バイトの帰り道。寮に向かう広い冬の夜空を見た。
先輩の悲しい知らせを聞いた。一番星が輝いていた。
それを見て失って2度と戻らない人を思って泣いた。
声を殺して泣きながら歩いた。みんなつらい思いを抱いているんだ。
そして信号を待っていて、ヒメを思った。
今日はヒメとヒメ子の話をしたいと思う。私にとって心から大切で
人生を揺さぶるような想いを抱いた彼らの話を。
ヒメと会ったのは14だった。あの時ヒメは14だった。もう7年たった。
例えばやりとりの一コマ一シーンがそれでも抜け落ちていくのだけれども
それでもいつまでも忘れられない。忘れたくない。あの繊細さ美しさ脆さ。
思春期特有の繊細でガラス細工のような美しい結晶みたいで、穏やかで
優しげにうっすら微笑むあの人は間違いなく私の全てだった。
非常に美しかった。異常にといってもよい。その妖しいはかなげな可憐な
姿にみんな惹き付けられた。ぱっと目立つのではなく、そっと奥ゆかしく
物憂げな可憐さはみんなを狂わせる愛おしさを駆り立てる。
肌は白く、睫毛は下向きで伏し目がちになるとはっと気づくような
長さを持つ、唇は鮮やかな桜色で、目は黒く丸くそして遠くを見ているのか
覗き込まれるとうむを言えなくなるような吸い込まれるような黒く美しい
瞳。おとなしく、よく同調して微笑むがめったに騒いだりしない。
声は高く美しく小鳥がさえずるようなソプラノだった。
先生からも可愛いと言われ、女子は愛らしいという目で見、男子の危険な
欲望を駆り立てていたりもした。
そんな彼にとって思いがけずもとても近く、
いつのまにかかけがえのない存在になっていた。
席が隣になり色々なやりとりをして今まで知らなかった新しい彼が
目覚めるのを私は知った。彼は感覚的に先先を読む天才的才能が備わってる
と思う。理屈で考える私にとっては彼は先先を感覚で駆け抜けるので
理解が遅く彼は時々不満そうだった。そして彼は往々として悲しげな遠い目
をした。
彼は私に何を望んでいたのか?私がどうすべきだったのか?
彼にとって私はどういう存在であって、どうすれば彼を奥底で理解し
同調し心から分かり合える同士になれたのか?
その答えを彼は感覚的に全て知っていて、重い頭で理屈で考える私に
先回りしてずっと待っていた。私はそれに7年くらい費やしている。
そしてふと気づいたり分かったりするのだ。そうなのだ。
結果的に私は彼に何一つ与えられなかったのかと思う。私が思うに、
彼は私に救ってほしかったのであり、味方であってほしかったのであり
、どんなことからも護ってほしかったのである。それは自明。
彼が直接言ったこともある。もちろん全部ではなくほのめかすように
ではあるけれど。彼は強くなりたかった。だけど、どうすることもでき
なかったから誰かに救ってほしかったのであったし、それを私に選んだ
ことも事実だ。私でなければならなかったのだ。うぬぼれでもなく。
彼は私の強さに賭けた。強さの燐片を見つけた。それは芽であった。
蕾であった。それを育てようとした。あらゆる手段を彼はとった。
昔の私の頑なで寡黙で信念を持ってひたすら遂行してきた絶対的な
強さに対する期待と憧れ。それは愛の始まりでもあったのだ。
彼は私にその強さまるごとで強引に引き上げてほしかったのだ。
暗く冷たい海の底から。そのことにきづかなかった。
ようやく気づいたんだ最近。ヒメ子に会って初めてわかった。
ヒメは私を好きだった。だけど消しがたい暗い影がさしこんでいた。
いいようのない不安で恐れる事実。私も目を伏せたかった事実。
彼はマイノリティの燐片をあらわしていた。男の子を見ていた。
私にはその男の子はこうなりたいという理想なだけだと言っていた。
周りはよく冗談でからかっていた。彼はそれを消し去って私に
