「―――――-――!!、―――!?」
声が聞こえる。
私の親友であり戦友である彼女の声が聞こえる。
けど、意識が徐々に暗くなる。
「ク――――、――――ス。」
彼女は妹の名を呼ぶ。
けど、喉から出された音は意味をなさなかった。
「トゥ・・・・!!――――――はや・・!!」
まるで海底にいるようで体が重い、力が抜けてくる。
「はやく!救急車!救急車を!!」
死ぬのか、
私は?戦争が終わってこれからだというのに私は死ぬのか?
いやだ、まだ死ねない。そうだ、死んでたまるか。
私は○○のおかげで生きると決意したのにここで死んでたまるか。
私は――――――――。
魔女と運命 「運命の始まり」
「な!七人目のサーヴァントだと!」
青いエーテルの光が土蔵を照らし先ほどまで衛宮士郎を追いつめていたランサーは思わず後退する。
そして、殺される側だった衛宮士郎は突然現れた人物に驚愕した。
「私はウィッチのサーヴァント、貴様が私のマスターか?」
灰色に近い緑の軍服らしき服装に身を固め、栗毛色の髪を持つ少女が士郎の眼の前に立っていた。
表情からどこか固い印象を与えたが、整った顔立ちは掛け値なしの美人であることに間違いなく一瞬士郎は見とれてしまった。
「あっつ!!」
ジクリと左の手の甲の部位に痛みが走る。
運命の聖痕が今刻まれた。
「ウッィチのサーヴァント、今契約を確認した。
これより私は貴方とともにあり、貴方の運命は私とともにある。ここにて契約は成立した。」
思考が追い付かずにいる士郎をよそにウィッチと自称する少女は次々に知らないことを言う。
加えて、月明かりが土蔵を照らし良く見るとなぜか下半身にはパンツ、
少女にとってズボンしかはいてないことに気がつき、さらに思考が混乱しだした。
「今は外にいる敵を排除する、マスターはそこに。」
「え?いや!だからこれは一体どうゆうことだ!」
いつの間にか両手にはMG42が現れ、7.92ミリ弾を装填する金属音が響く。
カールスラント軍で使用されている汎用機関銃、軽機関銃にも重機関銃の役割を果たせる代物で、
分あたり1200発という発射速度は、扶桑の九九式軽機関銃のように命中精度重視ではなく、面制圧。
弾幕を張る事を主眼に置いたそれは対人戦ではなく対ネウロイ戦でも問題ない。
「ん・・・。」
「はい?」
彼女の言う所の魔法を展開するための犬耳が頭上にちょこんと現れ、その姿に士郎はつい茫然とした言葉を出す。
軍服、獣耳、パンツ?のようなものを丸出し、狙い過ぎにも程があるとその方面に疎い彼でも一瞬でそう感じた。
「よお、てっ・・・なんだその格好・・・うぉ!!」
ウィッチが外に出た瞬間、
問答無用とばかりに至近距離から両手に抱くMG42から魔力で編まれた弾丸を吐き出し金属製の嵐を起こした。
「て、てめえ!この国のワビ、サビってもんを知らねえのか!」
「知らんな。」
そうは言いつつも近距離から音速に近い速度で放たれた7.92ミリ弾を槍を振わせ、弾き返す。
火花があたりに散り、闇夜を照らす。
戦闘開始から数秒、遠距離攻撃用武器を保有しているウィッチと名乗った少女が戦局を押しているように見えた。
だがその状況に変化が現れた。
「もらったあ!!」
「!!」
MG42は発射速度が速い、
すなわち弾の消費速度もバースト射撃なしの全力で撃てば僅か数秒で弾切れを起こす。
その瞬間を槍兵が逃すはずもなく、赤い槍を少女の心臓に向けて一直線に突き出し――――――。
―――――ガキィン!
