国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。
と、有名な文学作品のフレーズがあるが――――ドアを抜けるとカオスであった。
「あは、オバサンなかなかやるね」
「あ゛!?この糞餓鬼がぁーーー!!」
金髪の少年と、
桃色の髪を持つ少女が互いに宝具と魔術をぶつけ合う。
流れ弾が喫茶店の床や机を破壊し、破片があたりに散乱する。
おっかしいなぁ、ボクはヒロインの座を狙う化け猫退治を依頼されたはずだけど。
というか、桃色の少女はもしかしてキャス狐か?
うぉおおお、リアルキャス狐キタコレ!
なんだ!あのけしからんスタイルは!!
アルクェイドさんやシオン、秋葉さんとか美少女は見慣れているけど、
流石かつて帝に魅入られた絶世の美女、キャス狐マジ美少女。
そして、隣にいる学生服の少年はそのマスター、ザビエルだな。
エクストラエンドならば4畳半アパートであんな美少女と同居してるんだよな……爆せリア充。
「あ、あのー喧嘩はその、本当によくニャイから辞めませんか―――って今掠ったニャーー!!?」
なんか足元から声が聞こえるから視線を向けると、いた。
本当にそれは奇妙な生き物であった、なぜなら見た目は動物の属するにも関わらず人語を解していた。
それだけなら、魔術の世界ならばさほど珍しくないが、問題はその造形だ。
2速歩行で人間の服を着て、頭にこれまた人間のような髪を生やしていた上に、その顔が実に奇妙であった。
神の造形ミスを疑いたくなるようなアンバランスな配置、特にその瞳は宇宙人グレイのごとく顔の面積の多くを占めていた。
早い話美少女マンガの大きな瞳をしたヒロインがそのまま三次元に登場したらどうなるか?
そんな思考実験的代物がボクの視線の先に存在しており――――ネコアルクはグロイというよりクリーチャーだった。
それこそ、クトゥルク神話で出てくるようなクリーチャー並に見るに耐えられるものではなく、ボクのSAN値が一瞬急降下した。
体温が一気に低下し、ガチガチと恐怖で歯が鳴る。
心臓もまた恐怖と極度の緊張で暴発寸前で今にも暴発し、その動きを止めてしまいそうだ。
また、冷や汗も流れる。
息もひゅーひゅーと吐くだけでうまく呼吸することが出来ずにいる。
化け物、血を吸う鬼になってもなんて様だ。
今は奴は自分を見ていないがもしもこちらを向いた時、ボクは正気でいられるだろうか?
あの、大きな瞳が自分の姿を捉えた時、果たしてボクは――――。
「弓塚さん、どうかしましたか?」
「…………っ、あ、い、いや何でもない!」
ヤバイ、琥珀さんが呼びかけていなかったら本気であのままSAN値直葬しそうになった。
というか、何でこいつだけ二次元的描写に忠実なんだ!!?
今まで見たことなかったグロイ、
キモイと皆が口を揃えていたけどその気持ちが分かるよ……。
で、リーズバイフェはこれをキモ可愛いと申すとか、訳が分からないよ。
少なくてもシオンよりも芸術のセンスはあるというのに、どうしてアレを好むのか理解不能だ……。
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