哀しい話 2013-07-27 08:43:12 | 心事ポエム ありふれた一日に潜む火焔 何気ない日常に起きる残酷な代価 喪の色に覆われた夕暮れは嫉妬する 差し込む光の束の隠された綾を解きほぐし まどろむ猫にも夢を見せる 巻爪が痛む寡婦の祝祭日 台架の上で死にゆく百合に言葉をかけ あの世と結ぶ木の橋を、手を繋いで渡る分別 こんな話 あんな話 音の行方 甘い恐怖 捨てられた孤児の様な真昼の月のいとしさよ。
奥の院へ 2013-07-20 16:07:15 | 心事ポエム 無邪気に分け入る 真言の杜 他愛も無い人の群れ 不意に現れた 大きな黒い蝶と黄色い揚羽 奥へ 奥へ誘う 視線の先に 苔むす墓標の 隙間ない存在。 死者達に 見つめられ息をのんで 無口になる 皆同じ顔になる 全霊で祈る 黒いスーツ姿の若い男。 汗ひとつかいていない 異形に身を整えたか 石の道に潜む謎。 身のほどを弁えた白い蛇を踏むな ままならぬ日よ、身よ 喘ぎつつも歩け 俯いて歩け 降り注ぐ慈雨も無く 吹き過ぎる風も無い 炎天に何を印する・・・? 今は只ひたすら歩く あなたと歩く この恵みを受けよう
幻視 2013-07-06 09:36:27 | 心事ポエム 望みはしなかった無窮の存命 この世の事は 此の世に委ね 彼の世の事は 彼の人に任せよう ありふれたラブソング溢れようとも 文披月を彷徨う地下空間の静謐が好き しかと見つめる 眼をそらさずに 刻印する灰の日の祈りを忘れぬ 大きな水槽に 眠らぬ回遊魚 いつも濡れて居る古都の小路 もつれあい、からみあう泡立つ波涛 わたしが育てたささくれた石の塊 八月になったらためらわず粉砕