白い月

白い月

方便             

2017-06-29 09:43:29 | 心事ポエム
凡てを疑ってかかっていた筈なのに

ぎりぎりの折り合いをつけながら 貴人の嘘を信じた


何を操るつもりか 不可思議な警告音

静かに しなやかに 侵入者はそば近くに寄ってくる


闇に君臨する魔界の支配者 漠々と流れ入る淵 

溶けこむ先に拡がる不可思議な慈愛


回廊を駆け抜け 逆走する風の躊躇い

メスキータ寺院の壁の中に 埋め込まれた神々の沈黙


削り取られた痕跡を 冴え冴えと照らし

明日を成り立たせる為の今日の手だてを探しあぐねる


一時しのぎの便宜に寄りかかり 喘いでいる利便性 

システムダウンが引き起こす混沌


とんでもない事を口走りそうで 

真夏の月は重い扉を閉ざした




夏を病む

2017-06-19 05:58:47 | 心事ポエム
かつては 

《甘い逸脱》に酔いしれて

放埓な視線を放ちながら 碧空を飛翔していた欝の月


いま

愉悦の花の時を迎えながら

際限もない眩暈に病み疲れ

吹き抜ける爽やかな風の中で 動けないでいる


梅雨の無いひんやり冷たい 居心地の良い六月

何もしないのにいつも疲れて いつも眠い

折り合いをつけながら待つ 不寛容な夜が明ける


突き崩して海に流してしまいたい 黒い塊ひとつ抱え込み      

故もない 果てしもない このさびしさは 

いったい何処から来るのかと肩を落としている


撃ちながら自らも傷つく相剋に終わりはない 

見えなかったから知らなかった・・・で押し通す憂鬱よ