白い月

白い月

弦月

2015-12-24 10:37:22 | 心事ポエム

痩身を傾けながら 寄りかかる

雲が走る

声を出さずに 哭いている 白い月

 

響かない非戦の誓い

媚びない 普通のひと 

日常を律する 市井の人

訳もなく音源を捜す目に語る実像?

 

優しい嘘。見え透いた欺瞞。          

粉塵の中の悲鳴。                

流れ着いた幼児の骸。

視界を消す汚れた空気。

手に余る廃棄物。

杜に築く巨大建造物。

守護神の変節に 戸惑う流民。

刃附きの鉄条網。

 

嗚呼 山が動く

砂が流れた

人が沈む・・・・

 

いたわりも 慰めも 絵空事

愉しく忙しい幸せにまぎれて物語がひとつ消えてゆく

掬い取る瞬間が 長い時を紡ぎ続ける

 

戻ってきた人がいないのは?

問われているのは地を這う冬の太陽

未病の犬と見上げる夜空が蒼く冷える 

 

 


対峙する

2015-12-02 12:38:03 | 心事ポエム

《もはや正気ではありませんが・・・》

事の全てに寄り添う暮らし

異客を拒まず  

波瀾を受け入れ

何があろうとも得心する

 

ほのぼのと光の窓に咲く霧氷を愛し

消えそうなたましいの行き先を訪ね、見据える先に 

かつて陽光にそよいだ葉群れは

絡み合いながら 音も無く雪の下に蹲る

 

こんな日でさえ オアシスに盛られた薔薇籠が届き 

朱いユリの居場所を押しやったり  作られた季節に魅入ったり

ひとときの熱に浮かれて 呪われた地の荒れ野の物語

ひそひそと交わされているのに 耳をそばだてる

 

緑なす地平は遠のき

眩暈する落日の顔して

沈黙の月が視ている

 

もう忘れてしまいたい葉群れ。 今開く薔薇。     

潜む想い、 花々の死、 人々の死。

かそけき音の中に 解き放とうよ 月の吐息