白い月

白い月

舞風

2013-10-27 10:13:23 | 心事ポエム
もはや 語る言葉も無い

紙に書かれた過去一切


白日に晒された幽悶の乱気

冷えた空気を 一層冷たくする銀色の雨降りしきる


うかうかと引き受けた伝言に仕込まれた毒 

人の世に生きた証し ほろほろと捨て去り


降り注ぐ慈愛のくまどり指になぞり 

降りたつ献身を甘受しては驕慢な棘に傷つく


やがてほの白く化粧を済ませたら

ちりちりと風に舞いながら謳い

からからと地を走り笑うのです


約束のない地にひたすら生きた日々よ。

そば近く気配するやさしい死の匂い、水の音さえ聞こえています


もう何も言わないでください

わたしは 地に埋もれて眠りかけている蔦の葉なのです


不如意

2013-10-20 20:12:16 | 心事ポエム
かろうじて踏みとどまった

きざはしに身をそらせ

掠め取ったか 取られたか


蒼い夕暮れ 遠のく無窮

日の終わりに又呼び寄せ閉じ込めた

扉の向こうに大いなる影


ひっそりと息するあるじは

いつも待つだけの時を抱き

降りしきる重い雪に埋まったまま
 

明日になったら 

事もなげに光浴びて

溶け急ぐ雪を見ていよう




 キリンの夢

2013-10-12 20:20:27 | 心事ポエム
哀しい事に夢ひとつ見ているうちに 

いつも不意にかき消えてしまう


ことわりの一言も無く

驚くわたしに眼もくれず

慰めの言葉も無いまま

又置き去りにされる


何もない空間に放り出されて

静かに埋もれてひたすら待つしかないキリンは

確かな分別の持ち主。

心もとない根拠のない自信を糧に生きている


惹きよせた森の匂いに誘われて 

ゆっくりと巡らせる長い首

追いやったのは風が吹く笛

蔦の迷路に彷徨う蟲の亡き骸

むき出しになったひよどりの悲鳴


夜毎、キリンは夢を見る 

独り静かに漕ぎ出でて

主を迎えに行く夢を・・・


寓意

2013-10-06 10:00:14 | 心事ポエム
照る日 曇る日

心萎えて

打ち伏す日


殆どが無いものねだり

ひがな、よがな

からまつが葉を散らす


不似合いな黙祷  

逝く夏が惜しい

《一身独り 生没す》


花は華に、こころは意にまかせ

即身の薔薇

昏い雨を降らすのです


いつも走っているあなた

風に押されて飛んでいるあなた

虚空尽きるまで共に居たい



蒼い狐

2013-10-01 16:20:38 | 心事ポエム
悲観もせず満ち

楽観もせず欠ける

無為の月は眠らない

不満ありげな不思議雲

窺う眼が朱い

居座り続けたみどりの野を

狂気を抱えておろおろと

何を探す、何を隠す

凋滅する地に棲み

こころ震えさせ

やがて木霊になる
 
ついに果てる

水になる

雪になる

蒼穹になる

天空の鏡よ

お前を映せ

草叢に潜むメランコリー

隠れ家を出でよ

おまえの放心に効く

香しい薬草を摘んできたから