月光がアスリートの肌に影絵を描く
走り去る深夜の走者の呼気が荒い
身構える残心の美を想起し
一炊の夢を見る
日が昇ると今日のル-テイン
青 赤 黄白 炭色の錠剤九粒を流し込む
まつわりつく薄衣搔き寄せ
小悲大悲を小皿に盛りほろほろと飲み込む
片翼で飛ぼうとする秋蝶は夢を捨てた
些事も捨てた
垣間見る人柄の良さ たじろがない恣意 目をそらさないで見続ける
真っ直ぐな背骨が好ましい
捕食された秋蝶の泪
身構える挑発の風に雪虫がよろける
衰え崩れ劣化する諸々の生き物たち
迫りくる日の終わりと再生の輪廻の目撃者たちの沈黙
ひっそりと背後に迫りくる翳
わたしを捉えるために息を止めている
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