我輩の子供時代は戦争中(大東亜戦争)の真最中であった。
国民学校を卒業したのも、その最中だった。
国民学校の卒業で全員の写真なるものは無い。
ただ、卒業の日に 担当の先生に10人くらいの仲間と共に一緒に連れられて西岩国の八幡様にお参りして、その足で、ある写真館に入り記念写真を撮ったことを憶えている。
その写真の裏には「岩国海軍航空隊憲兵隊」と言う赤い丸い検印が捺印されていた。
遊びは季節により異なるが夏は水遊びで我輩が住んでいた「川下」と言う場所は瀬戸内海に流れこむ錦川の河口であったため潮の干満が激しく(3mはあったのでは?)満潮の時は川幅(約150m)一杯に海水が溢れ,5~6年生は土手から満潮の川に飛び込み向こう岸(今津)まで泳ぎ渡り、向こう岸の土手に上がり、また、その土手から、こちらに飛び込み泳ぎ帰るのである。
これが出来ないと仲間はずれにされる。
この川も干潮のときは歩いて向こう岸まで行くことが出来るので余り川では遊ばなく、半里(2Km)ばかり歩いて下り海に出てヤスで魚を突いて遊んだ。
喉が渇けば近くの三角州の畑に熟れた西瓜畑にほふく前進よろしく忍びこみ細い竹で作った先の尖ったストローを西瓜に差し込んで少々生暖かい天然のジュウスをチュウ・チュウと吸ったものである。
ストローで吸われた西瓜は勿論、程なく腐る。
時には見張りのお百姓さんに見つかることもある。
「オイ!コラ~ 待て~ェ」と怒鳴られると悪餓鬼は一斉に土手に駆け上がり川に飛び込み反対側に向かって泳ぎ人絹町の土手にあがり、川に沿って登り帰る。
また、潮干狩りもよくやった。採る貝は主に蛤、アサリ、マテカイ、であった。
砂も当時は綺麗で足に傷が付くようなものは一切なかった。
マテカイは丸い棒(直径2寸弱、長さ3尺)で砂浜を突くとポコッと穴が空く。すかさず「マテ抜き」(長さ3尺くらいの鋼鉄線で先が矢印のように広げてある)を、その穴に差込み手ごたえで抜くのだ。
熟練を要した。
蛤も似たような穴があくが少し形が違っていたと思うが定かではない。
貝堀り(当時はこのように言っていた)では我輩が祖母の家に行って初めて祖母に連れられ貝堀りに行ったことがあるが暑い日だった所為か貝堀りを始めて間もなく我輩はフラ・フラっと倒れたらしい?気が付いたときは海に近い農家の縁側に寝かされていた。
後で聞くと祖母は突然倒れた我輩を命掛けで背負って、その家まで運びこんだとか?
暫くは「町の子供は弱い!」が口癖になったようだ。
然しその後、みんなと遊ぶうちに自然に身体が慣れたのか?再び倒れることは無かった。
祖母もさぞや肝をひやしたのでは?
後は岩国から錦川の上流にあった親戚に行き、やはり川で遊んだものだ。
この時は川水が凄く冷たく、且つ流れが場所により緩慢があり、瀬の下(シモ)は深みになっていた。
急流の瀬に座り流れる川水に押されて流される。
深みの手前で立ち上がり岸に上がり、また、30mばかり、上って川に入り瀬の流れに乗る。
今で言えば天然のウオーターシュウーターといったところか?
まかり間違い深みに嵌まったときは身体はクル・クルと廻ったものだ。
最初はビックリして手足をもがいて、返って深みに吸い込まれたものだ。
幸いに溺れることは無かったが、危険なことは危険であったと思う。
ここで教わったことは渦巻きに巻き込まれた時は全身の身体の力を抜き流れに身を任すことだった。
我輩が初めて深みに嵌まって青くなって岸に上がって来たときに親戚の一つ上の子が
「○○ちゃん もがいたのだろう?」
「渦に巻き込まれた時は身体の力を抜けば直ぐに浮き上がるよ」だった。
ここでは田の草取りにも行ったが我輩は全くの役立たずだった。
田んぼに入るや、いなや数匹の黒い虫(蛭)が我輩の足の肌にへばりついたのだ。
ビックリしてそれを摘み取ると血が流れ始め、親戚のおばさんが
「オヤ・オヤ これは大変・・・」と直ぐに家に帰るように言われた。
田んぼに入ったのは数分だった。
以来田んぼには入ったことはない。
夜は夜で蛍を見に行ったものだ。
夜更けに錦川のほとりに行くと黄金色の小さな光が沢山フワ・フワと線を引く如く点滅する様(サマ)は忘れ難い。
ただ、肌の弱い我輩は蚊の攻撃には参ったのも事実だった。
なにかと遊ぶことにはこと欠かなかった時代だったと今では懐かしく思い出す。
今日 夕方から昔の写真を探したが未だに見つからない。
何度も引越しをした所為か写真を入れた数箱の仕舞った場所が分からなくなっている。
一箱だけ見つかったが、その中には目的の写真は見当たらなかった。
また、折を見て探さなければと思う。
野山や川を遊び場として夜暗くなるまで遊んでいました。冬はスキー遊びで毛糸の手袋をコチンコチンとこおるほど遊んでいました。人口少ない小さな村でしたが子沢山で(産めよ増やせよ)遊ぶ友達にも事欠きませんでした。
写真はカミさんの写真はバッチリありました。ちゃっかりしている。
それに、カミさんの成績表なるものも出てきました。