた。そうだろう。田中富雄さんも書いている(『一目で伝わる!公務員の図解で見せる資料のつくり方』’学陽書房)。
ここでは秋田将人(筆名)という人の『見やすい!伝わる! 公務員の文書・資料のつくり方』(学陽書房)という本には次のようなことが書かれているようだ。なるほど。私が言いたいことは、すべて書かれていると思う。むしろここで気になったのは、筆名ということ。本名だと役所がうるさいということなのだろうか。秋田の人なのだろうか。
第1章 資料作成の鉄則
1 資料の目的をきちんと意識する
2 テーマ・種類を決める
3 締切を設定する
4 読み手を具体的にイメージする
5 構成を考える
6 分量を考える
7 1文は短く書く
8 5W1Hを意識する
9 基本フォーマットを活用する
10 概要版・詳細版に分ける
コラム1 説明の「時間」は限られている
第2章 わかりやすく資料をつくる
1 結論から先に書く
2 資料の構成がわかる見出しを付ける
3 原則、A4版1枚におさめる
4 事実と意見は混同しない
5 1ペーパー1テーマとする
6 箇条書きの階層は3つまで
7 日付と作成者を明記する
コラム2 資料にない説明で相手の気を引く
第3章 伝わりやすい文章を書く
1 なるべく短い文章で書く
2 形式を統一する
3 簡潔な記述を心がける
4 具体的な数字を盛り込む
5 誤解を招く表現は避ける
6 住民視点で考える
7 首長視点で考える
8 議員視点で考える
9 職員視点で考える
10 お役所言葉は使わず、言い換える
11 敬語は正しく使う
12 よく使う敬語の例
コラム3 相手に応じて資料・説明を使い分ける
第4章 説得力のある理由・根拠を明示する
1 データで根拠を示す
2 メリット・デメリットを説明する
3 判断材料・選択肢を示す
4 因果関係を説明する
5 論理的に説明する
6 現状の問題点を明らかにする
7 今後想定される課題を提示する
8 時系列の推移を示す
コラム4 聞き手の視線に注意する
第5章 見やすい資料をつくる
1 レイアウトを工夫する
2 文字の大きさ、フォントを変える
3 下線・太字・斜体でメリハリをつける
4 情報を盛り込みすぎず、余白を活かす
5 注釈を付ける
6 漏れなく、ダブりなく
7 フローチャート
8 ロジックツリー
9 PDCA
10 ポートフォリオ
11 グラフ
12 数式
13 写真・イラスト
コラム5 複数の資料を説明するときは要注意