カミさんむくれた！

昨夜のことである。例によって部屋を暖かくして我輩はワイシャツ一枚で「不毛地帯Ⅲ」を読んでいた。

この本はいつか「幾山河」　瀬島龍三　回想録　の話を聞き、急に著者に興味を感じて、友人に、この本のことを話したところ彼の蔵書にあると云う。

無理を承知で拝借できないか？とお願いすると快く貸して戴き読んだ。

以来、もう少し彼のことを知りたいと思い彼に関する関連の本を図書簡に行き探す。

「太陽は沈まず」山崎豊子　著　を先ず読んだ。多少異なる印象を受けたが、姉妹書ともいえる「不毛地帯」を続いて図書館から借りて読み始めたのだ。

１，２巻を借り、あっと言う間に読み、続く３，４巻が読みたいと図書館で探すが何故か？貸し出し中だった。

２～３日前に近くの本屋で、たまたま文庫本で３，４巻を見つけ直ぐに求めたのである。

一昨夜から読み始め、夢中になり読んでいるうちに鼻水がポタ！とテーブルに落ちた。

無意識のうちに鼻を噛み本は読み続けていた。

その内にまたもやポタ・ポタとテーブルの上に鼻水が落ち、コリャ堪らんとテッシュ・ペーパーで獅子鼻の丸い穴にテッシュペーパーをちぎり丸めて詰めた。

暫くしてカミさんが部屋に来て

「あんた、鼻血でも出たの？」と聞く

「いや～鼻水が出て凄いのだ！風邪でも引いたのかな～？」

そう言いながら、ふと暖房器の温度を見るとスイッチが切れている。

そればかりでない！暖房器に表示してある室温は２０度で設定温度は２２度となっていた。

「おい　何時　暖房を切ったのだ！」

「俺を殺す気か？」思わず怒鳴った。

「アレだけ暖房機の（設定）温度は変えるな！と言ってあるだろう！」

気の所為か急に身体が寒さで震えが来た。

直ぐに上着を着ても寒いこと甚だしい！

スッカリ身体は冷え切ったらしい？

我輩の凄い怒りにカミさんも頭にきたのか？

何も言わずにノッソリと暖房器の側によりスイッチを入れたらしい？

そして直ぐに居間から居なくなった。

また、本を読み始めたが寒さは変わらない。

暫くしても室温が上がらないのでおかしい？と感じて・・・

もう一度　暖房器を見るとなんとカミさんはスイッチを押しただけで部屋をでたらしい？嫌がらせか？

我輩は仕方なくテーブルから立ち上がり暖房器に行き温度を２５度に上げて席に戻る。寒さは酷く感じる。

防寒着を着ようとしても脱いで掛けていた目の前のテ－ブルの椅子に無い！

あいつ、また何処かに仕舞い込んだな？多分隣の部屋に持っていったのだろう？

然し隣の部屋は寒い！４～５分もすると暖かくなるだろうと？たかを括って我慢をしながら本を続きて読み始めた。

いつもなら「漢字クイズ」を解くために、この居間にくるカミさんは全く来ない。
我輩に近寄ろうともしない。まァ　いいか？

鼻水が凄くなる。

なんとかならぬか？と思ったときに先日「ウイルス性腸炎」と診断されて戴いた薬に抗生物質があることに気が付く。

あれだ！直ぐに取り出し一粒飲む。

これで８時間は持つ。次は午前４時だ。４時には起きている。

寝る前までに、この鼻水が止まればいいのだが？暫く鼻に栓をして本は読み続けた。

鼻の両方に栓をすると流石に息苦しい。

片方の鼻の栓を外し、何か暖かいものを飲んだほうが冷えた身体を温めるには手っ取り早い！台所に行くとカミさんが居た。

「おい　何か暖かいものはないか？」

「寒くて堪らん！」

ところがカミさんは何も言わずに台所を出て行った。

「おい！寒くて堪らんのだ。なんとかしろ！」聞こえない振り？をしているのか？そのまま自分の部屋に行ってしまった。

仕方なく、棚から葛湯（クズユ）を探し自分で作り飲む。

少しは落ち着く。

午後１１時過ぎまで読みつづけた時に鼻水がやや収まったことに気づいた。

今から寝よう。これなら眠れる。

とうとう、今夜はカミさんは居間に来なかった。
　
２階のベットに入り横になるや・・・

「土方殺すに刃物は要らぬ！雨の三日も降ればいい・・・」か？

我輩殺すに刃物は要らぬ！温度を２～３度下げればいい？

思わずそう言ったものだ。

カミさんは我輩に言わせれば北極海で泳ぐ白熊みたいだ。

我輩は２～３度の温度が下がればあの世行きの熱帯魚だ。

果たして熱帯魚が２～３度の水温の差で死ぬかどうかは知らないが？

指し向き思い出さない。

久し振りに冷戦が始まった夜だった。

旭川の沼じじさんのところはー１６度で暖かいといわれていた。

我家は冷凍鮪（マグロ）さながらのマイナス５０度の冷凍庫と化した。

明日はどうなることやら・・・・