白い月

白い月

訃報

2013-11-30 18:09:55 | 心事ポエム
再びの呼気虚しく絶え

あなたは乳色の霧の中に踏み込んでしまった
             

よび覚ます 

夏の日の花時のロビー

浮かぶあなたのきれいな微笑、声、仕草、装い


今わたしは聴く

音のない音

忍び寄る優しげな冥府への誘い

わたしを溶かす冬の日射し

ゆらゆらと絡みつく銀色のけむり

消えゆく総てが愛おしい 


ふるえる予感押隠す午睡の月

事あるごとに息をのみ狼狽え

幼児のように途方に暮れる

隠された棘を知らされず

甘い恐れ抱いたままわたしは祈る








毀れる城

2013-11-24 10:59:21 | 心事ポエム
しかと見据える

銀の弾丸

澱んだ空に打ち込む

人の人たる由縁忘れたか

日々目撃する個の滅亡 

確信犯の無礼 非礼。

清冽ないのち吹き込む風が哭く

汚泥を運ぶ水も哭く

いたぶられた魂が浮遊している

「今こそ捨て時」 嘯く堕天使

心臓 肺 腎臓 血液 手 足・・・ 

小賢しい脳に駆り立てられ浮かれたか

背信 偽装 虚言 謝罪 欺瞞 隠蔽・・・ 嫌だ

薄汚れた皮膚一枚下の本性・・・嫌だ

この異形の者達をかかえて 淵に雪崩れ込む日常よ





起き伏し

2013-11-15 13:48:18 | 心事ポエム
2013年11月14日
分相応の老い
さんざめく陽の輝き
虚無の刻穏やかに流れる


生れた日。
10人の歌い手に担がれる棺を
拍手で送る葬送を観る

苦界の水飲み干し
今別れを告げる 棺の主
細くビヴラート震わせて謳う

装いに選んだ色は? 
花は? 携えた品々 
心残り有りや無きや。

身を包む
淡い冬の陽のかぎろい
哀しみ嘆く一夢の無残。

誰かが生きる時
誰かが逝く時
密やかに交差する今日の黄昏どき

押し出された無告の涙
ひたすらの精進に思い塞がれ
今日のわたしは黒衣を着ていた。        


まやかしの罪

2013-11-09 14:46:46 | 心事ポエム


何か変 いつもと違う ・・・。

気付かぬ振りして、飲み干すしかない。


お気に入りのグラス

枯れ木の様な手に乗せ息を吹きかけてみる。


迷い込んだ偏西風を追いやり、

音を失くした白い部屋が採光し始め


長く延ばした爪がきらきら光る

そう 明日は黄昏色に染めてみよう。


盲目の蒼き人よ 

心ない誓いに望みをかけてはいけない


この円環の真上でさびしくも うつくしく

光彩を放つ星々が在り続ける限り 

化身し、まやかしの扉を閉ざしてはならぬのだ。






虎落笛

2013-11-03 11:45:53 | 心事ポエム
砕け散った
躓きの余波

忘れたい
「忘れられない」

忘れてもよい筈
「忘れてはいない」

忘れてはならぬ事
「忘れてしまう」


一つの不慮
繰り返す無念
 
巨大花絵に使われた
秋薔薇に執着

根拠のない過信
押し黙る民 わたし。

海に描かれた境界線
無視しましょう

傾かない視線の持ち主 
風が吹く日のかもめと月。

「ほど良い幸せがいい」
今にも毀れそうな月が云う。