参った。参った！

夕方、太極拳の練習から帰ってくる時に、激しい雨の中の途中で「たこ焼き店」に寄り「たこ焼き」と「？？？」を求めて帰った。

それを持って居間に入るとカミさんは何か会計の帳簿を開き仕事らしきものを、やっていたが我輩を見ると直ぐに片付けて、珍しく

「お帰り・・・」と言う。なんだか調子が狂う。

そこで

「おい、“たこ焼き”買って来たぞ」と言ながら

「たこ焼き店」の袋から先ず「たこ焼き」をテーブルの上に出し、

「これは俺がビールのつまみにして食べる」

「コレはお前が食べたら？」と「たい焼き」を出したら

「私は鯛焼きは余り好きでない」

「焼き蕎麦のほうがいい」と抜かした。

さもあらんと、次に、カミさんの宣（ノタマ）わく「焼き蕎麦」を出したら即座に・・・

「それがいいよ」

「そうか・・じゃあビールにするか？」と言ってビールを冷蔵庫から出すと・・・

「一寸　待って今、いいものを出すよ」と言う。

なんだか、またまた調子が狂う。

少ししてテーブルに出されたのは、なんと我輩の大好きな鰹（カツオ）のたたきであった。

昨日の「蟹」　以来どうも調子が狂う。福沢さんの威力かな？

何時もなら

「おい、何かツマミは無いか？」と怒鳴ると

「鼻でも摘まんでいな・・・」

「なに～ィ！　この低い鼻を摘まめるか！」

「なにを抜かす！」

「毛抜きで摘まんだら？」

「鼻毛じゃあ、あるまいし摘まめるか！」と言う展開になるところが

今日は違った！こう、お淑やかに出られると流石の我輩も何も言えない。

出された“カツオのたたき”でビールを飲み、ビールを飲み終えても未だ充分残っているカツオを口に頬張りながら焼酎を出して、また一杯飲み始めた。

ここでも何時もなら

「もう止めな」と止められるところがカミさんは黙っている。

「おい！このカツオ旨いな～ァ」と、つい吾にもなく、お世辞を言う羽目になった。

なのに何の返事もない。

ふと隣のカミさんを見ると我輩の傍で例の「漢字クイズ」を始めていた。

何か必死で考えているようだ。

まァ　しょうがないか？一人焼酎を飲み始める。

ＴＶでは台風のニュースで大変だ。

明日はどうも関東地方は嵐だな・・・とＴＶを見ながら焼酎を口にする。

窓から見る外は既に、もの凄い雨で嵐と言うのに我家は平和そのものだ！

酒のツマミは老けた寅さん顔の鼻を摘まむより、やはりカツオのたたきが一番だと吾知らず　

そ～ッとコップを持つ手で低く裾野の広がった鼻を撫でていた。