地方公務員の休暇制度として、地域社会に貢献する活動(自治会、NPO等)に従事することを事由とする特別休暇を各地方公共団体の裁量で創設できるか
1.令和5年 12 月 25 日総行公第 1 3 8 号・総行安第 5 8 号 総務省自治行政局公務員部公 務 員 課 長・安全厚生推進室長通知で、できることが明確になった。
2.何が問題だったのか
(1)地方公務員法第24条第4項
地方公務員法第24条第4項では「国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。」と規定されている。
(2)国家公務員の休暇制度における、いわゆる社会貢献活動休暇(一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律第19条、人事院規則15-14(職員の勤務時間、休日及び休暇)第22条第4号イ、ロ、ハ)
④ 職員が自発的に、かつ、報酬を得ないで次に掲げる社会に貢献する活動(専ら親族に対する支援となる活動を除く。)を行う場合で、その勤務しないことが相当であると認められるとき 一の年において五日の範囲内の期間
イ 地震、暴風雨、噴火等により相当規模の災害が発生した被災地又はその周辺の地域における生活関連物資の配布その他の被災者を支援する活動
ロ 障害者支援施設、特別養護老人ホームその他の主として身体上若しくは精神上の障害がある者又は負傷し、若しくは疾病にかかった者に対して必要な措置を講ずることを目的とする施設であって人事院が定めるものにおける活動
ハ イ及びロに掲げる活動のほか、身体上若しくは精神上の障害、負傷又は疾病により常態として日常生活を営むのに支障がある者の介護その他の日常生活を支援する活動
地域社会に貢献する活動(自治会、NPO等)に従事することを事由とする特別休暇の創設については、これら規定との関係で問題がないのかは必ずしも明確ではない。
3.通知の内容
地方公務員の勤務条件は、地方公務員法第24条第4項及び第5項に基づき、国家公務員との間の権衡を考慮して条例で定めることとされている。
このうち特別休暇に関して、地方公共団体が国家公務員において措置されていない特別休暇を独自に措置することについては、上記の規定に基づき対応すべきものであること。
その上で、地方公共団体が特別休暇を独自に措置しようとする場合には、国家公務員における特別休暇の考え方(※)を踏まえてその必要性及び相当性を判断するとともに、地方公務員法第24条第5項に基づく勤務条件条例主義に即し、議会における審議等を通じて住民の理解を得るべきものであること。
※ 国家公務員における特別休暇の考え方
国家公務員における特別休暇は、次の条件をいずれも満たすものとして整理されている。
① その勤務しないことが社会慣習上や物理上等から真にやむを得ないものと認められること
② 勤務条件として法律又は人事院規則をもって保障することが相当であると認められること
また、現行の国家公務員における特別休暇の事由は、次のように分類される。
(1)国民としての権利の行使又は義務を行うことについて正当性が認められるもの
(2)国民としての権利義務ではないが、職員の行う行為が、公に対する貢献性が認められ、勤務を欠くことの妥当性が認められるもの
(3)社会の慣習や常識、女性職員の健康の確保、母性保護の観点及び仕事と生活の調和の推進の観点等からみて勤務に就かないことについて妥当性が認められるもの
(4)災害、交通機関の事故等により勤務することが著しく困難なもの
つまり、それまでの第22条第4号イ、ロ、ハが、(2)国民としての権利義務ではないが、職員の行う行為が、公に対する貢献性が認められ、勤務を欠くことの妥当性が認められるものに再整理された。
4.今後の対応
地方公務員法第24条第5項では、「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める」と勤務条件条例主義を採用している。
地域社会に貢献する活動に従事することを事由とする特別休暇制度を創設する場合は、地方議会での審議を通じ、「住民の理解を得る」ことが必要である。