奪い去ってほしかったのだ。顔だけで好きになる表面的な女子では
なくて、ほんとうに大切に思っている私に。
だけど、私は意外に臆病で、考え込んで動けなくて。それも怠慢だと
自責する。私は彼の為に全てを捨てる勇気がなかった。
本当に好きだったのに。向き合う勇気、全てを受け入れて肯う勇気。
離れてからほんと後悔して後悔して。思っても思っても足りなかった。
書き溜めた手紙は宛名はなくて。ほんとうに愛していた。
ヒメ子。私の愛するヒメ子。可哀想なヒメ子。誰よりも甘えたがりで
頼りたいのにできないヒメ子。変に遠慮している不器用な子供のようで。
私のことを今まで会った女の子と一緒だとは思わないでな。
泣いてしまうような人でないよ。誰より強い。今は違う、ちゃんと護る。
ヒメのように愛している。やっと出会えた人。こんなにも強く真摯に
愛している。直感で思う。お前はヒメと似ている。とても。
だからしてほしいことがわかる。ヒメが教えてくれた。
私は強くなる。まごうことなき強さを手に入れる。
それは威圧的な強さでなく強権的なものでもない。
強さとは自分の存在に対する強さ。責任を持つ強さ。
強さとは相手と向き合い、全てを受け入れ肯う懐の深い潔きこと。
全てを捨てても護るという疑いなき信念とどんなときも味方でいるということ。
べったり寄りかかっても決して崩れない安心できる強さのこと。
美しく絶対的で尚且つ威嚇しないで穏やかで超然としていること。
私はヒメ子を救う。どんな暗い海の底にいるのでも必死に探して見つけ出す。
そして今度こそ引き上げるよ。そして一緒に向き合うよ。
真摯に愛しているよ。見かけだけに引き寄せられる女達と一緒にするなよ。
信じいや。お前をどんなに大切に思っているか。幸せにしたいか。
来年は幹部になる。責任しっかり果たし、誰よりも上手くなり、
勉学でも将来の夢に向かって励むし、しっかりこの両腕で部とみんなを
護るよ。誰よりも愛するヒメ子。明るく元気で誰よりも孤独なヒメ子。
内心の苦痛を持つヒメ子。私とお前もにているよ。ヒメとヒメ子と私は
似ているよ。見かけと内心がずれていてわかりにくい天才的なモーツアルトだ。
愛してるんだ。ほんとうに。もしかしての推測ではあるけれど、
もしマイノリティを持っていたらそれは絶対的なものであるけれど。
だからと言って私を愛せないのか?それはわからないではないか誰も。
この愛と強さで今度こそお前を幸せにする。お前がまっすぐ見てくれるから
私もまっすぐ見るよ。君を。
マイノリティのことなら、親友のサツキもそうなのだ。
人生で初めてであったけれど。
初めにそのことを打ち明けてくれたことを覚えてる。
だけど私はしごく自然に受け入れた。だってサツキはサツキだから。
何も変わらない。プー先輩がどうしようもなく恋をしていたから
ややこしくむつかしくなっていたんだ。
もしヒメ子がマイノリティ持っていたら恋人関係になるのはかなり
むつかしい。絶望にめまいがする。でもそれだからって諦めないよ。
すがるんじゃなくてそうだなぁ・・・こんなに愛することのできる人は
いないのだ。ヒメ以来なんだこんなにまで恋したの。チープな恋とは
わけがちげえんだよ。好きなんだよ。チープなのでごまかそうってんじゃ
ない。例えばクリスマス別の人と過ごしてもこいつを想い続けることは
わかりきってるんだよ。不毛というのは百も承知さ。
でもわりきれないことってあるんだと今さらながら実感した。
数学得意だったし、法律と数学を愛するのんきで平和な頭は全ての
事柄は割り切れる解決できるものだと信じてきたらしい。
愛してるんだよどうしようもなく。君を信じたい。どうしても。
ばかならばかでよいよ。蔑むかもしれん。でも貴方が好きだ。
