土佐のくじらです。
本日も、偏屈歴史オタクの館にようこそ。(笑)
さて、左翼的歴史観において、戦前の日本という国は、とても凶悪でズル賢く、
そして、他国の自由や利益を蝕んできた経歴があるように教えております。
しかし、事実は違います。
なぜなら、それではつじつまが合わないからです。
私は何度も申しますが、そういった一般的な戦争観、戦争=ビジネス(侵略)論では、
この神秘の国、麗しき国は、推し量ることができないのです。
それはただ単に、左翼主義的教育を目論む方々が、それを認めないか、
もしくは彼らに、歴史を読み取る力がないかの、そのいずれかであると思います。
何せ、明治以降の日本の周りの国には、当時の日本人が欲しがるものなど、何もありません。
当時にして日本の方が、遥かに豊かな国だったのです。
「当時の日本人は、近隣諸国に偉そうにしたいだけだったのだ・・・。」
こういう意見も聞いたことがありますけど、それも当てはまりません。
日本人ほど、外国人に優しい国民はいないと思います。
多くの日本人は、人に対して「見下したい。」という欲求があるようには、私は思えないです。
他人を見下して生きて行きたいという願いを持っている民族は、むしろ中朝韓民族の特徴だと思います。
あちらは、儒教文化が中途半端に定着していて、
強い者には滅法弱く、弱い者には滅法強いという、基本メンタリティーをお持ちのようです。
実は日本の儒教文化の方が、孔子の真髄を理解していると思います。
日本では立場の高い方、強い権限を持つ人は、それ相応の人徳を要求されるからです。
日本文化において、立場の高い人というのは、”えらい”のではなく、むしろ、”つらい”のです。(笑)
さて、日露戦争は完全な国防戦です。
でなければ、当時の世界最強国家と戦争にはならないです。
にもかかわらず、
「国防とは言え、朝鮮は他国である。」
「内政干渉も甚だしい、当時の日本の外交は、他国に大変失礼である。」
「ロシアに取られる取られないは、朝鮮の運命ではないか。」
また、
「ロシアは、不凍港が欲しかったのだから、あげればよかったじゃないか。」
こういう意見もございます。
一見、筋が通っているようにも聞こえます。
しかしそう言う人は、私からすれば、人の心と地図が読めない人です。
ではなぜ、ロシアは不凍港が欲しかったのしょうか?
それは、年中海軍が出せる状況にしたかったからです。
冬に港が凍れば、一年の半分は船が出せませんよね。
それでは半年しか、貿易も軍事活動もできないじゃないですか。
帝政ロシアの思考は、完全なそしてとてもわかりやすい、戦争=ビジネス論なのですね。
つまり当時のロシアは、完全な侵略国家なのです。
海軍=大量の軍人を出せる=海の向こうまで占領活動ができる=更に領地が増えて国益になる・・・こういうことなのですよ。
とても、簡単な数式ですね。
朝鮮半島がロシア領になれば、日本に大量の軍人を送り込めるわけです。
朝鮮半島に日本侵略の意図のある国家勢力が入れば、たちまち日本は危機になるのです。
さあこれを、現代に当てはめてみればどうなりますか?
今のロシアに、他国侵略をするモチベーションはありません。
そう、対象は中国です。
日露戦争は、現代日本人にとって、とても参考になる歴史的事実です。
賢者は、歴史に学ぶのです。
土佐のくじらです。
近代日本の歴史的大事件の一つに、日露戦争があります。
これなども、戦争=国防論でなければ、絶対におきなかった戦争なのですね。
何せ相手は、当時のGDP第2位の超大国ロシアです。
軍事力は当時、恐らく世界最強であったでしょう。
日本にとって、これほど割の合わない戦いはありません。
通常の戦争=ビジネス論の戦争観では、絶対に戦争になりません。
なぜそんなロシアと、日本は戦うはめになったのか?
私は、
日清戦争で日本が勝ったから・・・そして、その戦後処理が甘かったから・・・だと思います。
日本に負けた清は、”眠れる獅子”と密かに、列強諸国恐れられていた仮面がはずされ、大国としてのメンツが、丸つぶれになりました。
「なぁ~んだ。清国は、日本に負けるような国だったのか!」と、世界に目覚めさせてしまったのですね。
それまで、国内に列強諸国を抱えてはいたのですけど、日本に負けた後には、もう、あからさまにやられ放題の状況に陥りました。
これぞ、侵略国家の真の姿です。欧米列強こそ、侵略者らしい侵略者です。
清は日清戦争前は、GDP世界第1位の大国であったのですが、それからもう、どんどん落ちぶれていったのですね。
これは当時の日本も、予想外のことだったと思います。
「もうちょっと頑張ってくれるのではないか・・・。」と思っていたと想像しますね。
そして日本は、遼東半島を清に返還しますが、なんとここに、ロシアが入ってきたんですよ。あっ!と言う間に・・・
遼東半島は名目上、清からロシアが借り受けた形になっていますが、これなどは街のチンピラが、
「にいちゃん、なぁ~、ちょっと金貸してくれよ~。」と言うみたいな、カツアゲに近い状況であったことに、相違ありません。
そしてロシアは、満州・遼東半島を統治し、南満州鉄道を通して、この地の実効支配を、着々と進めていたのです。
遼東半島は凍りませんから、冬でも海軍が出せます。
ロシア軍の欠点がなくなり、ロシア念願の無敵国になるのですね。
物流は南満州鉄道を使えば、遼東半島の港に無尽蔵に運べます。
ここにロシアが居座れば、いつでも朝鮮半島に入れる状況になるわけですよ。
朝鮮半島が、日本に侵略の意図を持つものが統治すれば、日本本土は将棋で言えば、事実上詰んでしまう訳ですね。
(これは、今でも状況は同じです。)
判断する時間は限られています。
遼東半島を清に返還などせず、日本が直接統治していれば、ひょっとしたら日露戦争はなかったかも知れませんね。
半島は防衛線が狭いので、支配してしまえば守りやすいのです。
制海権を握って、海上からの兵站さえ確保できれば、守りきることは比較的容易です。
私は清に遼東半島を返さず、ロシアの極東浸出を牽制し、阻止する拠点とするべきだったと思います。
ロシアに、「極東進出は割りに合わない。」と思わせれば、侵略国家に対しては戦争にはなりませんからね。
それは遼東半島にいても、十分可能だったと思いますし、この地はそれにとても適していたと思います。
しかし結局、ロシアを遼東半島、そして満州から追い出すことを目的に、日本はロシアと、あの辛い戦争をすることになるのですね。
日露戦争は完全な、国防戦争です。
それ以外に説明しようがありません。
それはまだ日清戦争から、10年ほどしか経過していない時期の話です。
日清戦争に日本が勝った後に、日本は戦争観をビジネスに変更していれば、もしかしたら、また違った歴史があったかも知れない・・・
私は真剣にそう思います。
歴史とは皮肉なもので、戦争=ビジネス論の方が、戦争自体が軽くすむところは、大いにありますし、
戦争自体をしなくて済むところも、実際はかなりあるのですね。
戦争=ビジネス論で言えば、割の合わない戦いというのは、絶対に有り得ませんからね。
日本は戦争=国防論でしか、海外と戦争をしている様子はありませんが、皮肉な言い方ですけど、
であるからこそ、日本にとってはかなりきつい戦いを、歴史上強いられているように、そう私には思えます。
日本人が世界と自国の戦争観を理解することが、いらぬ戦争を世界がしないこと、ひいては世界から戦争をなくすことにつながる・・・
私は、そう思えて仕方がありません。