皆 様
平素よりお世話になります。
本年も宜しくお願い申し上げます。
さて、本年の 都立高専交流委員会の活動は、
1月13日(金)の 中小企業家経営塾 から始まります。
エンジニア から 経営者 へ!!
クリエイティブなエンジニア集団を作る
講師 株式会社 ディーゴ 代表取締役 飛松 弦 氏
■ 日 時 1月13日(金) 12時45分 ~ 14時15分
■ 会 場 東京都立産業技術高等専門学校 品川キャンパス
西棟6階 PBL多目的教室 (参加費 無料)
■ 参加お申込 当方(田中)へ、ご一報の上、直接、会場へお出かけください。
詳細は、ご案内済みですので、下記をご覧いただけば幸いです。
1.謹賀新年 …… 年頭のメツセージ
2.中国の経済社会の変化、そして、大田区とわが国ものづくりの課題
謹 賀 新 年
絶望でも、根拠なき希望でもなく、未来へ向かう意志を!
旧年中は格別のご厚情を賜り、厚く御礼申し上げます。
皆様によいお年が訪れますようお祈り申し上げます。
英国のEU離脱と米国大統領選挙のトランプ氏当選が
国際秩序液状化の深さを明るみに出しました。
パクス・アメリカーナ(民主帝国アメリカによる平和)の終わりは、
私達をどこに導くでしょう。
自由、 民主主義、 市場経済、 国際協調 といった
規範的価値の再構築が問われます。
その主体は、既存の統治機構ではなく、私たち自身となるでしょう。
本年も、宜しくお願い申し上げます。
2017年 元旦
さて、昨年の年頭 は、
ニューノーマルヘ! 出立する年に!!
液状化する世界の 向こう に 我々のビジョン! としましたが
時代の変革期が動き出していく鐘(警鐘)がなり
私達のこれからの課題が、少しずつ明確になっていくように思います。
本年の 副タイトル は、
連立多次元方程式 を 解く主体 を! に、致したいと思います。
戦後の全てが検証され、
液状化する世界の 向こう に、私達の未来が見え始めていく展開となってくでしょう。
私達に問われているのは、このための布石を打っていくことです。
中国の経済/社会の変化
そして、大田区とわが国ものづくりの課題 について
昨年末のある会合で、
中国の経済/社会の変化と大田区ものづくりの課題について、
短時間で話すように …… というお話しがありました。
もちろん、短時間で話せる内容ではありません。
そこで、何を話すかは別にして、問題意識を整理するメモを作成いたしました。
昨年の経験を踏まえ、本年に向かう
学生の海外学習(大連学生海外派遣)の課題とも重なりますので、
このメモを、公開させていただきます。
◎ 中国について話すことのむずかしさ / 現代中国の経済・社会・政治の基本構造
中国は、一つの国 ではなく 一つの世界 であること
3年たてば、経済と社会の 基本課題 が 変わる
片方で、
グローバル経済を基盤に自由な経済と社会がドラスティックに結婚しており
他方に、
8000万人の党員を有する共産党の統治組織があり、
これが乱反射する(場合によっては逆立ちの像を結ぶ)ように反映されているのが
中国の 経済/社会/政治 の 基本構造
◎ 現在の中国経済の先端で起きているのは ……
グローバルビジネスをけん引する企業が育ち、
それが生み出す、グローバル経済の新しい局面が始まりつつあること。
国際特許出願件数の 1位 と 3位 は 中国企業 (2015年)
しかも、
深セン市 一市 の 企業が、中国の特許出願の47% を 占め、
世界のスターアップ企業を集める突出した展開に ……
通信機器のファーウェイ(華為技術)は、
世界170国に進出し、世界の人口の1/3がそのサービスを享受
売上高6兆円、研究開発費は売上高の10%以上。
8万人を超える従業員が、持ち株会によって株式を所有
(創業トップ任正非氏が所有する株式は1.4%)
商用ドローンでは、
同じく、本社が深セン市にある DJI の 世界シェアは70%
