白い月

白い月

アンビヴァレンツ

2014-04-26 17:59:55 | 心事ポエム
母鳥は

ひっそりと劣化が進む森で

孵化を忘れた卵を抱き続ける


意図しない不意打ち

唐突な 気まぐれな風にも

空しく打ちひしがれている


装う善意 飾らぬ意図

方円の彼方への飛翔 未だ叶わずとも

天心の月に恐れは無い



蒼穹を目指す母鳥は嘆く。

あまりにもはやいたましいの衰弱

森の木の不朽の神話は封印された。


善く生きたい

良く死にたい

暫し聴こうか《鳥の歌》







ヒューマン ミス

2014-04-20 19:28:38 | 心事ポエム

わたしも 時折は

考える猫になる


人が繰り返す《腑に落ちぬ》躓き

寄り添う無垢が痛ましい


奏でる悲歌流しつつ 

帰心を削ぐ荒ぶる海に消える船


限りなく遠く、

限りなく近い哀悲よ


目で聴く風波の声なき声

未だ明かされぬつまずきの仔細、深い淵


人の数だけ所思の鳥はげしく羽搏き

わたしの身体じゅうを駆け巡っている













黄色い月

2014-04-14 20:10:43 | 心事ポエム
《人は人として 花を観る》

鳥は鳥として 桜を見る


遅ればせながら

引導を手渡されて

計らいの無い心模様

揺らぎつづける


ひた走る炎は知らず

不如意な今日の躓きは

明日に持ち越すまい


振り払っても 

振り切っても

手に余る人の生死


溢れるものを溢れたままにして

喘いでいる 今夜は満月


春の雪

2014-04-05 21:28:11 | 心事ポエム
垣間見る 

此岸の夜の一夜雪


孤高の月あわあわと照りかえる

遍路の旅未だ遠く彩も無い


取り返しのつかぬ、使い切った時間も

張りつめた極寒期の世過ぎ身過ぎも忘れた


小川に水を呼び戻し 花芽が目覚め 凍土に靄を生み

春告げ鳥も帰ってきたというのに
 

唐突に吹雪く雪

こんな筈ではない 天の誤作動に震える 


この時期の 時ならぬ雪は名残り雪 

でも好きになれない四月の雪