ばかみたいにどうしようもなく。
先輩の悲しい知らせを聞いた。一番星が輝いていた。
それを見て失って2度と戻らない人を思って泣いた。
声を殺して泣きながら歩いた。みんなつらい思いを抱いているんだ。
そして信号を待っていて、ヒメを思った。
今日はヒメとヒメ子の話をしたいと思う。私にとって心から大切で
人生を揺さぶるような想いを抱いた彼らの話を。
ヒメと会ったのは14だった。あの時ヒメは14だった。もう7年たった。
例えばやりとりの一コマ一シーンがそれでも抜け落ちていくのだけれども
それでもいつまでも忘れられない。忘れたくない。あの繊細さ美しさ脆さ。
思春期特有の繊細でガラス細工のような美しい結晶みたいで、穏やかで
優しげにうっすら微笑むあの人は間違いなく私の全てだった。
非常に美しかった。異常にといってもよい。その妖しいはかなげな可憐な
姿にみんな惹き付けられた。ぱっと目立つのではなく、そっと奥ゆかしく
物憂げな可憐さはみんなを狂わせる愛おしさを駆り立てる。
肌は白く、睫毛は下向きで伏し目がちになるとはっと気づくような
長さを持つ、唇は鮮やかな桜色で、目は黒く丸くそして遠くを見ているのか
覗き込まれるとうむを言えなくなるような吸い込まれるような黒く美しい
瞳。おとなしく、よく同調して微笑むがめったに騒いだりしない。
声は高く美しく小鳥がさえずるようなソプラノだった。
先生からも可愛いと言われ、女子は愛らしいという目で見、男子の危険な
欲望を駆り立てていたりもした。
そんな彼にとって思いがけずもとても近く、
いつのまにかかけがえのない存在になっていた。
席が隣になり色々なやりとりをして今まで知らなかった新しい彼が
目覚めるのを私は知った。彼は感覚的に先先を読む天才的才能が備わってる
と思う。理屈で考える私にとっては彼は先先を感覚で駆け抜けるので
理解が遅く彼は時々不満そうだった。そして彼は往々として悲しげな遠い目
をした。
彼は私に何を望んでいたのか?私がどうすべきだったのか?
彼にとって私はどういう存在であって、どうすれば彼を奥底で理解し
同調し心から分かり合える同士になれたのか?
その答えを彼は感覚的に全て知っていて、重い頭で理屈で考える私に
先回りしてずっと待っていた。私はそれに7年くらい費やしている。
そしてふと気づいたり分かったりするのだ。そうなのだ。
結果的に私は彼に何一つ与えられなかったのかと思う。私が思うに、
彼は私に救ってほしかったのであり、味方であってほしかったのであり
、どんなことからも護ってほしかったのである。それは自明。
彼が直接言ったこともある。もちろん全部ではなくほのめかすように
ではあるけれど。彼は強くなりたかった。だけど、どうすることもでき
なかったから誰かに救ってほしかったのであったし、それを私に選んだ
ことも事実だ。私でなければならなかったのだ。うぬぼれでもなく。
彼は私の強さに賭けた。強さの燐片を見つけた。それは芽であった。
蕾であった。それを育てようとした。あらゆる手段を彼はとった。
昔の私の頑なで寡黙で信念を持ってひたすら遂行してきた絶対的な
強さに対する期待と憧れ。それは愛の始まりでもあったのだ。
彼は私にその強さまるごとで強引に引き上げてほしかったのだ。
暗く冷たい海の底から。そのことにきづかなかった。
ようやく気づいたんだ最近。ヒメ子に会って初めてわかった。
ヒメは私を好きだった。だけど消しがたい暗い影がさしこんでいた。
いいようのない不安で恐れる事実。私も目を伏せたかった事実。
彼はマイノリティの燐片をあらわしていた。男の子を見ていた。
私にはその男の子はこうなりたいという理想なだけだと言っていた。
周りはよく冗談でからかっていた。彼はそれを消し去って私に