設立10年で2千億円の売上(2016年想定/2015年は1200億円)
アジアのシリコンバレー
しかも シリコンバレーの1か月 は 深センの1週間 …… と、いわれる。
後藤康浩 亜細亜大学教授(前 日経新聞) 新 深セン モデル
世界最強の未公開企業 ファーウェイ …… 冬は必ずやってくる 他
中国のシリコンバレー / いま加速する深センの経済シーンとは
(中国経済の三段階)
① 外国資本の技術/資本を受け入れることにより、技術集積を進め
② 国内市場の巨大な発展を基盤に、家電、電子機器等のメーカーが自立し
③ 国営企業の跋扈する国内市場ではなく、
グローバル市場を基盤に競争力を形成する企業が生まれる。
◎ ただし、私達が考えるべきは、ハイテクに踊らされるのではなく
中国の国内市場の現状を理解し、ここにアプローチする道筋をつくること。
新車を 2800万台 生産/販売、自給する市場の意味するものは ……
昨年の米国の新車販売が1800万台(過去最高 …… 直近の速報では 1755万台)
メキシコの生産台数は400万台弱/この8割を米国に輸出 …… 国境に壁を???
中国は「世界の工場」から「世界の市場」に
ただし、
2800万台の新車が販売される市場は、私達の概念と違った 未成熟な市場
2800万台の新車が販売されるにもかかわらず、購入者の7割が最初の1台目の購入
中古車市場なき中国 …… 長期保有する上での品質評価なき市場
(キヤノングローバル戦略研究所 瀬口清之氏 中国出張報告 2016.10.20~1104 など)
成熟した市場の入口 と
既得権層に富が集中し、好き勝手な消費をしていた段階の終わりが重なり、
これからが、企業の真価が問われる本番。
◎ 現地の日系企業は、どう対応しているのか? (中国/大連市)
現地進出の3番目の段階へ
① 日本の技術、資本を持ち込み 加工貿易拠点(世界の工場)を形成することにより、技術移転
② 現地の市場に、日本の品質、サービスと、それを生み出すシステムを持ち込む (市場化)
③ 現地に立脚して、日本の品質、サービスを提供する段階へ (成熟した市場形成を現地で主導)
盤起工業(大連)有限公司 中国金型部品のトップメーカーの中国本社、金型分野10強 機械500強
毎月4500社の企業より受注、毎月数万枚の図面により、金型部品をカスタマイズ(多品種少量)生産
昨年は売上が頭打ち、この間に増資して工作機械を整備、直近の6か月は各月過去最高売上
4~5年前より、現地の特殊鋼(工具鋼)の使用を拡大、多くを日本製から置き換える。
オムロン大連有限公司 オムロンヘルスケア事業部の基幹工場
世界シェア50%の電子血圧計等の生産の90%を大連工場に移管 中国が最大の市場になりつつある。
製品開発、生産、販売を一体で現地展開、酸素発生器等、中国市場独自の製品も開発、販売する。
直近では、ベトナム、ブラジルへの生産の再移管、
メイドインジャパンブランドの製品として中国市場で販売するための日本への生産再移管を進めてきた。
現地では、メイドイン大連 の ブランド化 で 対応の意向。
共立精機(大連)有限公司 自動車のシリンダブロック等、ダイカスト金型を設計製造、
ホンダ、外資系メーカーに販売、トヨタとの取引も始める。
この分野では、トヨタの初めての現地調達。
中国人トップの日本との関係は30年、
現法人設立から21年、日本人駐在員常勤は最初の8年のみ
従業員100名うち大学院卒3名の技術者集団、
一人あたり年間売上1,500万円超は日本のトップに準じる。
課題は、現地の商習慣に妥協できないこと。人材育成を社会マナーから始めなくてはならないこと。
金普新区(旧経済技術開発区)管理委員会 企業誘致政策 から 産業振興政策 へ
◎ 中国の経済社会の現段階とわが国、わが国企業に問われていること
グローバル化による経済の爆発的拡大が生み出す富が、
