ふくろう親父の昔語り

地域の歴史とか、その時々の感想などを、書き続けてみたいと思います。
高知県の東のほうの物語です。

出発地点がありました。

2010-11-04 07:30:22 | 森林鉄道物語
 高知県安芸郡田野町。かつて魚梁瀬森林鉄道の終着地点、貯木場があったところです。いまはもう、その気配すら感じることは出来ないのですが、田野町に貯木場があったことは、色々な場所や資料からイメージを膨らませることができます。

 古い写真があります。
 説明書きには、田野海岸の船積み作業(昭和30年)とあります。
 2隻の船が木材を積み込むために、海岸近くまで来ています。
 しかし大きいですねえ。杉の木のサイズ。
 森林鉄道で運ばれてきた木材が、今度は船で出発するのです。
 海岸で木材を船積みする作業員もたくさんいたのです。
 ただ、波打ち際で木が波にあおられて動くため、危険な作業だったようです。

 陸上運送より海上運送のほうが、当時は理にかなっていたのです。高速道路を中心とした基盤整備は出来ていないのですし、性能の良いトラックもまだ無いのです。



 現在の田野海岸です。奈半利川にダムが3つも出来たことにより砂利等の補給がされなくなったことから、海岸の砂浜が磨り減ってしまったのです。そして海岸調整のために離岸堤が、堤防の前には消波ブロックの山が築かれています。こうなると船は近寄れませんね。
 もちろん船で運ぶ何物も無いのですがね。

 かつてこの場所は、高知県中芸地域の最上流域から魚梁瀬森林鉄道によって運ばれてきた木材が、運び出されたところなのです。
 
 いまは、働く男達はいません。ただ波が打ち寄せ、時おり散歩する方々がいるだけです。