奪い去ってほしかったのだ。顔だけで好きになる表面的な女子では
なくて、ほんとうに大切に思っている私に。
だけど、私は意外に臆病で、考え込んで動けなくて。それも怠慢だと
自責する。私は彼の為に全てを捨てる勇気がなかった。
本当に好きだったのに。向き合う勇気、全てを受け入れて肯う勇気。
離れてからほんと後悔して後悔して。思っても思っても足りなかった。
書き溜めた手紙は宛名はなくて。ほんとうに愛していた。
ヒメ子。私の愛するヒメ子。可哀想なヒメ子。誰よりも甘えたがりで
頼りたいのにできないヒメ子。変に遠慮している不器用な子供のようで。
私のことを今まで会った女の子と一緒だとは思わないでな。
泣いてしまうような人でないよ。誰より強い。今は違う、ちゃんと護る。
ヒメのように愛している。やっと出会えた人。こんなにも強く真摯に
愛している。直感で思う。お前はヒメと似ている。とても。
だからしてほしいことがわかる。ヒメが教えてくれた。
私は強くなる。まごうことなき強さを手に入れる。
それは威圧的な強さでなく強権的なものでもない。
強さとは自分の存在に対する強さ。責任を持つ強さ。
強さとは相手と向き合い、全てを受け入れ肯う懐の深い潔きこと。
全てを捨てても護るという疑いなき信念とどんなときも味方でいるということ。
べったり寄りかかっても決して崩れない安心できる強さのこと。
美しく絶対的で尚且つ威嚇しないで穏やかで超然としていること。
私はヒメ子を救う。どんな暗い海の底にいるのでも必死に探して見つけ出す。
そして今度こそ引き上げるよ。そして一緒に向き合うよ。
真摯に愛しているよ。見かけだけに引き寄せられる女達と一緒にするなよ。
信じいや。お前をどんなに大切に思っているか。幸せにしたいか。
来年は幹部になる。責任しっかり果たし、誰よりも上手くなり、
勉学でも将来の夢に向かって励むし、しっかりこの両腕で部とみんなを
護るよ。誰よりも愛するヒメ子。明るく元気で誰よりも孤独なヒメ子。
内心の苦痛を持つヒメ子。私とお前もにているよ。ヒメとヒメ子と私は
似ているよ。見かけと内心がずれていてわかりにくい天才的なモーツアルトだ。
愛してるんだ。ほんとうに。もしかしての推測ではあるけれど、
もしマイノリティを持っていたらそれは絶対的なものであるけれど。
だからと言って私を愛せないのか?それはわからないではないか誰も。
この愛と強さで今度こそお前を幸せにする。お前がまっすぐ見てくれるから
私もまっすぐ見るよ。君を。
マイノリティのことなら、親友のサツキもそうなのだ。
人生で初めてであったけれど。
初めにそのことを打ち明けてくれたことを覚えてる。
だけど私はしごく自然に受け入れた。だってサツキはサツキだから。
何も変わらない。プー先輩がどうしようもなく恋をしていたから
ややこしくむつかしくなっていたんだ。
もしヒメ子がマイノリティ持っていたら恋人関係になるのはかなり
むつかしい。絶望にめまいがする。でもそれだからって諦めないよ。
すがるんじゃなくてそうだなぁ・・・こんなに愛することのできる人は
いないのだ。ヒメ以来なんだこんなにまで恋したの。チープな恋とは
わけがちげえんだよ。好きなんだよ。チープなのでごまかそうってんじゃ
ない。例えばクリスマス別の人と過ごしてもこいつを想い続けることは
わかりきってるんだよ。不毛というのは百も承知さ。
でもわりきれないことってあるんだと今さらながら実感した。
数学得意だったし、法律と数学を愛するのんきで平和な頭は全ての
事柄は割り切れる解決できるものだと信じてきたらしい。
愛してるんだよどうしようもなく。君を信じたい。どうしても。
ばかならばかでよいよ。蔑むかもしれん。でも貴方が好きだ。
ばかみたいにどうしようもなく。