厚生年金にしても国民年金にしても、どちらもれっきとした「保険」です。
保険:偶然に発生する事故によって生じる財産上の損失に備えて
多数の者が金銭(保険料)を出し合い、その資金によって
事故が発生した者に金銭(保険金)を給付するための制度。
厚生年金は、「定年制度により働けなくなって収入が途絶えるサラリーマン向け」
一方の国民年金は、「定年がなく老後も働いて収入が得られる自営業者や農業者向け」です。
「保険」ですから、これだけで事故前の状態に戻れるとは限りません。
例えば火災保険 の類。
火災に備えて加入するため、実際に被害に遭って再建できると「良かったなぁ」と
思うでしょうし、例えば家財などに不足が生じて自己資金を負担するとなると
「家財にも入るなど、もっと保険料を払っていれば・・・」と
悔やむケースもあるでしょう。
年金も同じことが言えます。
支給される年金額で生活が成り立たないのは、その分安い保険料しか
支払って来なかったからで、不足分は自分で賄うしかありません。
収入によって保険料が決まっている「公的年金」ではあっても
追加で民間の「私的年金」にいくらでも加入できたはずですし
何よりも自ら預金等の金融資産を作っておけば良かっただけのことです。
自動車保険に関してですが、運送会社などでは「の保険料が高いから」と
それに該当する金額を積み立ててイザという時に備えている例もあるのです。
こうした損害保険との決定的な違いは、年金保険の場合は
「収入が途絶える」ことが決して「偶然に発生する事故」ではなく
「ほとんど必ず発生してしまう事故(事態)」を担保するということでしょう。
ですから、加入しないことは
常識的には”あり得ないこと”と言っても過言ではありません。
死ぬまで収入が得られるとされる自営業や農業にしたところで
完全に無収入となる事故(事態)を避けることはほとんど不可能なはずです。
生活費を担保する年金保険に自分の親が加入していない場合は
働けなくなって無収入になる老後に備えた金融資産を
充分に作っておいてもらわないと、子供である自分にその経済的負担は
そっくり回って来ることになります。
その額は、65~95歳の30年間に必要とされる生活費ですから
9000万円(標準25万円×12カ月×30年)にも上り
これを自分の収入がある25~65歳までの40年間に貯えるとなると
(9000万円÷12カ月÷40年)=18万75百円/月。
”貯え”ですから、給料は43万円/月(生活費25+貯え18)以上
若い頃は子供の養育費もあるので、50万円/月を超える収入は必要でしょう。
これが実現可能な額ならば、年金に入らず受給がない親の老後の面倒を
亡くなるまで見られるわけですが、難しいとなると現在の核家族的生活を止め
同居等によって金銭的な負担を減らすしかしょうがありません。
さらに自分も年金に加入しないとなると、子供に面倒をみてもらうのですから
死ぬまで働いて生活費を稼ぐか、収入が途絶えることを予め見越し
その分を上乗せして今の内にさらなる金融資産を貯めておかなければなりません。
加入しない理由は、いわば国を信じない点にあるのですから
”貯める”にしても、国に保護されている金融機関等さらに信じるわけにいかないはずで
タンス預金等にしなければならず、民間企業を信じ運用して増やすなど
とんでもない話ということになるのでしょうか
否、紙幣も国が発行しているのですから
外貨または金(きん)の現物を貯め込む羽目になったりして・・・。
いずれにしても「保険」に加入しない道を、例え違法であっても
敢えて取るのであれば、保険制度がなかった頃のような
その金銭的危険負担は100%自らまたはその親族だけが負う
ということを忘れてはなりません。