「はぁぁああ!!」
「くそっ!!」
銃身を握り、棍棒のごとく振りまわしたMG42の台尻で槍を弾いた。
ランサーはその衝撃で塀まで吹き飛ばされ、手に感じる痺れと合わさって思わず悪態をつく。
「固有魔法・怪力」
ウィッチたちが保有する魔法という能力は普段は重いものが持てたり
箒に跨って空を飛べる程度だが、固有魔法とはウィッチ個人ごとに持つ特殊能力である。
そして彼女、本名ゲルトルート・バルクホルンは地面に突き刺された鉄骨を引き抜いてしまう程度の怪力、特殊能力の持ち主だ。
ただ、ランサーにとって幸いだったのは使用している武器が神秘を殆ど纏わない代物なので、槍ごと破壊されるということはないことだ。
「驚いたぜ、そんな体にそんな力があるなんて。」
バーサーカーに匹敵する怪力に直面したランサーは一気に警戒の度合いを高め、小娘と侮っていたのにようやく後悔した。
先の攻撃のあるが、よく見れば彼女は歴戦の戦士であるとランサーのこれまでの経験から警告が出された。
「・・・・・・・・・・・・。」
「ちっ、ダンマリかよ。」
距離10メートル以内。
バルクホルンは左手には弾切れのMG42の代わりに、
いつの間にかMP42が握られ銃口がランサーに固定して、右手には棍棒代わりにしているMG42を構えている。
たしかにバルクホルンは「航空歩兵」、空戦を目的とした兵種に属するので、陸戦は専門ではない。
だが、あくまで「空飛ぶ歩兵」として訓練されてきたので歩兵の基本は体にしみ込んでいる。
生真面目な彼女が空戦技能の向上だけでなく、陸上戦の訓練を怠ることもなく鍛錬を重ね。
「怪力」という固有魔法を空中での接近戦という手段で対ネウロイ戦に挑むため人一倍努力してきた。
陸上戦自体も戦争初期のカールスラント撤退戦で何度も経験したので、この闘いも――――相手が人である事を除き問題は少ない。
「なあ、今日はここらで終わりにしないか?俺のマスターは臆病でな、偵察にとどめろなんて言うからよう。」
「・・・・いいだろう、今日は見逃してやる。」
戦闘停止同意の表示なのか短機関銃を下ろす。
外面上はカールスラント軍人らしく冷静だが、バルクホルンの内心は実の所かなり焦っていた。
確かに「歩兵」の訓練を受けて、なおかつ数々の実戦を経験したからいくら専門が空中戦とはいえ、それなりに自信はあった。
だが、その時の相手は人間ではない異形のネウロイ、と呼ばれる怪物を相手に戦って来て、人間との本気の殺し合いはこれが初めてといってよい。
本気の殺し会い、それも人間同士の
それが彼女に欠けている点で、抵抗感と動揺がある。
しかも最初の一撃に対抗はできたが、もしランサーが連続して槍を突いて来たら対応できたかは疑問だ。
幸いランサーがこちらの攻撃に警戒して距離をとったので事なきことを得たが次はどうなるかはわからない。
神話クラスの英雄に近代の英雄が神秘の密度という点で劣るだけでなく、
実力の点でも積み重なれた経験の差、才能の差、全てにおいてランサーことクーフーリンに劣る。
だからこそランサーからの提案は魅力的で、彼女の利害に一致している。
実力が劣っているが、こちらを過大評価しているならばそれを利用して今は闘いを避ける方向へ持っていくのがベストであると。
「話が早いぜ、次こそは貴様の心臓をもらい受けるからな!」
同意に達したことに満足し、ランサーは塀を飛び越え去って行った。
「さて、敵は撤退した。何か質問はマイマスター?」
「―――――えっと。」
クルリと後ろに振り返りまったく状況を理解できていないマスター、衛宮士郎に問いかける。
彼の赤毛は親友であり上官であったミーナを思い起こさせ、一瞬バルクホルンの心に感傷の想いが走る。
それもほんの一瞬だけ、
すぐに将校として味方の能力分析に頭脳のリソースを傾け、このマスターと共に聖杯戦争にいかに勝つか考え始める。
聖杯
元の世界でキリスト教と呼ばれる宗教はないが似たような伝承はある。
奇跡を起こすという点はこの聖杯戦争から与えられた知識から共通していることは確認ずみ。
ならば運命を変えることだってできるはず。
これから始まろうとしていた平和の日々をたった一人の肉親と歩むはずだった人生を壊した運命を変えられるはず。
否、変えて見せる。
「まずこれは――――――。」
運命の夜が開幕した。
はい、ストライクウィッチーズ×Fate物です。
ストパンクロスものは見ないなあ、と思い書きました。
続くかどうかは不明です。
声が聞こえる。
私の親友であり戦友である彼女の声が聞こえる。
けど、意識が徐々に暗くなる。
「ク――――、――――ス。」
彼女は妹の名を呼ぶ。
けど、喉から出された音は意味をなさなかった。
「トゥ・・・・!!――――――はや・・!!」
まるで海底にいるようで体が重い、力が抜けてくる。
「はやく!救急車!救急車を!!」
死ぬのか、
私は?戦争が終わってこれからだというのに私は死ぬのか?
