株式会社プランシードのブログ

株式会社プランシードの社長と社員によるブログです。
会社のこと、仕事のこと、プライベートのこと、あれこれ書いています。

その197.私の今年の漢字一文字は「喝」

2014-12-25 07:24:10 | 制作会社社長の憂い漫遊記
ったく、この仕事につくスタッフは原価意識がない。
とにかく良いものを作りたい一心で過剰サービスをしてしまう。
それは今も昔も変わらない。いや変わってはならない不文律だ。
私が一監督ならスタッフの過剰サービスはとてもありがたいが
プロデューサーだと毎回見積りと合わない
矛盾との戦いになるので、ちと困る。

ったく・・・といっても怒っているわけではない。
半端なく感謝している。
でも次回過剰サービスてんこ盛りの見積金額で、
同じ人数なり、同じ機材が出せるかと言うと、出せないこともある。
この「出せないこともある」がヤバいのだ。
「あの時はやってくれたじゃないか」とお客さまから必ず言われる。
現在価格が下がりすぎて、撮影の基本型すら作れない状況の中で、
それでも意味なく下げて売るプロデューサーが明らかに悪い。
かっては、生き残りをかけて良作を作る努力をしてきたが、
価格競争の中で、良作を作る努力の限界点を過ぎてしまった。
それでも意味なく低価格で提示し続けて、その底辺が見えない。
機材代よりも安いスタッフ人件費なので、
いわば機材のオマケでスタッフが付くという
情けない事態にまで成り下がっている。
しかも機材がドンドン安くなるから、
機材のオマケに付いてくるスタッフ人件費もドンドン安くなり
雀の涙にもならない。

年々優れた機材が安価になるのと比例して
優秀な職人と言われる人々が年々業界を去っていく。
それでも良いものを作りたい一心で無理に無理を重ねる。
お金を預かるプロデューサーが最も悪いのだが
プロデューサーもスタッフの熱意は断れないし
覚めさせる訳にはいかない。
なぜなら彼らの熱意は作品を良くするし、
良くなるのがわかっているからだ。
要はプロデューサーがスタッフをもっと高く売ればよいのだ。

しかし低価格路線は若い経験の少ないスタッフを呼び、
必然的にプロデューサーも若くなる。
若いプロデューサーは、優れた機材や編集ソフト、
流行の音楽には敏感だが、こと人に関しては見る目もまだまだだし
味のあるベテランスタッフを高く売る術を知らない。
モノは人が作るのであり、機材や編集ソフトが作るのではない。
ベテランが少なくなっていく今、
生き残っている我々が若手と会話し変えていかねばならない。
そうしない限り、低価格の無限地獄からは抜け出せない。

毎年12月12日の「漢字の日」に公募して選んだ
漢字一文字を、清水寺の高僧が書く恒例行事がある。
今年の漢字一文字は「税」だった。
私の今年の一文字は、不甲斐ないプロデューサーであり、
まだまだ力なき監督である自戒の念を込めて「喝」とする。
喝、喝、喝!

最新の画像もっと見る

コメントを投稿