肺の内部の気管支の末端には、肺胞という球状の袋がいくつも付いていますが
呼吸するためにはこの袋が正常に機能しなければいけません。
この肺胞同士を結合させているのが、毛細血管やコラーゲン線維から成る間質です。
間質性肺炎は肺炎の一種ですが
細菌やウィルスを原因とする一般的な肺炎のように肺胞内部に炎症が起きるわけではなく
肺胞壁を構成しているこの間質という部分に炎症が起こり、線維化して硬くなってしまう病気のことです。
その進行は急性で、その原因により塵肺・薬剤性肺炎・過敏性肺炎などがあります。
塵肺は金属や鉱物の粉塵を長期間吸い込んだため、薬剤性肺炎は薬の副作用のため
そして過敏性肺炎はカビに対するアレルギー反応により引き起こされます。
ただし、間質性肺炎の約50%は“原因不明”であって、かつ、これといった治療法もなく
未解明の部分も多いため、国の特定疾患に指定されています。
間質が炎症を起こし、肺が線維化していくメカニズムは次の通りです。
1.間質に炎症が起こると、間質の細胞に傷がつきます。
2.傷を修復するために、コラーゲン線維を生産する線維芽細胞が増殖します。
3.傷が治っても線維芽細胞の増殖は止まらず、どんどんコラーゲン繊維が重なっていき
肺胞壁が厚く硬くなっていきます(これが線維化という状態です)。
4.繊維化が進むと、肺胞腔と毛細血管の距離が遠くなって肺胞が崩れてしまいます。
5.ガス交換が上手くできなくなるため血液中の酸素が不足し呼吸困難になる呼吸不全になります。
間質が一度線維化してしまうと、残念ながら元の状態には戻りませんので
治療は進行させないことを目的として行います。
治療は薬物療法が基本で、炎症を抑えるための「ステロイド薬」や「免疫抑制剤」が用いられますが
いずれも副作用が多く、また、どんな人にも必ず効くとは限らず、治癒率は非常に低いと言われています。
ちなみに、5年後生存率 38%、平均余命1~2ヶ月、回復する場合は自然回復です。