いやだ、まだ死ねない。そうだ、死んでたまるか。
私は○○のおかげで生きると決意したのにここで死んでたまるか。
私は――――――――。
魔女と運命 「運命の始まり」
「な!七人目のサーヴァントだと!」
青いエーテルの光が土蔵を照らし先ほどまで衛宮士郎を追いつめていたランサーは思わず後退する。
そして、殺される側だった衛宮士郎は突然現れた人物に驚愕した。
「私はウィッチのサーヴァント、貴様が私のマスターか?」
灰色に近い緑の軍服らしき服装に身を固め、栗毛色の髪を持つ少女が士郎の眼の前に立っていた。
表情からどこか固い印象を与えたが、整った顔立ちは掛け値なしの美人であることに間違いなく一瞬士郎は見とれてしまった。
「あっつ!!」
ジクリと左の手の甲の部位に痛みが走る。
運命の聖痕が今刻まれた。
「ウッィチのサーヴァント、今契約を確認した。
これより私は貴方とともにあり、貴方の運命は私とともにある。ここにて契約は成立した。」
思考が追い付かずにいる士郎をよそにウィッチと自称する少女は次々に知らないことを言う。
加えて、月明かりが土蔵を照らし良く見るとなぜか下半身にはパンツ、
少女にとってズボンしかはいてないことに気がつき、さらに思考が混乱しだした。
「今は外にいる敵を排除する、マスターはそこに。」
「え?いや!だからこれは一体どうゆうことだ!」
いつの間にか両手にはMG42が現れ、7.92ミリ弾を装填する金属音が響く。
カールスラント軍で使用されている汎用機関銃、軽機関銃にも重機関銃の役割を果たせる代物で、
分あたり1200発という発射速度は、扶桑の九九式軽機関銃のように命中精度重視ではなく、面制圧。
弾幕を張る事を主眼に置いたそれは対人戦ではなく対ネウロイ戦でも問題ない。
「ん・・・。」
「はい?」
彼女の言う所の魔法を展開するための犬耳が頭上にちょこんと現れ、その姿に士郎はつい茫然とした言葉を出す。
軍服、獣耳、パンツ?のようなものを丸出し、狙い過ぎにも程があるとその方面に疎い彼でも一瞬でそう感じた。
「よお、てっ・・・なんだその格好・・・うぉ!!」
ウィッチが外に出た瞬間、
問答無用とばかりに至近距離から両手に抱くMG42から魔力で編まれた弾丸を吐き出し金属製の嵐を起こした。
「て、てめえ!この国のワビ、サビってもんを知らねえのか!」
「知らんな。」
そうは言いつつも近距離から音速に近い速度で放たれた7.92ミリ弾を槍を振わせ、弾き返す。
火花があたりに散り、闇夜を照らす。
戦闘開始から数秒、遠距離攻撃用武器を保有しているウィッチと名乗った少女が戦局を押しているように見えた。
だがその状況に変化が現れた。
「もらったあ!!」
「!!」
MG42は発射速度が速い、
すなわち弾の消費速度もバースト射撃なしの全力で撃てば僅か数秒で弾切れを起こす。
その瞬間を槍兵が逃すはずもなく、赤い槍を少女の心臓に向けて一直線に突き出し――――――。
―――――ガキィン!
