黙思

揺れる　定命

移ろう日輪

色あせぬ過去を目覚めさせる


蒸したスズキを保温

オープンにはウサギ

待つ間にソースを作る


忘れてしまうから

繰り返し聴く《風の謌》

変容した日々よ声を上げるな


昔を想う純情は保つ

日の終わりに一死　暁に生まれ　

昨日に変わらぬ死出の旅を続ける


一途の道

消えぬ慕情

待つ人が居るが急がない


ゆるゆる　ゆったり　

穏やかに　屈託のない

遊行の日々の主は誰?

哀悲

垂れたまえ　哀悲の泪

屍者の王国


より善か？

より悪か？


あなたを照らす

拒絶する脳


歳をとらない人魚の眠り

美しい日々を　閃光と硝煙で覆うな


暁刻に聴く鳥鳴に覚醒

晴れない空　くぐもる心音が昏い


持ち越してきた物語は　閉ざされたまま

哀しい事があったから　悲歌を聴こう


銀器に盛る　冷たいアイスクリーム

滋味を流して労わる呼気


《四月》　まだ冬が終わらないが

生きてさえいればいずれ・・・ああ

　



　

浅い春

消えてゆく・・・・
毎日何かが消えてゆく


子供を死なせたひよどりは
片羽根を歪ませてしまった


風に乗り水に流れて
陽の色がますます深くなる
　　　　　　　　　

老女の待つ花時
身につけた《地につく暮らし》


昨日が今日であったなら・・
寄り添う白い月の嘆き節


又大地が震えている
聞きそびれた苦界からの伝言


背中が寒い未熟な花芽
身動きのできない幻の魚


日々捨てられ　失われゆく
美しい季節よ　輝け　謳え