鬱の海
漂う月
侮れない季節の力量
ほど良い加減を守る風
生き急がない事にしよう
無名の蒼茫
吹き渡る風が告げている
弾ける実生の種子がたてている微音
深海で生まれ 深海を流れる地下河川の
密かな囁きに似ている
水中花を育てあげる 盲目の魚も
明日をもしれぬ宿根草の命運も
地下洞窟に咲く花も
閉め忘れた夜の窓に 張りつく朧月も
ゆっくりと 足許から 朽ちていく
鬱の海
漂う月
侮れない季節の力量
ほど良い加減を守る風
生き急がない事にしよう
無名の蒼茫
吹き渡る風が告げている
弾ける実生の種子がたてている微音
深海で生まれ 深海を流れる地下河川の
密かな囁きに似ている
水中花を育てあげる 盲目の魚も
明日をもしれぬ宿根草の命運も
地下洞窟に咲く花も
閉め忘れた夜の窓に 張りつく朧月も
ゆっくりと 足許から 朽ちていく
識らなかったかったことにした
夕暮れの木立の片隅にたゆとう気配
視なかったことにした
翳もつ嘆きと 枯れ芝を満たす水の所在
訊かぬ事にした
一病が残した しろい杖の物語
何処で間違ったものか はじける水しぶき
水行の渡り鳥の狂気のさま
浮き彫りになる歳月の残渣よ
永らえてしまったばかりに知る 鬱の月。 晴れの月。
勝手な思い込みも 根拠のない確信も
斯くあれと 抱くまぼろし
軋む不協和音を諌める音叉
此処に何を埋めるつもりか ひた走る過去。