この写真の町は、私にとってある思い出のある町です。
私がモンテレィに住んでいた頃、ある夜、ある飲食店でアパートの鍵を落としてしまいました。偶然にもある友人がそれを拾って持っている事がわかったので、受け取りにこの町まで行った事があるのです。
バスに乗り、人気の無いこの町で降り、連絡をとるため公衆電話を探しました。でもそんなものはありませんでした。その友人の電話番号は聞いているものの、住所は知りません。町を歩いていると、扉の開いた家が一軒だけあり、中でおじさんが二人話をしていたので、聞いてみることにしました。すると中に入るように言われ、入って行くと、冷たい飲み物を出してくれました。それで事情を話すと「電話ここにあるから使っていいよ。」と言ってくれました。そして友人がそこに迎えに来てくれましたが、聞いたらそこは警察署だったのです。
町には人影はほとんどなく、看板もなく(警察署の看板ももちろん無し。)、半ばゴーストタウンの様でした。この写真を撮った時は、それから17,8年経っていますが、道路が舗装されたぐらいで、変っていませんでした。(警察署がどこだったのかもう忘れました。)
暑い日の午後、気だるいこの町を歩いていた時の事は、いかにもメキシコという雰囲気を強烈に記憶に焼付けました。