既得権層に還流していた時期から
労働需給のひっ迫を通じて、基層の国民の所得が飛躍的に向上するとともに、
リーマンショックと
財政出動による中央/地方政府中心の経済の復権により国内の構造問題が深まり
一方では、新しい経済構造が生まれつつあるが、
他方で、従来の統治システムの枠内での問題解決が繰り返し試みられている ……
グローバリズムを基盤に自由な経済と社会がドラッスチックに結び付けられたが
8000万人の党員を有する共産党の統治が厳然と残り、
ここから生み出される社会の亀裂を、成熟した市場の形成を基盤に軟着陸させていくこと。
日本の1970年代、
トヨタ生産方式(脱規模の経営)が全社化するとともに、
ヤマト運輸の宅急便がスタート、セブンイレブンの1号店が ……
実物経済の領域で、パーソナルなシステムを構築して
(そのための生産現場を主体とする能力構築を進めて)いく努力が進められ
今日のわが国を支える経済の分野がつくりだされていったこと。
1970年代までは、
日本製品の「安かろう悪かろう」の偏見が残っていたことを忘れてはならない。
中国の経済改革が進められる その向こう で
成熟した市場を形成する構造変革のプロセスを共有できない人には、
喪失感だけが残ることに???
普遍的価値の古い基盤が崩落し、チャイナ7の中枢には近代的価値のブラックホールがあり、
トランブ当選により、
1970年以降のこの地域の地域秩序を形成したレトリックも剥ぎ取られつつある。
けれども、
これらを超えて私達が目指すものは 日中韓の協調による地域秩序 でなくてはならない。
それは、日本国憲法が
平和を愛する 諸国民の公正と信義 に信頼して、
われらの安全と生存を保持しようと決意した …… というように、
既存の統治システムを超え、私たち自身の仕事となっている。
◎ 大田区(とわが国の)ものづくり企業の課題について
試作、金型、製造装置、高機能部品等、
ものづくりのビラミットの底辺ではなく、上流の担い手が大田区(城南地域)の中核企業
(スマホで日本の大企業が退場する中、これを製造する中核装置を世界に提供するのは大田区の企業)
2000年以降に直面した課題は、次の3つ
① 中国の(月給5000千円/日曜出勤と残業なしでは働かない1億人のワーカーによる)世界の工場化
② 貿易黒字10兆円をだしていた通信/電子機器分野の実質貿易赤字化 (①より②の影響が大きい)
③ リーマンショックによる 自動車 工作機械 といった分野の需要喪失
(自動車関連の中小企業は 売上 70%、80%減、工作機械は 受注が 100%以上減)
これが この地域の中小企業 を 直撃
一方、ものづくりの上空で、ITの情報処理能力が飛躍的に向上
(自動車等の分野では、ものづくりの課題が飛躍的に複雑化)
AIの運用が、経済効果を超えて、新しい社会的課題を人類に提起していく時代 ……
金融とITを基軸とした産業再編が、「貧富の格差」を拡大してきたのも、厳然たる事実。
市場環境の変化の本質、それを生み出した原因、市場の課題のグローバルな広がりを意識し、
将来への布石を打っていくことこそ問われる。
2016年は、英国のEU離脱、米国大統領でのトランプ当選により、
自由、民主主義、市場経済、国際協調といった規範的価値の再構築を要求したが
それは、既存の統治システムの仕事ではなく、私たち自身の仕事となること。
絶望でも、根拠なき希望でもなく、未来に向かう意志を!
さて、
「新しい中間層」形成(吉田徹氏『世界』1月号)に、要求されるものは ???
本年も、宜しくお願い申し上げます。
東京中小企業家同友会 大田支部 都立高専交流委員会
グローバルコミッション 田中基茂
東京都大田区山王 2-3-3 6F
TEL 5746-3041 FAX 5746-3081
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