ORGANIC STONE

私達は地球を構成する生命を持った石に過ぎないのですから。

モノクロームにほんの少しの金色を:The Origin Of Love(Album 2012)/MIKA

2012-09-17 21:54:13 | 音楽:MIKA
The Origin Of Love(Album 2012)/MIKA

1作目は幼年期、2作目は思春期をテーマにしていたMIKA。この3作目は"The Origin Of Love"つまり愛の起源、思春期を経て成長した男は恋をする・・・どんな人間も成長し変化する。彼もまた家族の事故や自分自身の様々な経験を経て成長した。髪型を変えサポートメンバーを一新し、カミングアウトまでするという大きな変化を引き起こした彼の中の「何か今までと違うもの」は彼のサウンドに変化をもたらさないはずが無い。

3作目のジンクス。どんなアーティストでも3枚目は売り上げに苦労するというアレである。MIKAはそれを意識してかインタビューでしきりと「自分の作りたい、自分で聞きたい音楽を作った」と説明していた。アーティストが「売り上げは考えず、好きな音楽を作った」と言う時、私たちは濃いマニアックな音を思い浮かべる。ところが彼のニューアルバムは今まで以上に今のサウンドを纏った軽さのあるシンセ・ポップだった。ぎりぎりの所までサウンドを削ったストイックな音は、アルバムアートそのままモノクロに足された差し色のゴールドのようだ。全体を通してベースとなる軽めのエレクトロ・サウンドはフレンチ・テクノや80年代テクノビートをベースにしたシンセ・ポップで、彼の美しいメロディーを妨げる事なく彩る。それは懐古主義ではなく緩やかに80年代に回帰するミクスト・ポップとでも呼びたい。

今までの彼の音楽にはホームメイドで作られた料理の様な自家製特有の濃厚さがあった、それが彼の音楽の特徴であり聞き手の好き嫌いを決定していた要素だったと思う。今回のアルバムは特徴のある自分の声に大胆にエフェクトをかけ他のアーティストのコーラスを入れ、ファレル・ウィリアムスやエンパイア・オブ・ザ・サンのニック・リトルモア他共同で作り上げた事でその濃厚さが薄まり、よくも悪くも普遍的なサウンドになったことは否めない。

ボーイズバンドやアイドルに歌わせたらいいんじゃないかって思わせるベタベタした曲もあったりして(Step With Me)これはどうだこれはありか・・・ちょっと胸焼けしそう。Stardustって曲が多幸感溢れるアッパーな曲で前作のTouches Youみたいな位置づけか。そしてサビの頭の"I"が未だかつて無くワイルドなLove You When I'm Drunkが面白いかな。

まるでいままでのアプリを外部の意見を取り入れつつ余分な物を削ぎ落とし、新バージョンにグレードアップ、容量も軽くなったしさくさく動くしインターフェイスも一新されて今時のスタイリッシュなアプリに変身!した様な。つまりこれは新バージョン、MIKA Lite。「世界中に祝って欲しい」とシングル曲Cereblateで歌うMIKA、祝って欲しいのは彼自身ではなく、聞き手にもたらされるすべての変化なのだろうと思う。

これはすぐ削除されそうですがStardust。



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