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今日は久しぶりの「木の記憶」シリーズです。
思い出の引き出しを出してくれたのは、現在86歳の女性です。時期は彼女が23歳ごろの事です。私もまだ生まれていないのですし、行った場所は馬路村魚梁瀬、千本山です。
多分その頃の高知県東部地域には今以上に豊かな木々が、天然木が林立していたのでしょう。山にも多くの人々の暮らしがあって、賑やかだったはずです。
彼女はその頃、田野町の今の中芸高校がある場所にあった青年学校で教壇に立っていたのです。時折魚梁瀬の話を、そして地域経済を支える森林の豊かさについて教員仲間で話していたそうですが、機会を見つけて2~3人の友人達と出かけたのです。
出発は奈半利町樋之口の駅です。トロッコに乗せていただいて一路北へ北へ向かったのです。ゆっくりゆっくりと進む機関車の印象としては、とにかく「怖かった。」のだそう。
教員として地域理解を深めようとしたのです。
なにしろ木材を積むトロッコの上にそのまま板を敷いて乗っていたのですから、川の流れに目をやると、引き込まれそうだったそうです。
馬路に着くと若い営林署の職員が中川、西川千本山と案内をしてくれたのだそうです。
何を聞いたのか定かではないようですが、植物について誠に詳しい方だったようです。
宿泊は石仙だったか中川だったか、営林署の作業小屋のようなところに泊めていただいたのだそうです。「電気はまだついてなかったように思う。」山歩きに疲れてすぐに就寝だったのです。
帰途はもちろん木材満載の森林鉄道の車両群の最後尾にまたトロッコを連結していただいて帰ってきたのです。「イワタバコをトロッコにのったまま採った。」
ゆっくりゆっくりと帰ってきたのです。
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木材を伐採する山の中から、森林鉄道でトロッコに乗り、大きな木材とともに下りてきたのです。
そして当時の田野町海岸ではこうした作業が行われていました。
木材を気帆船に積み込んで、主として関西方面へ・・・。
高知県の東部地域が最も活力に溢れていた当時の記憶です。
魚梁瀬森林鉄道は海岸部に住む学究の徒の好奇心も文化も運んでいたのです。
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