プレリュード

掴みそこねた

天空の星々

不思議を眺めやる八月のキリン


閉ざされた扉を

こじあけて

踏み込んできた修羅の森に住む　


夢の中で・・・

切り刻んだ白いノート

書かれなかった非戦、不戦の誓い


蒼穹の真下で繰り返す

死にゆく異邦人が

脱ぎ捨てている命の衣


大変な不具合が起きているのに

急がない神々

空に続く道に《星の謌》を奏でる

雨に濡れるカサブランカ

哀しみを　抱えこんで　動けないでいる

闇と闇を繋ぐひとひらの花苞よ　吐息よ


潰えた夢。　

過去の断片。　

ふかまる春秋・・・
　
濡れそぼる肩　

よろけるあし


昨日話したことしか話せない

でも大切な事は言い尽くした


立ち直れないおまえには緑色の支柱を添えよう

乱気に打たれ倒れ伏すお前が愛おしい

疲れを残してはいけない長い旅の巡行


はやばやと冷気を運びこみ　

時の雫したたる秋がもう近い


しのびよる示現　《明日》《明後日》

おまえの命運を誰が決める

是非

いつも　いつも　忙しい

変わり映えのしない

見抜かれた嘘


ドリームビーチで無くしたリング

忘れないうちに　又一つ買う

是非もないお前の言い訳


流れのままに　従ってゆく

毀れやすい月の船

乗り合わせたばかりの旅の果てに何が？




《いつも薔薇の蕾を摘みなさい・・・》

今日　ロビンが死んだ

窓が一つ閉じられた

一日花

ただならぬお願いです

消されてしまう前に土で覆ってください


宙高く　峰深く　

限りもない蒼い浜目指して

立ち寄った雲間


漂う月の子よ

研ぎ澄ました耳たぶのような釣り船に

ひっそり腰を下ろして櫂を漕げ。


ひた走るだけの日常

一日花の未病を告げ

ひそやかに愛語飛び交う円卓の時間


ひざまずく意図

見え隠れする仕切られた境界線

たわみ　渇き　ゆがむ荒野


軽々と吹きこぼれた花びらは

黙り込んだまま墜ちていく。