「はぁぁああ!!」
「くそっ!!」
銃身を握り、棍棒のごとく振りまわしたMG42の台尻で槍を弾いた。
ランサーはその衝撃で塀まで吹き飛ばされ、手に感じる痺れと合わさって思わず悪態をつく。
「固有魔法・怪力」
ウィッチたちが保有する魔法という能力は普段は重いものが持てたり
箒に跨って空を飛べる程度だが、固有魔法とはウィッチ個人ごとに持つ特殊能力である。
そして彼女、本名ゲルトルート・バルクホルンは地面に突き刺された鉄骨を引き抜いてしまう程度の怪力、特殊能力の持ち主だ。
ただ、ランサーにとって幸いだったのは使用している武器が神秘を殆ど纏わない代物なので、槍ごと破壊されるということはないことだ。
「驚いたぜ、そんな体にそんな力があるなんて。」
バーサーカーに匹敵する怪力に直面したランサーは一気に警戒の度合いを高め、小娘と侮っていたのにようやく後悔した。
先の攻撃のあるが、よく見れば彼女は歴戦の戦士であるとランサーのこれまでの経験から警告が出された。
「・・・・・・・・・・・・。」
「ちっ、ダンマリかよ。」
距離10メートル以内。
バルクホルンは左手には弾切れのMG42の代わりに、
いつの間にかMP42が握られ銃口がランサーに固定して、右手には棍棒代わりにしているMG42を構えている。
たしかにバルクホルンは「航空歩兵」、空戦を目的とした兵種に属するので、陸戦は専門ではない。
だが、あくまで「空飛ぶ歩兵」として訓練されてきたので歩兵の基本は体にしみ込んでいる。
生真面目な彼女が空戦技能の向上だけでなく、陸上戦の訓練を怠ることもなく鍛錬を重ね。
「怪力」という固有魔法を空中での接近戦という手段で対ネウロイ戦に挑むため人一倍努力してきた。
陸上戦自体も戦争初期のカールスラント撤退戦で何度も経験したので、この闘いも――――相手が人である事を除き問題は少ない。
「なあ、今日はここらで終わりにしないか?俺のマスターは臆病でな、偵察にとどめろなんて言うからよう。」
「・・・・いいだろう、今日は見逃してやる。」
戦闘停止同意の表示なのか短機関銃を下ろす。
外面上はカールスラント軍人らしく冷静だが、バルクホルンの内心は実の所かなり焦っていた。
確かに「歩兵」の訓練を受けて、なおかつ数々の実戦を経験したからいくら専門が空中戦とはいえ、それなりに自信はあった。
だが、その時の相手は人間ではない異形のネウロイ、と呼ばれる怪物を相手に戦って来て、人間との本気の殺し合いはこれが初めてといってよい。
本気の殺し会い、それも人間同士の
それが彼女に欠けている点で、抵抗感と動揺がある。
しかも最初の一撃に対抗はできたが、もしランサーが連続して槍を突いて来たら対応できたかは疑問だ。
幸いランサーがこちらの攻撃に警戒して距離をとったので事なきことを得たが次はどうなるかはわからない。
神話クラスの英雄に近代の英雄が神秘の密度という点で劣るだけでなく、
実力の点でも積み重なれた経験の差、才能の差、全てにおいてランサーことクーフーリンに劣る。
だからこそランサーからの提案は魅力的で、彼女の利害に一致している。
実力が劣っているが、こちらを過大評価しているならばそれを利用して今は闘いを避ける方向へ持っていくのがベストであると。
「話が早いぜ、次こそは貴様の心臓をもらい受けるからな!」
同意に達したことに満足し、ランサーは塀を飛び越え去って行った。
「さて、敵は撤退した。何か質問はマイマスター?」
「―――――えっと。」
クルリと後ろに振り返りまったく状況を理解できていないマスター、衛宮士郎に問いかける。
彼の赤毛は親友であり上官であったミーナを思い起こさせ、一瞬バルクホルンの心に感傷の想いが走る。
それもほんの一瞬だけ、
すぐに将校として味方の能力分析に頭脳のリソースを傾け、このマスターと共に聖杯戦争にいかに勝つか考え始める。
聖杯
元の世界でキリスト教と呼ばれる宗教はないが似たような伝承はある。
奇跡を起こすという点はこの聖杯戦争から与えられた知識から共通していることは確認ずみ。
ならば運命を変えることだってできるはず。
これから始まろうとしていた平和の日々をたった一人の肉親と歩むはずだった人生を壊した運命を変えられるはず。
否、変えて見せる。
「まずこれは――――――。」
運命の夜が開幕した。
はい、ストライクウィッチーズ×Fate物です。
ストパンクロスものは見ないなあ、と思い書きました。
続くかどうかは不明です。