白い月

白い月

有情無情

2014-06-28 21:23:44 | 心事ポエム
消えゆく日々の刻々。

懐かしく 美しく 哀しくなだれ 軽やかに薄れゆく過去一切

甘美な怖れ密かに抱くのは もはや帰り来ぬ日々
 

歓びの宴 砂をかむ舌 一喜一憂 

翻弄する宿業を怖れ 身をすくませ

約束のない地の劣化を憂い 

慄きつつも又夢見る人の無辜を愛おしむ


時に一滴の泪ぬぐう手で花を摘み
 
闇が明けると いそいそと 隠された窓のカーテンを開く


めげずに生きる

魂を保ち続ける


今 森が在り 鳥が住み 歌が在り 陽炎が野を満たす

眠りは浅くとも嘆かない

逢うべき人に遭い

観るべきものを観

聴くべく音をきき

果てない大空から消えゆく日まで寸秒も気を許すまい。
 

 

巣立ち

2014-06-22 16:15:29 | 心事ポエム
私は見てしまった


なにもかもそぎ落として

境のない空


引き延ばされて

のっぺらぼうになった一天の蒼


今日の誓い 

薔薇咲く明日

心ない夜来の驟雨

ひかり溢れる六月の如実


塗り替えられた記憶抱えたままに

夢遊病の猫は置き去り

銀色の眼を透かしながら 

早すぎた山鳩の巣立ちを見送っているのを。


旅に聴くⅢ

2014-06-18 09:00:49 | 心事ポエム
誰もいない家を出る

キリンがする曖昧な微笑み。

智慧も無く余念も無く結界を目指す


祈り無き月。

少しづつ善い人になる為に歩く

たどり着く果てに何が?


はぐれた人を探す

応えない沈黙の行者の喉仏

呑み込んだ三界の如実


はびこる夏草の勢いが止まらない

壁が消えてゆく

微塵の中に埋もれてしまう



空無を探す冷夏の旅

無防備に眠る少女の手の中で

信号音は震え続ける





憂き雨

2014-06-11 15:45:13 | 心事ポエム

くるひもくるひも

みどりいろのあめがふりつづいて

かみも ひふも つめも めも

からだのなかのぞうきまでも

みどりいろにそまりそうです


みどりいろのみみがきくのは

みどりいろのかぜのおと 


みどりいろのめはみる

さきがみえてしまったはなのすいじゃく


みどりいろのゆびがむすぶ

むぎわらぼうしのみどりのりぼん


かんせつのひめい 

ちのにおい 

やまどりのたまご

おしだまるかえる、

てにおえない めらんこりあ

からまるあいびいは うつをやむ


みんな みんなみどりいろです



               

               















保身

2014-06-01 14:18:58 | 心事ポエム
ファドを聴く月

のけぞる柔らかい四肢に怯みつつも

差し伸べて他意のない一刻の摩耗       


身に余る賛美浴びようとも

逼迫する時のおびえ。明日の息災。 

縁起の切断に幻惑される


秘密の杜に棲むノゴマも怖い

おまえの朱い喉に わたしは怯える

腎杯に育つ結石は密かに隠すから・・鳴かないで。


意のままにはならぬ晩節 

叢林に窺う眼が光るから 星降る夜も

まして月のない夜はことさらに立竦む。