白い月

白い月

キトラ古墳壁画展

2014-05-25 10:10:48 | 心事ポエム
怒った 蜜蜂を横目に

緑陰に憩う夏鳥が笑う


憂いも無く 願いも無く

照らし出される黄金の雲。


謳っているうちは忘れて居られる。

おぼろなままでいい今日を生きる老い 


石室に描かれた天空と四神に逢いに

無為の時を耐えて立ち続ける 私心無きわたし


長い時間をかけて ゆっくり溶け出でて

みんな自由になっていくのだから・・


おぼろでいい 曖昧でいい

消えゆく線刻に星を探し 神を探す

白雨

2014-05-18 20:17:34 | 心事ポエム
限られた緑色のパレットの中で

濃く淡く絡み合いながら五月の風が生まれた日。


森を染め上げ 

思いを告げ 生死を照らす

五月の風よ息をひそめよ。


群れなす葉脈 うつむく影が蒼い。

こぼれる陽光 ときめく日よ・・時よ。


唐突な白雨に驚き 耐えているわたしたち 

白砂を叩く深い草叢に もつれる脚

覗き込む黒い沼を ゆっくりと蛇が泳いでいる


遅かれ早かれ 寄り添う時が来るのを予感している子と

ひしめく人の後ろを ひたすら小刻みに歩を運ぶわたし。


避けようのない禍福は小刻みに抱き続けよう

云い尽くして死ぬか、胸に秘めたまま逝くか。

嬉しくて、寂しい風がわたしに宿った

ビギナーズ ラック

2014-05-14 15:03:53 | 心事ポエム
無為の日のひととき 

ゆらぐ異界に身を置くと  

あなたは わたしになれないが

わたしはいつでもあなたになれる


娘と孫が、何故ここで笑うのか? 笑えるのか? 

ときおり判らないわたしではあるけれど

大木を揺らす五月の風が吹き抜けて葉を揺らせ

きらきらと光の粒子が声を挙げているのは聴こえる。


溢れるひかりの中に居るわたしたち。

屈託のない時間を刻みながら

あなたと共に生きた日に溺れている。


あなたの眼差し、息遣い、五月の風の匂いに包まれて

嬉しくて 愉しくて 懐かしくて 哀しいが

もはや哭く事も 嘆くことも無いから 

来る日 去る日 眩しく微笑んでいよう。








慈雨

2014-05-03 15:50:21 | 心事ポエム
取り敢えず願うのは
今日と明日の息災

不具合を主張する肉体のさらなる温存
密やかに対峙し こわばる時の現成

中性脂肪 体脂肪 骨密度 尿酸値
LDL,HDL 赤血球 γ-GT・・・ 
それ以下でも それ以上でもない

井戸を満たす慈雨
潤む台地に滴る五月の雨よ、もっと降れ

あしたに ゆうべに
風に押されて留まらぬ一刻は千金

ほど良い湿り気は華厳
吹き返すいきものたちの春うらら


降るもよし 吹くもよし 
ひるまず乳香漂わせてよ 波のように

こぼれる薄日の夢心地
ありふれた死のかたち取る日までのわたしの願望