と言いながら、実はそんな方法はありません。
市販の缶スプレーで塗装する方法だと思われたでしょうが
チャレンジなさった方はご存知の通り実際は極めて難しく
塗装工場のプロ職人に言わせても、吹付ける圧力不足等のため
ガンより缶の方が余程難しいとさえ言います。
YouTubeには、いかにも簡単そうに作業する多数のハウツーもの
動画が見られますが、最低でも3台は実際にやってみないと
確実に失敗し、後悔する羽目になるのが落ちです。
そもそも車の塗装、特に最終段階のクリア塗装は
今は少数になったソリッドカラー以外は全て
艶を出し塗膜を保護するために必ず必要なのですが
家の屋根や壁面の塗装とは違い、雨も風も一切ない場所で
作業しなければならないことを知っている人は意外に少ないです。
さらにドア1枚やバンパー1本など、一つの区画をそっくり
塗装する場合以外は必ずボカシという特殊技法が必要なため
かつては一応プロのハシクレだった私がウレタンバンパー下部を
直した時も、一番の難関であるこのクリア塗装は敢えて省きました。
艶がなくても覗かないと見えない個所でしたし
この段階まで来ての失敗によるやり直しは極めて面倒だからです。

(詳細はこちら)
一方、小分けにされたパテ、ペーパー・マスキングテープ等は割高
そして肝心な缶スプレーは、プラサフ、カラーのみならず
クリアも本来は必ず必要なうえ、凹みやキズの元の大きさの
5~6倍を超える面積を塗装するため合計するとかなりの本数になって
事前の予想を大きく上回る金額になることも多々あります。
こうして金額面と作業の困難さから、始めてしまったことを
途中で後悔することも決して少なくはないはずで、結局
「安物買いの銭失い」にならないよう安直に手を
出すことは控えた方が得策というものです。
では、「ない」と言いながら提案する超格安の方法とは?
それは根本的な発想を転換し
「直す」のではなく「隠す」のです
凹みやキズを直す理由は、塗膜が剥がれて鉄板が
見えるのであれば錆の発生を防ぐことも理由になるでしょう。
でも、もっと大きな理由は見た目が悪く見苦しいからでは?
ご安心ください。
このどちらの理由も「隠す」方法で対応できるのです。
ただし凹みやキズの大きさは、せいぜいが
"コブシ大の半分"までを前提に考えてください。
下がその実例です。

これは今回購入したタントですが
ノーマルとの違いが分かりますか?
↓
↓
↓

そうなんです、この2カ所です。
左はフェンダー部に発生し始めていたサビ(いずれは腐れに)
右はこぶし大の3分の1程度の凹み(塗膜は無事)。

反対側にも
横長半コブシ大の凹みを伴った擦りキズ(塗膜は剥離)。
これらを簡単な話、適当なプラスチック素材を見つけ
凹みやキズが隠せる大きさに切り取りかつ丁寧にヤスリ掛けし
両面テープでしっかりと貼って見えなくしてしまうということです。
例えば液体洗剤やウォッシャー液の容器は
車の貼る個所の曲面に合いそうな容器の個所を選んで
大きめのハサミで簡単に切れます。
ただし出来ればもう少し厚い方が質感があって
見た目も良いと思います。
今回のサイドシル部2カ所は、使っていない
硬質プラスチック製メガネケース(厚さ1.5㎜)の
曲面がピッタリ合い、またほぼ平面のリアフェンダーは
他人が見たらゴミ、私にとっては材料の山(下の画像)から、元は
電動除雪機の一部だった柔らかめのプラ板(厚さ2㎜)を使用し
塗装はせずにそのままの色で貼付けています。

もちろん缶スプレーでボディ同色に塗っても良いのですが
元々凹みやキズをそれとなく隠しているので、他の部分でも
使われることの多いこの"艶消し黒"のままの方が
ヘンな存在感を感じない気がするのです。
車体の左右を横から同時に見られることはないので
片側だけの非対称でOKです。
これで実際に掛かった費用は両面テープ代約500円だけ
ちなみに使ったプラスチック板が白や透明の場合は
艶消し黒の缶スプレーで塗装します。
かくして前のユーザーと私の他は誰の記憶にも残っていないはずの
凹みとキズは綺麗に直り、否、見えなくなり、この状態になった後に
車を見た人の口からも「この黒い部品は何?」と
訊かれることはまずあり得ません。
実は中古車販売をしていた頃に、きちんとした修理は
高額になる、いずれは穴が開いてしまう腐れ部の対応として
思い付いた方法なので、すでに過去の実績はかなりの
台数に及んでいる経験から断言できるのです。
幅3~5㎝、長さ25㎝くらいの「サイドモール」なるパーツが数種類
いつでも市販されていた頃は結構これを多用しましたが、今では
1種類がたまにしかお目に掛かれなくなっているので、見たら
いつでも使えるように予備に購入しておきます。
今回も実はフロントバンパーの右にある
大き目の擦りキズを隠すのに2本(セット販売)貼っています。

最後にもう1度、繰り返します。
Do-it-yourselfのパテ+塗装は、ビデオを見てすぐ出来るほど
簡単な作業ではなく、初めての方はほぼ100%失敗しますので
小さな凹みやキズは直さずに"隠して"見えなくするこの方法に限ります